江戸の鳥
日本橋から五里四方は、一般の狩猟が禁止
その外側十里四方は徳川御三家の鷹狩の場
アカハラ |
千住 砂村 |
あかはら 砂村は江東区北砂、南砂 |
イカル |
目黒 中野 |
まめまハし |
イスカ |
四谷 |
交喙 |
ウグイス |
根岸 三崎 |
柴鶺鴒 三崎は谷中から千駄木の坂で、鶯谷と呼んだ(JR鶯谷駅から1.5km離れている) |
ウズラ |
西ヶ原 駒場 |
鶉 目黒区駒場は広い野原 |
ウソ |
四谷 |
うそ |
エナガ |
綾瀬 |
えなが 綾瀬は足立区 |
カケス |
上野 芝 |
かけす 上野は寛永寺、芝は増上寺 |
カッコウ |
竹塚 |
鳲鳩 竹塚は足立区 |
カモ |
隅田川 千住 |
まがも、あいさ |
カワウ |
王子 荒川 |
鸕鷀(ろじ) 浜離宮でも繁殖していた |
キクイタダキ |
高田 |
きくいただき 高田は新宿区西早稲田 |
コウノトリ |
葛西 |
鸛 浅草寺、本願寺、青山の新長谷寺などの屋根に営巣 |
コシアカツバメ |
霞が関 牛込 |
をにつばめ とっくり型の巣にも言及 |
サギ |
行徳 |
鷺、あおさぎ、ごいさぎ 冬鳥 |
サンコウチョウ |
上野 千住 |
山鵲 上野は寛永寺で現在の上野公園 |
シギ |
不忍池 |
鷸 当時はカンエンガヤツリが多かった |
タンチョウ |
三ノ輪 |
明治初期に東京に滞在したヴィーンは「隅田川と中川にはさまれた湿地帯でよく見かける」 |
チドリ |
佃島 洲崎、中川 |
信鳥 シロチドリ? |
ツル |
本所 千住 品川 |
真名鶴、黒鶴 将軍の権威を象徴する高貴な鳥 高田、麻布、牛込、下谷、王子、中野などで捕獲の記録あり。 |
トキ |
千住 |
紅鶴 千住の白髭神社はトキの名所 東葛西、王子で捕獲の記録 |
ノジコ |
山の手 |
のじこ 山の手は、文京区、千代田区、港区など |
ノスリ |
砂村 |
茅鴟(まぐそたか) 砂村は現在の江東区北砂、南砂 |
ハクチョウ |
溜池 墨田大堤 |
鵠 溜池は、現在の港区赤坂にあった溜池 コハクチョウか |
ヒクイナ |
本所 吾妻ノ森 |
秧雞(くひな) |
ヒシクイ |
須田 |
鴻 須田は墨田区堤通の木母寺付近 |
ヒバリ |
広尾 |
告天子 広尾には草原が多かった |
ビンズイ |
王子 |
びんずい |
フクロウ |
上野 |
鴞 上野は寛永寺で、森が深かった |
ベニヒワ |
四谷 |
べにひわ |
ホトトギス |
高田の里、駿河台 谷中、八ッ山 小石川 |
杜鵑 鶯が営巣するアズマネザサの藪がある場所 建築材料のアズマネザサは市街地での需要が多く、市街地から遠くない所で生産されていた。 |
マガン |
千住 浅草 |
雁、白雁 浅草寺周辺には浅草たんぼ、入谷たんぼ |
ミソサザイ |
本所 竪川 |
巧婦鳥 竪川は、墨田区南部の掘割 |
ミミズク |
上野 |
猫頭鳥 コノハズク、オオコノハズクか |
ムシクイ |
千住 竹ノ塚 |
むしくい |
ユリカモメ |
隅田川 |
鷗 江戸初期の流路変更以前は、利根川と入間川とが合流した下流の俗称が隅田川。武蔵国と下総国の境。 |
権兵衛が種蒔きゃカラスがほじくる |
「権兵衛」は実在の人物。 江戸時代末期、江戸の駒場、雉子御成と称された猟場の監守、伊藤平作の配下の川井権兵衛。 鶴の餌蒔き。 川崎や羽田へ、鶴の餌蒔きに行って、刈田の跡や畦道に餌を蒔きながら「わっ来わっ来」と連呼すると鶴が集まって来る。 しかし、時には一羽の鶴も来ないことがあり、カラスが来て食べてしまう。 |
東京 |
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東京を少しくもれる夕月のあかりに覗くあまつかりがね 与謝野晶子 |
大田区 |
馬込 |
笹鳴や馬込は垣もまだらにて 室生犀星 馬込の生まれ |
葛飾区 |
葛飾 |
鳰鳥の葛餝早稲に饗すともその愛しきを外に立てめやも 万葉集 |
かつしかや鷺が番する土大根 一茶 |
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かつしかに行てきかばや郭公 加藤暁台 |
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夜の雁や葛飾の野にみな落ちぬ 水原秋桜子 |
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葛西 |
行々子何処が葛西の行き止まり 一茶 |
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北区 |
寿徳寺 |
囀りや子安地蔵の高い木に 河東碧梧桐 寿徳寺の子安詣 |
品川区 |
品川 |
品川は烏よりつらい馬の声 (川柳) 東海道第一宿場、見送りの人とここで別れ カラスの声=うるさくてつらい。馬の声=別れがつらい |
渋谷区 |
代々木 |
そのむかし代々木の月のほととぎす 臼田亞浪 |
新宿区 |
新宿 |
新宿ははるかなる墓碑鳥渡る 福永耕二 |
墨田区 |
隅田 |
不二越えたくたびれ顔や隅田の雁 子規 |
天雲の切れめさやけみ月すみて隅田の水上雁なき渡る 伊藤左千夫 |
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向島 |
水鳥や紺屋の池も向島 久保田万太郎 |
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向島百花園 |
冬ざれや鶲あそべる百花園 水原秋桜子 |
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木母寺 |
木母寺の鉦の真似してなく水鶏 一茶 |
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一之橋 二之橋 |
ほととぎす 一二之橋の夜明哉 其角 |
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横網 |
定斎の軋みせわしく橋渡る江戸の横網鶯の鳴く 白秋 |
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吉田町 |
鵺よりも化鳥の多い吉田町 (川柳) 吉田町に夜鷹が住んでいた |
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世田谷区 |
(ボロ市) |
ボロ市の武蔵野ぶりや杜の鵯 草間時彦 |
台東区 |
浅草 |
虫つかぬ銀杏によらん郭公 其角 浅草寺樹下 |
浅艸や乙鳥とぶ日の借木履 一茶 |
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浅草や家尻の不二も鳴雲雀 一茶 |
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浅草の雨夜明りや雁の棹 芥川龍之介 |
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上野 |
緑立つ庭の小松の末低み上野の杉に鳶の居る見ゆ 正岡子規 |
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飛ぶ鳥のあすかに行くか時鳥上野の松よ鳴きて過ぎけり 正岡子規 |
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五月雨に水鶏のたたく池の端 (川柳) |
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不忍池 |
むれあそぶ足の下より氷るらん水鳥さわぐ不忍のいけ 正岡子規 |
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蓮ひらくしらじら明けに不忍の池にまひ降るる白鷺のむれ 若山牧水 |
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駒形 |
君はいま駒形あたり時鳥 高尾太夫 |
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待乳山 |
まつち山夕越え行けば風寒み すみだ河原に千鳥鳴くなり 秋風抄 |
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根岸 |
鶯のねぐらやぬれんくれ竹の根岸の里の五月雨の頃 正岡子規 |
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雀より鶯多き根岸哉 正岡子規 |
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谷中 |
鶯は昔ながらの感応寺 (川柳) |
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吉原 |
吉原の別れに叩く水鶏かな 抱一 |
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中央区 |
日本橋 |
夜に入れば日本橋に鳴く千鳥 一茶 信州定住を決め帰る前 |
馬喰町 |
鷺と烏と泊まっている馬喰町 (川柳) 馬喰町には公事宿があり、訴訟手続きができた |
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千代田区 |
霞が関 |
同じくば空に霞の関もがな雲路の雁をしばし止めむ 為世 |
雉子橋 |
雉子橋でけんもほろろに叱られる 今井卯水 |
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桜田濠 |
うらうらと春日照る水にうち群れて鴨遊ぶなり桜田の濠 橋田東声 |
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山王日枝神社 赤坂氷川神社 |
日枝氷川紅葉に早し四十雀 籾山梓月 |
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山王日枝神社 |
暮れんとす山王台の燕かな 山口青頓 |
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冬青木坂 (もちのきざか) |
禁物なもちの木坂へわたり鳥 (川柳) モチノキから鳥モチが作られる |
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豊島区 |
駒込 |
駒込は一富士二鷹三茄子 (川柳) 駒込富士神社、鷹匠屋敷、駒込茄子 |
雑司ヶ谷 |
雑司が谷雨の欅に鵙鳴けり 水原秋桜子 |
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文京区 |
目白台 |
目白台の空を真北に渡る雁 稀に見る雁の四・五十羽かも 窪田空穂 窪田空穂終焉の地 |
常磐会寄宿舎 |
ガラス戸の外面に夜の森見えて清けき月に鳴くほととぎす 正岡子規 |
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六義園 |
泰山木くだつ霖雨や通し鴨 渡辺水巴 |
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小石川後楽園 |
かはせみのひらめけるとき冬木かな 久保田万太郎 |
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木がくれに五位鷺の啼く時雨かな 大場白水郎 |
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本郷 |
鳶舞ふや本郷台の秋日和 正岡子規 |
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白鷺坂 |
鷺の群 数限りなき鷺の群 騒然として寂しきものを 古泉千樫 |
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港区 |
青山 |
青山をたゞひとおちにほとゝぎす 成美 |
麻布 |
うぐいすを尋ね尋ねて麻布かな はせお(芭蕉) |
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目黒区 |
駒場野 |
駒場野の袖吹き返す朝風に鶉鳴くなり深草の中 (狂歌) |
見世物鳥 |
火食鳥 |
1790年 大阪道頓堀で興業 「ダチョウ、一名火食鳥」 |
孔雀 |
1675年 大阪で興業 1682年 江戸で興業 |
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山雀の芸」 |
1836年 江戸市谷八幡 歌カルタを取らせて評判 |