睡眠

 

睡眠
 

脳の神経回路を維持する一つの方法として進化した。
大きな脳と内温性代謝は、複雑な睡眠パターンと共に進化。
我々の睡眠中には、ゆっくりとした脳波が見られる時期と、目玉が動き覚醒脳波が見られる時期とがあるが、これは哺乳類と鳥類の特徴で、爬虫類にはこのような二相の睡眠ない。
鳥は早寝早起き。
早寝の鳥ほど遅く起きる。
早寝の鳥ほど時間の変化が大きい。
早起き
夕方遅くまで活動

 

夜の睡眠時間
昼行性の鳥
夜行性の鳥
60~80%
30~50%

ホシムクドリの睡眠時間は一日45分
セグロカモメは5時間だが、常に警戒し、一分以上目を閉じていることはない。
 
哺乳類や鳥類は進化の過程で大脳を発達させたたまに、レム睡眠だけでは
充分な休息を得ることができず、新たにノンレム睡眠が備わった。

 
ノンレム睡眠
レム睡眠
睡眠時間の割合
36.6%
2.3%
一回の持続時間
144秒
9秒

レム睡眠が少ないのが鳥の特徴。
睡眠は短くてすぐ途切れる。
雛はレム睡眠が長い。
 

多くの鳥は、眠ったまま単純な水泳や、飛行のように反射的運動を持続できる。
この場合の眠りは、筋肉の緊張を失わないノンレム睡眠。
カモでは川でも寝ながら脚を動かし、あまり流されない。
こんな日常的な動作は、脳を覚醒させておかなくても、反射的に行える。
時には半球睡眠で左右の脳を交互に眠らせながら、飛行を続けたり、外敵を警戒したりする。

 

半球睡眠
左右の脳半球を交互に眠らせる半球睡眠を、多くの種で観察されている。
このとき、片目を閉じている。
カモメやアホウドリでは飛びながらでも行う。
ノンレム睡眠

 

日内休眠(デイリー・トーパー)
ハチドリのような小型の鳥は体表面積が相対的に大きいため、エネルギーの損失が大変大きい。
睡眠時に高い体温を保持するのはエネルギーの無駄であり、
危険。
そこで、睡眠時に体温を下げる。
休眠の際、代謝率が50分の1まで下がる。
 
ハトのようなもっと大きい鳥でも、絶食状態のときは、エネルギー消費を抑えるため、夜間の睡眠時には、体温を7~8度低下させることがある。

 

コウテイペンギン
抱卵で絶食中には、覚醒時間が半減。
一日の四分の一ほどに下がる。
代わってノンレム睡眠が一日の半分以上に。
一日6%だったレム睡眠は、3%に減る。
シギチ
シギやチドリの睡眠リズムは太陽でなく、潮の満ち引きに左右される。
メグロ
毎日同じ枝に止まって寝る。

 

夜間飛行
レーダーを使った追跡でアマツバメは、
一晩中飛行を続けている事実が知られている。

 

非繁殖期
行動
単独
集団
睡眠
単独
カワセミ
キツツキ類
モズ
ツグミ類
ジョウビタキ
ウグイス
ヒヨドリ
カラ類
集団
ハクセキレイ
セグロセキレイ
トビ
コマドリ
ミソサザイ
カモ類
シギチ類
カモメ類
アトリ
エナガ
スズメ
ムクドリ
オナガ
カラス

エナガ、オナガは昼夜とも同一集団で過ごす。
 

体をくっつける
(接触就眠)
メジロ、メグロ、エナガ
小鳥に多い。体温の保持に役立つ。
体をくっつけない
ハクセキレイ、スズメ、ムクドリ、カラス

 

健康な成人では、レム睡眠とノンレム睡眠の二種類の眠りが1.5時間の単位を作り、最初の二単位(約三時間)に、質の良い睡眠が得られる。
そして各単位の終了時ごとに目覚めやすくなるので、寝入った時刻から4.5時間、6時間、7.5時間後に起きるようにすれば目覚めが良い。

 

睡眠の分化
 
その他の生物
無脊椎動物
脊椎動物
変温性動物
恒温性動物
休息、活動の
概日リズム
行動、睡眠
終脳睡眠
脳波睡眠

 
 
 
昆虫
軟体動物
魚類
両生類
爬虫類
鳥類
哺乳類
長い不活動期
サーカディァンリズム
閾値上昇
特有な眠り姿勢
ノンレム睡眠
レム睡眠
 

 
睡眠(休息)
配置
総量
(時)
エピソードの長さ
(分)
暗期 夜
明期 昼
ホワイトレグホン
 
 
11.7
 
ハイイロガン
++
++
6.2
 
アヒル
++
++
10.8
 
タカ
++++
 
4.5
3~40
ハヤブサ
++++
 
4.5
3~40
コウテイペンギン
++
++
10.7
4.8
ドバト
+++
10.6
7
インコ
 
 
9.4
 
フクロウ
++
++
16.0
 
シマフクロウ
 
 
7.9
 
アトリ
++++
 
7.0
 
ホシムクドリ
++++
 
4.8
 
爬虫類(カイマン)
+++
3
16
両生類(ヒキガエル)
 
+++
14.6
25
魚(テンチ)
 
+++
14.4
15~20
ゴキブリ
 
++++
14
 
野生条件
 
 
 
 
オオハクチョウ
+++
5.7
 
+++
12.0
 
オナガガモ
 
++++
8.1
 
コガモ
 
++++
8.1
 
クロガモ
++
++
7.5
 
ホシハジロ
++
++
12.8
 
キンクロハジロ
++++
 
13.2
 
ホオジロガモ
++++
 
6.4
 
ミコアイサ
++++
 
13.4
 
ケワタガモ
 
++++
4.3
 
ハイイロヒレアシシギ
++++
 
3.1
 
セグロカモメ
+++
5.0
 
ミツユビカモメ
++++
 
6.3
 
キョクアジサシ
 
++++
3.5
 
ガラパゴスペンギン
++++
 
12.8
 
シチメンチョウ
++++
 
3.9
 
アマツバメ
++++
 
10.6
 
イワツバメ
++++
 
3.3
 
ハシグロヒタキ
++++
 
4.8
 
シジュウカラ
++++
 
8.0
 
コガラ
++++
 
11.7
 
ユキホオジロ
++++
 
4.6
 

 

睡眠
木の幹に垂直に止まる
キツツキ類
キバシリ類
樹上で逆さにぶらさがる
サトウチョウ類
飛びながら
セグロアジサシ
コアホウドリ
ヨーロッパアマツバメ

 

寝相
前型
頸の短い鳥は、覚醒時と同じように、正面を向いたまま眠る。
フクロウ類など
嘴を前に出し、頸をすくめた姿勢で眠る。
ハト類、
カイツブリ類
チドリ類の一部
コウノトリ類
後型
頭を後ろに回転させ、くちばしを背中に乗せたり、羽毛の中に差し込んだりする。
嘴を背中の羽に隠すのは、嘴には羽毛が無く熱が奪われてしまうから。
多くの鳥

 

 
冬眠
アメリカのプアーウィルヨタカで冬眠が確認されている
通常体温41度が18~19度に低下。
 
ある種のハチドリは毎夜、外温と同じ位まで体温を下げて冬眠状態になる。