江戸ことば
青首 |
真鴨の雄 捕獲が禁止され、売買も役人の検印が必要。 |
明烏 |
あけがらす 夜明け頃に鳴く鴉 男女の別れを表すもの。 |
浅黄鴨 |
浅黄色の半天を着た小者 黒半天の「黒鴨」より更にみすぼらしいとされた。 「藪医者は 浅黄鴨など つれてくる」 |
頭の欠けた鳥 |
蝙蝠の異名。頭に比して耳の大きいところから。 |
家鴨 |
深川の岡場所の異称。 (二百のことをガアと申します。ガアを二つで一本になりますから、泊が出来ます。ガアガアといふものはハ、家鴨より外ござりません) 「ふか川は 海にあひるの 居る所」 |
有難山の時鳥 |
ありがたやまのほととぎす 山ほど感謝するで、「有難山」山と付いたので「ホトトギス」 |
好鳥 |
いいとり 自分にとって大変に都合が良いもの。良い鴨。 |
頂山の鳶烏 |
いただきやまのとびがらす 「いただきます」から、山の頂。鳶や烏は飛んで来て物をさらっていくから、思いがけず手に入ることを表現。 |
意地雁股 |
いじかりまた 荷物を運ぶ時の足の形。中腰で両足を広げた状態。がに股 川柳「五百両 いじかり股に 歩かせる」 |
鵜の反吐 |
うのへど 鮎の異称 鵜飼において、鵜が一度飲み込んだ魚を吐くことによる。 |
鵜の目返 |
うのめがえし 布を強化するために、糸で点々と差し縫いすること。 「手には鷹 足には鵜の目 返し也」 |
鵜の目鷹の目 |
鵜が小魚を探すような、鷹が小鳥を探すような、懸命に物を探し出そうとするさま。 |
鶉 |
@芝居小屋の後方の安い席が鶉座敷 A鶉餅。中に塩餡を入れた饅頭。 |
餌差 |
えさし 鷹の餌にする小鳥を捕える人。江戸幕府にはこの役職があり、鷹匠の配下。 |
江戸雀 |
江戸の事情に精通した人。 「椋鳥も 毎年来ると 江戸雀」 |
小鷹結び |
おたかむすび 帯の結び方の一つ。 小鷹が飛び回っているように見える。 |
尾羽打枯らす |
おはうちからす 鷹の尾と羽が傷んでみすぼらしくなる意。落ちぶれて以前のおもかげのないこと。 |
掻立 |
かきたて 行灯の灯心を押さえる心押し。鶴のデザインが多い。 |
鶴翼 |
かくよく 鶴が翼を広げているような形に陣を張り、敵を包囲する。 |
籠の鳥 |
吉原の遊女。 廓から自由に出られず、年季や借金に縛られているさま。 「籠の鳥 三度目からは 餌付くなり」 (馴染みになる) |
風吹烏 |
かざふきがらす 風が強いとカラスも真っすぐ飛べない。よろめくので、酔って足取りのしっかりしないさま。 |
鴎髱 |
かもめづと 髱(たぼ)の長く反った髪型。より細いものは「鶺鴒髱」。 髱が、鳥の尾のように長い。 |
烏金 |
からすがね 朝借りて、夕または翌朝に返す小口の事業資金。 カラスが早朝に町に来て、夕方には帰って行くのに掛けた。 |
雁瘡 |
がんがさ 湿疹など、特に手足にできるもの。 雁が渡ってくる頃でき、去る頃に治ることから。 川柳「うるさゝは 初雁がねを 脛で知り」 |
雁首 |
がんくび 煙管の頭。たいていの人が煙草を吸っていたので、「まぁ一服」となり、何人か人が集まることを「雁首揃える」といった。 |
鳩首 |
きゅうしゅ 人が集まって相談する様を、鳩が集まる様に掛けた。 |
九の鳥 |
くのとり 鳩の異称。文字の洒落。 「八の字で 九の鳥を書く 御神号」(八=八幡の表象) |
黒鴨 |
紺の無地木綿物をつけた草履取り、下男など。 「あひるでも 追えと黒鴨 弐朱もらい」 |
鴟尾 |
しび 鴟(ミミズク)の尾をかたどった装飾瓦。 |
雀色時 |
すずめいろどき 夕暮れ時、たそがれ時。 |
鶺鴒の尾 |
せきれいのお 北辰一刀流の基本的な構え。 剣先を、鶺鴒の尾のように微妙に動かす。 |
千年 |
寿命が千年あるということから、鶴の異称。 「一切れが 一年程の 御吸物」 (鶴の肉を千切り) |
鷹 |
夜鷹の略称。 「鳥さしの 帰る時分に 鷹が出る」 |
鷹の爪 |
宇治茶の名。抹茶にする上等品。 「鶯や 鶉でも飲む 鷹の爪」 (鶯餅や鶉餅) |
たくみどり |
巣を作ることが巧みである鳥。 ミソサザイ、ツリスガラ、エナガ、キツツキなど。 |
田の鳥 |
鴫の字を分解して。 |
鳥目 |
ちょうもく 銅銭の異称。 中央に穴があり、その形が鵞鳥に似る。 「鳥の目を 折助鷹に 取りほされ」 (夜鷹につぎ込む) |
鳥刺 |
とりさし 竿先にとりもちを塗って、小鳥を捕えることを渡世とする人。 |
鳶 |
町火消の異称。 消火道具の鳶口を持つことから。 「安い鳶 あひるふさがり 鷹へそれ」 |
鳶色 |
鳶の註F。基準的色調で、当時鳶色が流行した。 「鳶色の 果をからすに 染直し」 |
とってんこう |
鶏の鳴き声 |
鳶に油揚をさらわれる |
江戸時代は豆腐屋で油揚げを買うと、むき出しのまま紐で結んだ。 |
呑込山の寒烏 |
のみこみやまのかんがらす 相手の依頼を承知して、ぐっと腹に納めるために喉を通したという洒落。 |
羽白 |
鴨の一種。翼に白い斑点がある。 歯白にかけて娘に見立てる。 「伴頭は 内の羽白を しめたがり」 (主人の娘を狙う) |
火焚鳥 |
ひたきどり(ジョウビタキ) 鳴き声が火打ち石を打つ音に似る。 「夜は衛士の 庭にきて啼 火焚鳥」(衛士の焚火に掛ける) |
一声 |
時鳥の啼声 「百人の 中へ一声 ほとゝぎす」 (百人一首中、ただ一首) |
昼鳶 |
ひるとんび 昼間、人家に忍び入って金品をかすめ取る盗人。 「これも縁 夜鷹になじむ 昼鳶」 |
不届茄子の鴫焼き |
ふつどきなすのしぎやき 「不届きな」の洒落。「な」に「なすび」と掛けた。 鴫焼は、茄子の田楽のこと。 |
蚊母鳥 |
ぶんぼちょう ヨタカ 口から蚊を発生させていたと思われていた。 |
鶚鮓 |
みさごずし 鶚は捕えてきた魚を、岩陰に隠すが、それに海水がかかり自然に発酵したもの。 |
椋鳥 |
地方出身の季節労働者。(特に信濃地方) 11月頃に、出稼ぎに来るため「椋鳥来る」といい、2月頃農繁期前に帰る為「椋鳥帰る」という。 ムクドリは、江戸では冬鳥だった。 |
目白押し |
メジロには枝に止まって仲間と押し合うように並ぶ習性があるところから、多数の者が一か所に集まって押し合うかたち。 |
雌鶏 |
諺「雌鶏勧めて雄鶏時をつくる」の略。 夫が妻の言いなりになること。 |
紅葉鳥 |
鹿の異称。 晩秋に鳴く鹿の声を鳥の声にたとえたもの。秋の季語 |
葭切 |
ヨシキリのように、早口で多弁な人。 「くろがもの 外によしきり 壱人付き」 (もう一人の供の者) |
吉原雀 |
吉原に出入りして、その事情に通じた者。 葦の中でよく鳴く葦原雀(オオヨシキリ)に掛けた。 |
夜鷹 |
夜間に辻などに出て、客を引く低級な売春婦。 |
夜の鶴 |
夜、巣作りして鳴く鶴の声は、子を思って鳴くところから、子を思う親の愛情をいう。 |
調理法 |
|
雉焼 |
鰹の切身を醤油につけて焼いたもの。 元は雉肉に用いた調理法。 |
雉子に焼かずば 食われまい 安鰹 (雉も鳴かずば射たれまい) |
|
鴫焼 |
茄子の田楽。 形状が鴫に似る。 |
蛤も 茄子も鰹も 焼けば鳥 |
|
千鳥焼 |
蛤の田楽。 |
蛤も 千鳥となれば 茄子は鴫 |
|
雀焼 |
鮒を背開きにして串にさし、味噌醤油をつけて焼いたもの。 形状が雀に似る。 |
鮒は雀になり 鰹は雉になり |
一両 四分 十六朱 四千文 |
一分 四朱 |
一朱 二百五十文 |
一文銭=文銭(寛永通宝)
四文銭=波銭
「文六に 買ハれた夜鷹 くやしがり」 |
夜鷹の代金は二十四文(波銭六枚)なのに、文銭六枚。 暗い場所でだまされる。 |
「鳳凰ハ 三分で鷹ハ はら四文」 |
鳳凰=吉原の遊女で、三分(三千文) はら四文=二十四文なので、夜鷹は遊女の百二十五分の一 |