川柳

 

川柳
 

アヒル
ガアガアと いう筈女房 元家鴨

 

ウグイス
鶯を 逃がして屋根の 谷渡り(篭から逃げた鶯を追って屋根の上を追いかける)

 

鸚鵡
異国から 来ても鸚鵡は 江戸言葉

 

白鷺
白鷺の 田をきたながる 足づかひ (武玉川より)

 

セキレイ
鶺鴒は 一度教えて あきれはて
芝居にて 見合い濡れ場が 教え鳥
も一つの 伝授鶺鴒 泣いてみせ

 

鶏の 喧嘩おじぎを してはじめ

 

ヒバリ
出合いする 上をひばりは 舞って居る (出合=村出合=村の男女の密会)

 

ホトトギス
目には青葉 山不如帰 初鰹
聞いたかと 問われて 喰ったかと答へ 
目と耳は 良いが口には 銭がいる 
せせなげへ うっかり落ちる ほととぎす (せせなげ=下水)
    (ホトトギスの声を聞いて、空を見ながら歩いたら下水に落ちた)

 

都鳥
名にし負はば いざ事問わん 都鳥 我が思ふ人は ありやなしやと
翌る日は いざこざ聞かん 都鳥
問う人が ただの人なら ただの鳥
業平が 歌に詠まぬと 名なし鳥
隅田川 所の人は かもめ也
(ユリカモメは都鳥だが)土地の人間にはただの鴎
隅田川 鳥さえ見れば 都鳥
橋一つ 隔てば鴎 都鳥
水鳥に 二つ名のある すみだ川
名にほれて 見れば鴎も 都鳥
名所とて かもめ住めば 都鳥 (住めば都にかけて)
鴎見て あれにしておけ 都鳥