モズ

 

モズ
 

漢字名
(百舌 百種の鳥の鳴き声をまねする)

 

早贄(はやにえ)
①毒消し説
蛙やイモリの粘液腺に含まれる毒を消すため。
アメリカオオモズは、毒性の有るバッタを棘に刺し、解毒された頃に食べる。
②本能説
小動物を襲い、刺して食べるのが本能的習性だから。
?(春や夏に、あまり早にえを作らないのはおかしい)
③食べ残し説
後で食べるつもりが忘れた。
?(春や夏に、あまり早にえが残っていないのはおかしい)
④なわばり説
他のモズに、自分のなわばりを示している。
?(相手は食べてしまって、効果がない)
⑤貯蔵説
冬に備え、干物として貯える。
に大量にさす。
冬には渡り去るアカモズにもこの習性がある。
⑥結納説
オスの立てた早にえをメスが食べているのが観察されている。
繁殖期になると、オスの縄張りの中にメスが嫁入りするが、
メスは良いなわばりかどうか、調べてまわる。
⑦好き嫌い説
ペリットとはやにえで、差があることから捕まえた餌のうち、
嫌いなものをはやにえにする。
?(はやにえの中には特別な採餌法を必要とするものもあり、
たまたま嫌いなものをはやにえにするだけとは考えにくい。)
⑧処理説
丸呑みできない大きな獲物を引き裂くための処理方法。
獲物を素早く殺せる。
春~夏に多いが、じきに食べてしまうので目に付きにくい。
アメリカオオモズでは、棘に刺した獲物を多く保持しているオスほど早くメスと番になる。
アメリカオオモズでは、毒の有るバッタでも早贄にして食べる。
実験で人がこのバッタを殺して、1~2日たつと食べることができた。
イスラエルのオオモズは巣ができる頃に早贄が最多となった。
実験で早贄を増やすと早く結婚し多くの子供を育てることができた。
早贄を取り除くと結婚できなかったり、縄張りを捨ててしまうことも。
冬期縄張りは11月初めに形成
はやにえが作られるのは11~1月が多く、消費されるのは12~2月が多い。

 

鳴き真似
① おびき寄せ説
他の鳥をおびき寄せて捕らえるため。
?(モズの声に小鳥が近づいたという観察例がない。)
② 恋愛説
声のレパートリーを増やして、メスを引き寄せるため。
?(秋にも聞かれる)
③ 縄張宣言説
他の種類の鳥に対しても縄張宣言している。
レパートリーの多い個体は、それだけ長生きした経験豊富な証拠で、
侵入者は強そうな個体の縄張を避ける。
鳴き真似の声は本来の声より声量が小さく、サブソングである。
モズだけではなく、囀りを行う鳥では鳴き真似は珍しい行動ではない。

 

モズの高鳴き
嘴や爪が鋭いので、モズ同士が喧嘩すると大怪我の危険がある。
それを避けるため声による誇示行動で闘争を回避する。

 

後趾が発達しているので、獲物を強く掴むことができる。

 

性的二型                         
雌雄に違いが少ないモズ科にあって、モズは違いが明瞭。

 

メス
春になると冬の縄張りを捨て、オスの縄張りを訪問する。
抱卵はメスのみ
非繁殖期の体重はオスよりやや軽いが、繁殖期はオスより重くなる。(特に造巣期)

 

求愛
オスはメスに対し、黒い過眼線を見せつけるダンスを行う。

 

巣造り
オス
メス
外装
内装
産座

 

褐色タイプと赤色タイプがある
一卵目が最小。
二卵目、三卵目と段々大きくなり、三卵目以降ほぼ同じ大きさ。
一卵目の雛が最初に孵化、成長が早い。
最後の卵を産む前に抱卵を始めるので、最後のヒナは小さい。
一般に繁殖成績は若鳥より成鳥の方が良く、雄より雌の影響が大きい。
しかしモズでは成鳥雄と若鳥雌のペアは若鳥雄と成鳥雌ペアより一腹卵数が多い。
モズでは産卵前に雄から雌への求愛給餌が行われ、成鳥雄ほど頻繁なので雌は多くの卵を産む。
育雛
雛が育つと、オスとメスが23羽ずつ分け合って育てる形式もある。

 

高原モズ
平地と高地の異なった地域で年二回繁殖。
同じつがい。
春に換羽は行われないので、夏は羽縁の磨耗と退色で淡い色になる。
高地で繁殖する雄は上面の羽縁が擦り切れて灰青色になる。

 

夏鳥
北海道、東北北部
留鳥
関東以南
冬鳥
南西諸島

 

越冬地
オス
メス
北部
標高の高い場所
寒冷地に多い
南部
平地
温暖地に多い
オスの方が良い場所を縄張りにする。

 

 
オス
メス
翼長(mm)
84.6
83.5
尾長(mm)
88.4
85.5
露出嘴峰長(mm)
16.4
16.2
ふ蹠長(mm)
26.1
26.1
体重(g)
40
41

 

 
帰還率(%)
モズ
18
0
アカモズ
43
13
モズは繁殖に成功しても、前年の繁殖地に執着しない。
アカモズは環境の選好の幅が狭く、同じ場所に帰還する。

 

アカモズ
モズと違い、地上に降りて餌を探すことはなく、空中専門。
額の白い部分がオスのほうが大きい。い。
抱卵は産卵と同時に始まり、徐々にその時間が増加して、最後の卵を産んだ翌日から完全抱卵に入る。