詩歌

 

詩歌
 

おしどりのひとりね
恋しい人を思いつつ寝ることのたとえ

 

ちどり
冬の歌が多い
留鳥であるコチドリ、イカルチドリ、シロチドリ
秋のチドリではメダイチドリも含まれる。
万葉集でちどりは22首詠われているが、群れを成している一般の鳥を『ちどり』としている歌が4首。
平安時代になって浜にいる千鳥を『はまちどり』と呼んだ。

 

しぎ
タシギ、ヤマシギ、ハマシギなど

 

しゃくしぎ
ダイシャクシギ、チュウシャクシギ、コシャクシギの総称。
江戸時代には主にダイシャクシギを指した。

 

ふくろう
中国から来た言い伝えでは、親を食う不孝鳥。

 

やまどり
雌雄は昼は共に居るが、夜は峰を隔てて寝るといわれる。

 

ほととぎす
その声が、人の叫び声のように感じられ、人恋しさを誘う。
万葉集4,500余首のうち、鳥類最高の156首に読まれる。
百人一首では1首だけ。
不如帰(ふじょき)=中国でプルクイチュ(帰りたい)と聞いた。
時鳥=夏に限って鳴くから(日本独特の表記)
郭公 
ホトトギスとカッコウが区別されるようになったのは鎌倉時代から。
 橘
ホトトギスと共に詠んだ歌29首
ホトトギスは柑橘類に付くアゲハ類の幼虫を好んで捕食。
卯の花
田植えを控えたこの時期、米粒に似た卯の花の咲く風景に秋の豊かな実りを願いながら見る花。
『田植鳥』と呼ばれたホトトギスとの取り合わせが好まれた。
ホトトギスと一緒に詠まれたのは万葉集に15首。
忍び音
その年に初めて聞くホトトギスの声。
ホトトギスは、鳴き初めて間もない頃忍び音で鳴くとされていた。

 

初音
初めて聞く声を初音というが、初音はウグイスとホトトギスだけ。
それはこの二つの鳥はその初音が待たれるから。
ウグイスの初音は春の訪れ、ホトトギスは夏の訪れ。

ホトトギスは立夏の日に鳴き出すと考えられていた。
 

 
ホトトギスの表記
万葉集
霍公鳥
94
保登等芸須
24
保等登芸須
23
その他
4

 

 
万葉集
古今集
ホトトギス
152
43
ガン
67
24
ウグイス
51
27
ツル
44
 

万葉集で鳥の歌は35種、611首
新古今集にはホトトギスの歌は47首
 

 
万葉集
古今集
ホトトギス
霍公鳥
郭公

 

ホトトギス
不如帰
時鳥
子規
霍公鳥
杜宇
蜀魂
うずきどり
あやなしどり
くつてどり
しでのたおさ
たまむかえどり

霍の字義は『あわただしく飛ぶ鳥の形容』
 

 
回数
古今和歌集
ホトトギス(郭公)(山郭公)
42
ガン(かり雁)(初雁)
26
ウグイス(鶯)
25
ツル(鶴)(あしたづ葦鶴)
9
(ふゆつけどり木綿付鳥)
4
(とり鳥)
4
(いなおほせどり稲負鳥)
2
チドリ(千鳥)
2
(はまちどり浜千鳥)
1
(ももちどり百千鳥)
1
(あしがも葦鴨)
1
ウズラ(鶉)
1
キジ(雉)
1
シギ(鴫)
1
カイツブリ(にほどり鳰鳥)
1
(みやこどり都鳥)
1
(むらとり群鳥)
1
(よぶこどり呼子鳥)
1
オシドリ(おしどり鴛鴦)
1

 
万葉時代には托卵の習性は知られておらず、
ホトトギスはウグイスの子と信じられていた。
 

カササギ
かささぎのわたせる橋におく霜のしろきをみれば夜ぞふけにける
 大伴家持
カササギは七夕の夜、織姫が彦星に会うための橋をかけたとされる。

 

斎藤茂吉
鳥を題材にした歌を好んで詠んだ。
700首以上。
啼くこゑは悲しけれども夕鳥は木に眠るなりわれは寝なくに
のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根の母は死にたまふなり

 

枕詞
被枕
朝鳥の(あさとりの)
音のみ泣く(ねのみなく)
  朝の鳥は盛んに鳴くので。
葦鶴の(あしたづの)
音に泣く(ねになく)
  葦辺に棲む鶴は高い声で繰り返し鳴くことがある。
葦鶴の(あしたづの)
音のみ泣く(ねのみなく)
あぢさはふ
目(め)
  『あぢ』は小鴨の類。
天飛ぶや(あまとぶや)
雁(かり)
  雁は天高く飛ぶ鳥であるから。
鳥(とり)
  鳥は天を飛ぶものであるから。
沖つ鳥(おきつとり)
  鴨は沖に浮かんでいる鳥であるから。
鳰鳥の(にほどりの)
葛飾(かづしか)
  水中に潜(かづ)くので、同音の『かづしか』に転じた。
さ野つ鳥(さのつどり)
雉(きぎし)
  雉は野に棲む鳥であるから。
息長鳥(しながとり)
猪名(ゐな)
  息長鳥はカイツブリ。雌雄居並ぶことが多いので。
島つ鳥(しまつとり)
鵜(う)
  鵜は島に居る鳥だから。
飛ぶ鳥の(とぶとりの)
明日香
  飛ぶ鳥のように早く帰ってくるように。
鶏が鳴く(とりがなく)
鳥が鳴く
東(あづま)
  鳥が囀るような東国方言のわかりにくさ。
遠つ人(とほつひと)
雁(かり)
  雁を、遠く旅する人に喩える。
庭つ鳥(にはつとり)
鶏(かけ)
  庭つ鳥は鶏。
鳰鳥の(にほどりの)
息長川(おきなががは)
  カイツブリは息が長いので。
鳰鳥の(にほどりの)
なづさふ
  水の上を漂い泳ぐ習性から
ぬえこ鳥(ぬえこどり)
うら歎(な)け
  心の底(うら)から歎いている。
鵺鳥の(ぬえとりの)
のどよふ、片恋
  物悲しく、人を恋い慕うように鳴く
浜千鳥(はまちどり)
跡(あと)
  浜千鳥は砂浜に足跡を残すので、筆跡(手紙)を意味
する『跡』に続けた。
水鳥の(みづとりの)
青葉(あをば)
  水鳥の羽は青いことから。
水鳥の(みづとりの)
  鴨は水鳥を代表する鳥。
水鳥の(みづとりの)
立つ
  水鳥は水面から飛び立つので、発つに掛けた。