皮膚の変形したもの。
ケラチンという蛋白質が主成分。
人の毛や爪もケラチン。
ケラチンには多量のリン成分が含まれ、燃やすと独特の臭いがある。
毛が焼ける臭いは羽毛が焼ける臭いと同じ。
羽毛を持つのは鳥だけ。
羽毛を持たない鳥はいない。
羽毛は、皮膚から伸びて作られている間は、その毛根である基部に血液が通っている。
しかし羽毛が完成されると血流は途絶し、その後は死んだ組織として激しく羽ばたいても取れないように、皮膚に強く固着している。
嘴、爪、脚の鱗と同様、死んだ組織なので損傷を受けても痛みは感じない。
死んだ器官であるため、維持管理する内部システムを持たない。
脂腺からの分泌物を塗布する必要がある。
無理に抜くと羽根が破壊されて、生えなくなることが多い。
緊張すると羽毛が寝た状態になり、縮小して見える。

 

正羽
外から見える羽で羽弁を作る
飛行
風切羽、尾羽、雨覆羽
半綿羽
軸が有る綿羽
(赤い羽根募金の羽)
体温の維持
綿羽
正羽の下で羽枝が羽弁を作らない
体温の維持
ダチョウ類、ペンギン類には無い。
糸状羽
感覚器官の働き
本数が最多。
飛ばない鳥には無い。
粉綿羽
伸びると先端が崩れて粉になる
防水効果

 

剛毛羽
鼻孔の上部、口角部、目の周囲などに生えている剛毛状の羽毛。
羽枝が無い羽幹部だけのものと、
短い羽枝がまばらに生えるものとある。
ヨタカ、アマツバメ、ヒタキの仲間に発達。
飛びながら昆虫類を捕らえるとき、捕虫網の役目をする。
ダチョウなどのまつ毛も剛毛羽。

 

粉綿羽
一生を通じて換羽しない特殊な羽毛。
直径1ミクロン
綿羽の一種
羽枝と小羽枝が絶えず伸び続ける
先端がこわれて遊離し、ケラチン質の粉末(bloom)となり羽毛を覆う。
この粉末を羽に塗り、汚れの除去や防水に役立てる。
(ドライシャンプーの応用)
尾脂腺が発達していない鳥で見られる。
ハト、フクロウ、インコ
体全体に粉綿羽がある。
サギ類、モリツバメ類
シギダチョウ類
胸や腰に粉綿羽斑があり、多量に粉羽を生成。
クイナモドキ科では5対(10ヶ所)ある。

 

後羽
最大
エミュー、ヒクイドリ
大きい
シギダチョウ類、キジ類、ライチョウ類
なし
ハト類
後羽があることは原始的な形質
退化や消失は進化の過程で一様ではない。
翼や尾羽にはなく、体羽だけに存在。

 

羽小枝
多くの水鳥
発達
撥水性を生む
ウ類
なし
水が浸透し、浮力が減る。
サケイ類
渦巻状
水を運ぶのに役立つ。

 

冠羽
タゲリ、ヒバリなどでは一年中見られる。
雨覆
空気が逃げるのを防ぐ。
雨除けではない。
下雨覆は上面とは違う柔らかな羽
小翼羽
翼を畳んだとき、最も前にくる部分。
手首に相当
急旋回や着地のとき、失速を防ぐ。
タカ目で特に発達
上尾筒
孔雀、ケツァールのオスでは非常に長い。
尾羽
背骨の後部先端に付く。
迎角、面積を変えられる。
安定と制御の働き。
大きいほど遠距離飛行には不利。
陸鳥では面積が大きいものが多い。
首の長い鳥は尾羽が短い傾向がある。
ツバメ、トビなど空中で急に方向転換をする種では尾が二股に割れているものが多い。
尾骨の両側から生えているので、必ず偶数。
畳むと中央尾羽が上になる。
10~32枚(日本の鳥では最高26枚)多くが12枚
近似の鳥でも異なることも多い。
系統上にはあまり重要な意味は無い。
タシギ類ではコシギ14、オオジシギ18、ハリオシギ26枚

 

Feather
(フェザー)
正羽
Contour feather
綿羽
Down (Down feather)

衣類や布団でフェザー何%、ダウン何%などと表示されるが、
この場合のダウンとは半綿羽(semiplume)や糸状羽(floplume)を指している。
 

初列風切羽
キーウイ類
3~4枚
スズメ目
9枚
多くの鳥
10枚
カイツブリ類、コウノトリ類、フラミンゴ類、レア類
11枚
ダチョウ
16枚
翼面積の30~40%を占める。
次列風切羽
ハチドリの6枚~アホウドリの40枚までいろいろ
尾羽
多くが10枚か12枚
小翼羽
多くが3枚

 

 
 
正羽の数
940
ノドアカハチドリ
世界最少
1,140
カロライナコガラ(2/19)
 
1,500
ツバメ
 
1,527
ノドジロシトド(10月)
 
1,704
カロライナコガラ(6/4)
 
2,093
ウタスズメ(♀)
 
2,208
ウタスズメ(♀)
 
2,482
ゴマスズメ(♀)
 
2,633
ノドジロシトド(2月)
 
2,648
ゴマスズメ(♀)
 
2,763
ホオジロ
 
3,088
トラツグミ
 
3,100
キクイタダキ
 
3,307
ミドリメジロ
 
3,100
イエスズメ(夏)
 
3,500
イエスズメ(冬)
 
4,657
ツグミ
 
4,715
アオバト
腹825、頭930
5,107
ヤマシギ
 
5,521
ツグミ
 
6,500
カケス
 
6,836
ヤマセミ
 
7,182
ハクトウワシ
 
8,325
ニワトリ
 
20,000
オオヒシクイ
 
25,216
アメリカコハクチョウ
世界最多

スズメ類3,000
ハト類4,000
カモ類10,000~15,000
オウサマペンギンが換羽した羽を数えたら77,738枚
 

羽毛の重さ
体重に占める羽の重量割合は5~10%が多い。
小型の鳥ほど割合が多い。
熱帯の鳥
渡り鳥
季節による違いが少ない
留鳥(熱帯以外)
季節による違いが大きい
ムクドリ(7.4%)、 ヤマセミ(8%22.5g)、 ツグミ類 (9.3%)、  ワシ(16.6%)、ハクトウワシ18%(700g)、白鳥(10%)
30cmのキジの尾羽でさえ0.5g
オスのクジャクの綺麗な羽(上尾筒)140枚で170g
スズメ
1.83g
1.95g
イエスズメ
8月
0.9g
9月
1.5g

ノドアカハチドリの正羽で最も短いのは目の周りの羽毛。(0.4mm)
コハクチョウの正羽の80%は頭と首の部分。
個体によっても違う。
夏羽と冬羽の長さは変わらない。

体重1g当たりの羽毛数は大型の鳥ほど少ない。
ハチドリ(335枚) ハクチョウ(4枚)

 

羽区
体羽が生えている部分
裸区
体羽が生えていない部分
(綿羽、糸状羽は裸区にも生じる)
ダチョウ、サケビドリ、ペンギン、ヤマセミなどには無い。
(胚の段階ではダチョウなどにも無羽域が見られる)
運動で体温が上がりすぎたり、気温が高くなったときに羽毛を立てて羽区から体熱を放散させるのに役立っている。
熱帯の小鳥は裸区が多い
水鳥では羽区が広い。
水に接している時間が長いほど、体温は冷えるから。
鳥肌には正羽だけ

 

初列風切羽
外側
指骨に直接付いている羽
内側
掌骨に直接付いている羽(人の手首から先に相当)
次風切羽
前腕に直接付いている羽
小翼羽
第一指骨(人の手首)に生えている羽
雨覆
皮膚に生えている羽

 

 
骨に付く
皮膚に付く
第二指
小翼羽
 
人差し指+手のひら
(手首より先)
初列風切羽
初列大雨覆
尺骨
(肘~手首)
次列風切羽
次列雨覆
三列風切羽
 
上腕骨
(肩から肘)
肩羽
腋羽
 
尾端骨
尾羽
 

中央尾羽二枚は骨との付き方が特殊で、開くことができない。
 

飛べる鳥の羽毛は揚力を生むために左右非対称。
飛べない鳥の羽毛はその必要が無いので、左右対称。

 

初列風切羽
推力を生み出す
次列風切羽
揚力を生み出す
三列風切羽
翼と胴体のつながりを円滑にする

  
初列風切(8、9番目)の湾曲度
カイツブリ
16.2
キジ
13.8
アオサギ
7.9
コハクチョウ
7.1
キジバト
5.7
ウミネコ
4.5
ハシブトガラス
4.3
オオタカ
4.0
ハヤブサ
3.3
ハリオアマツバメ
2.9
ツバメ
1.7
あまり飛ばない種ほど湾曲度が大きい。
長く飛翔する種ほど湾曲度が小さい。
初速が遅い。
初速は、オオタカよりキジの方が速い。
ツバメの離陸速度は普通の鳥より遅く、天敵に襲われやすい。
 

 
和名
尾羽の数
中央尾羽の色
ネッタイチョウ類
シラオネッタイチョウ
12
アカハシネッタイチョウ
14
アカオネッタイチョウ
16

 

トカゲの尻尾切り
ハイタカに獲物として狙われる種には尾羽や腰の羽が抜けやすいものもいる。
尾羽や腰の羽は抜けても飛翔能力には影響が少ない。

 

翼式
初列風切羽を長い順に数字であらわしたもの。
鳥の種類の同定に役立つ。
ハヤブサ類は一番目が最も長いが、
タカ類では一、二番目より三番目が長い。
シマセンニュウ    3 4 2 5 1
ウチヤマセンニュウ 3 4 5 2 1

 

尾羽、風切、大雨覆、小雨覆は体から遠い羽が下、近い羽が上となる。
中雨覆だけは遠い羽が上、近い羽が下と逆になる。

 
 
オオセッカ
翼に爪がある(翼爪)
幼鳥、成鳥の翼角にある。
尾長鶏
突然変異により誕生。
雌は毎年換羽する。
雄も毎年換羽するが、尾羽の一部と上尾筒は換羽せず伸び続ける。
一年に0.8~1m伸びる
カンムリヅル
冠羽は羽軸が螺旋状になっていて、二次元の構造で三次元の構造に展開している。
キバシリ
樹に垂直に止まるとき、硬い二枚の中央尾羽で支える。
中央尾羽二枚は、他の尾羽の換羽が終わって、新しい羽が伸びきるまで抜けない。
サンコウチョウ
オスの中央尾羽は、生後一年ではメスより少し長い程度。
二年目で中程度
さらに二年後に完全な長さになる
♂の中央尾羽256~340mm。♀77~100mm
スズメ
ミソサザイ
長距離移動しない種では、初列と次列の長さはあまり変わらない。
ヤマセミ
冠羽340本(4.9%)
水に飛び込む時にショックを和らげるため?
 

羽繕い
羽繕いの前に水浴びすることが多い。
羽毛を湿らせ清潔を保ち、油脂腺分泌物を塗りやすくするため。
油脂腺分泌物は太陽に当たるとビタミンDを作る。
ビタミンDは直接皮膚から、あるいは
羽繕いのさいに飲み込んで体内に吸収される。

 

羽の重なり
風切
内側が上。
外側が下。
雨覆
内側が上。
外側が下。
次列小雨覆の体に近い部分は逆になっている。
尾羽
中央尾羽が一番上。
外側ほど下になる。
上尾筒
中央が一番下。
下尾筒
中央が一番上。
初列より次列が上。
風切より雨覆が上。(前側の羽が上)
肩羽が最も上。

 

一枚の鶏の羽を抜くには500~1,000gの力が必要。

 
 
キガタヒメマイコドリ
 
 
 
飛べない鳥