生殖

 

生殖
 
 

精巣
精巣は一対あるが、非繁殖期には不活発で小さい。
多くの種では左の精巣が大きい。
精子の数が哺乳類より多く、粘稠性が高い。

 

精巣が大きい
尾羽や翼の性差が大
浮気の頻度が高い
精巣が小さい
尾羽や翼の性差が小
浮気の頻度が低い

 

精巣
最大
ダチョウ
115g
最小
アレンハチドリ
0.01g
体重の重い種ほど大きな精巣を持つ

 

精巣
精子競争が強いほど大きい
一妻多夫種
乱婚の種
大きい
コロニー繁殖種
一夫多妻種
大きい
縄張分散型の一夫一妻種
軽い
協同繁殖種
軽い
交尾回数の少ないレック種
最も少ない

 

 
精液量(ml)
精子数(/ml)
ハト
0.004
74億個
ウズラ
0.012
43億個
ホロホロチョウ
0.018
41億個
シチメンチョウ
0.300
74億個
ニワトリ
0.325
37億個
アヒル
0.390
95億個
鶏では一回の射精で1.7~3.5兆個の精子が移動。

 

精子の長さ
(μm)
110
クロトキ
69
アヒル
64
53~

 

精子運動特性
(μm/sec)
35~53.3
20
17

 

単精
一個の精子のみに卵細胞質内への進入を許す。
哺乳類
硬骨魚
カエル目
多精
卵細胞質に入った複数の精子のうち、一個のみ
卵核との融合を許し、他は排除、退化させる。
鳥類
軟骨魚
サンショウウオ目

 

羽毛
欧州のシジュウカラでは、色鮮やかな羽毛を持つ♂ほど精子が強力。
精子は活性酸素フリーラジカルによってダメージを受ける。
フリーラジカルは汚染などの要因によってストレスがかかると精液中に生成され、精子の運動能力を低下させる。
フリーラジカルに対抗するため、生物の多くは抗酸化物質を生成している。
シジュウカラが持つ抗酸化物質カロチノイドは、フリーラジカルから精子を守り、胸部の羽毛を黄色にする作用がある。
カロチノイドを多く有する♂ほど羽色が濃く、精子の耐性も強い。
♀はこの違いを認識した上で、色鮮やかな♂を探している。

 

精子貯蔵
発情期に膣の一部が膨らんでそこに精子を貯める。
10日程度が普通
ニワトリでは、一回の交尾で10日間、受精卵を生産し続けることが可能。
シチメンチョウ45日
アホウドリ8週間
最短の鳩で6日
後から交尾した雄の精子の方がより活発である。
精子は高温に弱いため、大部分の哺乳類と爬虫類では精巣が陰嚢または外部嚢にあるが、鳥類では体温の伝わる腹腔内にある。
体温の影響を抑えるため、精子の形成と発育は体温が低い夜間に行われる。

 

 
交尾間隔
P2(後から交尾した雄の精子が受精できる割合)
ニワトリ
数時間
0.58
1~3日
0.8
シチメンチョウ
10日
0.71
キンカチョウ
4時間未満
0.8
4時間以上
0.5

 

卵巣
卵巣と輸卵管は発生途中で右側のものが退化。
左側のものだけ残っている。
雛から幼鳥のうちにメスの卵巣を取り除くと、右側の卵巣が肥大してくる。
右側の卵巣も取り除くと換羽後、オスの成鳥羽を生じる。
このことから元々オス型に生まれるべきものをメス型ホルモンが抑制していると考えられる。

 

熱帯
熱帯の鳥では生殖腺は乾季の終わり頃(3月中旬)から発達し、5月に最大。
換羽は繁殖が終わる7~8月に始まる傾向がある。
日の長さの変化を手掛かりにする。(最大1時間ほど)
雨季の到来は年によって異なるが、鳥はそれに合わせて繁殖期をずらす。

 

多くのスズメ目の排泄孔
膨らんで突起状
徐々にせりあがった形

 

総排泄腔突起
乱婚の機会の多い種や交尾頻度の高い種は大きな突起を持つ。

 

陰茎
突出型生殖茎
鳥類ではダチョウ、カモ、ホウカンチョウなど、ごく一部に存在する。
交接器
爬虫類には『ペニスもどき』が付いているのに、爬虫類から進化した鳥類には外部交接器が無い種が多い。
交尾時間が長いと敵に襲われやすい。
水中交尾するカモ科などは敵の襲われにくい。
交接器があるのはカモ、ガン、ダチョウ、エミュー、ヒクイドリ、シチメンチョウ、コウノトリ、ホウカンチョウ、ニワトリなど。
ペニスと言えるほどのものではないが、総排泄孔のところから管が現れてかすかに突出していることもある。

 

膀胱
ダチョウ類のみに存在。

 

睾丸
腎臓と腸の間に、白みがかった楕円形をした一対の器官。
非繁殖期は非常に小さい。
哺乳類の場合、停留睾丸状態では正常な精巣機能が維持できない。
鳥類の場合、精子形成に関する酵素の最適温度が高いので、
高い体温でも正常な酵素活性を発揮でき、機能に異常を起こさない。

 

交尾
多くの鳥では1秒程度。
ペニスを持つ種では30秒程度。
アジサシの仲間は一分以上と長時間。
シチメンチョウは15分。
ハシボソヨシキリは25分。
ベテランほど短時間、未熟なペアでは長時間。
つがい外交尾
EPC 婚外交尾
EPF(つがい外受精)
一夫多妻の種、サギなどコロニー繁殖する種に多い。
産卵前の約10日前~産卵終了まで
モズで10%、オオヨシキリは5%と少ない。
ヨーロッパのツバメでは17.8~33%
♂はつがい外交尾によって本来より多くの子を残すことができる。
♀の利点として、つがい外子の方が体重が大きい。
強制交尾
FC
カモ類、サギ類、カラス類で記録されている。
排卵との関係で、強制交尾での受精率は低い。
妻が他のオスに強制交尾された場合、後から夫が妻に強制交尾を迫る。
後から交尾するほど受精に有利なため。

 

 
常染色体+性染色体
 
 
ニワトリ
2n
76+ZZ
76+ZW
ハト
2n
78+ZZ
78+ZO

 
 
染色体数
クロウタドリ
80
カナリア
80
カモ
80
ハイイロガン
80
タンチョウ
80
カワラバト
80
78
イエスズメ
76
白鷺
68
 
104
78
60
ゴキブリ
47
46
コウモリ
44
アリゲーター
32
ミミズ
32
モンシロチョウ
30
トンボ
26
アマガエル
24
ホタル
24
ショウジョウバエ
8
6
回虫
2