餌

 

内温性動物は、同一体重の外温性動物よりも

物質交代の速度(酸素消費速度)が約20倍速い。

したがって20倍の栄養を必要とする。

 

食べ物の種類ごとの鳥の科の数

 

主食とする

日常的に食べる

たまに食べる

合計

葉や芽

2

13

13

28

種子

4

31

24

59

果実

19

34

21

74

3

5

7

16

昆虫など

50

58

32

140

その他の無脊椎動物

8

20

36

64

脊椎動物

4

14

32

50

水棲動物

20

10

11

41

腐肉

1

4

6

11

なんでも

 

56

 

鳥は消化しやすい成分だけを利用するので、大きさの割りにたくさん食べる。

体重600gほどのカラスが毎日150200gの餌を食べる。

ハチドリは一日に3.5kcalの食物を食べなければならない。

体重比では人の50倍。

もしマメハチドリがジャガイモを食べるとすると、

一日に4g、体重の二倍食べる計算。

 

吸収同化率

(%)

ハチドリ

99

猛禽類

6688

植物食の鳥

未成熟な植物

6070

成熟した植物

3040

ハリモミライチョウ

トウヒ

30

 

 

食性

一夫一妻

一夫多妻

乱婚

一妻多夫

一夫多妻

一妻多夫

晩成性

陸上動物

42

0

0

0

0

陸上動物

陸上植物

27

4

0

0

水中動物

5

0

0

0

0

種子

11

1

0

0

0

果物

8

0

2

0

0

93

1

6

0

0

早成性

陸上動物

12

0

0

0

0

陸上動物

陸上植物

4

0

2

0

水中動物

36

0

0

水中植物

14

0

0

0

陸上植物

17

8

2

0

4

83

8

2

2

4

合計

 

92

2

6

0.4

 

アトリ科の季節別の食物(%)、小石の重量(mg)

 

個体数

動物性

植物性

小石の重量

37

12

88

54

16

50

50

19

123

8

92

38

36

14

86

46

夏には動物性の食物が多くなり、小石が減る。

 

貯食

貯食により冬の餌を確保し、同じ場所に周年留まることは、縄張の確立や番形成などの繁殖の上でも有利となる。

ヤマガラの研究では98%覚えていた。

北極圏に生息するスズメフクロウは、ネズミを貯食。

冬は氷点下なので腐らない。

貯食するスズメ目の海馬はしないものの約二倍。

ヤマガラでは、一羽一羽別々に飼育しても生まれて数か月すると餌の種子などを箱の隅などに詰め始める。

遺伝的にプログラムされている行動。

ヤマガラは、木の実の鋭端部を前にしてくわえ、地面などに押し込む。

貯食した餌は冬から食べ始め、六月に雛の給餌でも利用。

シジュウカラは、自分では貯食しないが他の鳥が貯食したものを盗むことがある。

ハシボソガラスでは、腐りやすいものはすぐに食べ、クルミなどは二か月以上保存される場合も。

記憶能力は貯食行動と関係して発達した。

コガラは貯食した餌を23ヶ月かけて回収。

分散貯蔵

横取りされにくいので有利だが、高い記憶能力が必要。

 

留鳥

スズメ、カラスなど植物食や雑食が多い。

 

雛の餌

ハチクイ

蜂の針を除いて雛に与える

ヘビクイワシ

蛇の頭を除いて雛に与える

雛が成長するには蛋白質が必要なので、

ホオジロのような植物食の鳥でも雛には虫などを与える。

 

 

アマサギ

チュウサギ

昆虫

ドジョウ、蛙

 

 

ウミアイサ

共同採餌も行う。

魚群を見つけると、一列に並び浅瀬に追い込み捕らえる。

小さな魚は水中で呑み込み、大きな魚は水上で呑み込む。

 

イヌワシの餌

(%)

ノウサギ

46.7

ヤマドリ

15.7

アオダイショウ

14.8

その他の蛇

8.5

オジロワシの餌

(%)

魚類

54

鳥類

42

哺乳類

3.4

爬虫類など

0.6

 

ヒワ

種子食、雛にも種子を吐き出して与える。

胚乳をそ嚢に貯えたあと雛に給餌

アトリ

種子食だが、雛には昆虫を主に与える。

ウソ

初夏の第一繁殖では雛を昆虫で育てる。

盛夏の第二繁殖では植物を主に与える。

葉芽より花芽(花びらは栄養価が低いので、子房などの花芯)を好む。

特にソメイヨシノを好む。

花芽を食べる害鳥とされるが、以前は多すぎる花芽を適度に

間引き、実を大きくしてくれる益鳥として大切にされていた。

梅の名所である大宰府天満宮でもウソを大切に扱い、

『ウソ替え』の神事を行っている。

カイガラムシやイラガの繭も食べるので益鳥でもある。

カワラヒワ

クヌギの花を食べる時は雌花だけを食べる。

ベニマシコ

冬にはナギナタコウジュの種子を好んで食べる。

 

アオバト

春〜夏 果実、新芽、蕾

秋〜冬 地上のドングリ

オオタカ

腸やそ嚢は食べない

カイツブリ

小型魚類、主にモツゴ

キジバト

小さな陸貝も

キョウジョシギ

小石を動かしてその下にいるものを食べる。タマキビやフジツボも食べる。

ソリハシシギ

ヨコエビなどを食べる。

チゴハヤブサ

ヒバリ、ツバメ、スズメなど、2030gの小鳥が主食。

ツノメドリ

巣に持ち帰るのは一回に5匹ほど

65匹の記録あり。

ドバト

焼肉を食べた記録あり。

トビ

ドバト、スズメを襲った記録あり。

ハイタカ

シジュウカラなら一年間で800羽必要。

ハシブトウミガラス

雛の餌は一度に一つしか運ばないので、大きな餌をとる。

自身の餌は運搬の必要が無いので、小さな餌を数多くとる。

ヒガラ

アブラムシや針葉樹の実。

ヒメレンジャク

果実食で、♂は抱卵中の♀に果実を運ぶが、雛が生まれると、昆虫を捕らえ雛に与える。

ホオジロ

一日に約400粒の草の種を食べる。

ミヤコドリ

鋭い嘴を二枚の貝殻の間に差し込み、貝柱を切断する。

ミユビシギ

ソコエビ、スナホリムシ、フジノハナガイなどを食べる。

ムクドリ

 

 

 

ヒヨドリと違い、ショ糖を分解する酵素(スクラーゼ)を持たず、消化できないので柑橘類、バナナ、パイナップルは食べない。

害鳥とも言われているが、稲の害虫であるニカイメイチュウなどを良く食べる。

ヨーロッパハチクイ

一日に250匹のハチを食べる。7割がミツバチ

 

岸辺

腐食物

閉鎖的

コガモ、シマアジ

開放的

カルガモ、マガモ

水面

浮いているものを

つまんで食べる

ヒドリガモ、アメリカヒドリ、

ヨシガモ、オカヨシガモ

水中

嘴を入れて腐食物をこしとる

ハシビロガモ、オナガガモ、マガモ

頸を入れて腐食物を食べる

オナガガモ、マガモ

潜る

水草

アカハシハジロ

腐食物

ホシハジロ、キンクロハジロ

アイサ類

水底

貝類

キンクロハジロ、スズガモ、ホオジロガモ

 

ワシタカ類の食性

 

哺乳類

鳥類

昆虫類

クマタカ

コチョウゲンボウ

ハチクマ

 

ノスリ

ハイタカ

サシバ

 

オオタカ

チュウヒ

チョウゲンボウ

 

トビ

ツミ

ハヤブサ

チュウヒ

オオタカ

ノスリ

 

ハヤブサ

ハヤブサ

ツミ

 

サシバ

チョウゲンボウ

トビ

 

ツミ

サシバ

チュウヒ

 

ハイタカ

トビ

ハイタカ

 

ノスリ

 

チゴハヤブサはアマツバメも捕る。

ハヤブサが800gのヒドリガモを運んだ例がある。

294gのハイタカが378gのヤマウズラを運んだ例が有る。

 

バイオフィルム

微生物膜(干潟の泥表面にあるヌルヌル)

底生微細藻類、バクテリアなどの粘液状の膜。

摂取後すぐにエネルギー源として利用しやすい炭水化物が豊富。

歩き回らずに採食。

ヒメハマシギの観察では、泥中からバイオフィルムを巧みに食べていた。

一日に必要なカロリーの50%をバイオフィルムから得ていた。

ハマシギの舌の形態もヒメハマシギと同様なので、ハマシギもバイオフィルムを食べている可能性が高い。

泥干潟で採餌する種は、小型種ほどバイオフィルムを利用する。

トウネンなど。

バイオフィルムを利用する種では舌先がブラシ状の棘毛があり、バイオフィルムを絡めとるのに適している。

チドリ類、クサシギ類にも棘毛がある。

小さい種ほど舌の棘毛が発達。

棘毛の無いシギ類 

 シャクシギ類、オオソリハシシギ類、タシギ類、タマシギ類

 

果実食

果皮、果肉

レンジャク、ヒヨドリ

種子食

種子を丸呑みして、胃で種子をすりつぶす

多くのハト、オシドリ

硬い殻を嘴で割って、中身だけを食べる

シメ、イカル

種子は水分含有量が少ないので、水を飲む必要がある。

 

カルシウム源としてカタツムリが重要な種も多い。

 

一日に必要な食餌摂取量

(体重比 %)

アジアゾウ

1.0

3.0

3.5

ノスリ

4.5

コキンメフクロウ

6.5

チョウゲンボウ

8.0

ウタツグミ

10

ホシムクドリ

11.9

キクイタダキ

18

アカゲラ

30

ハツカネズミ

40

モグラ

100

ハチドリ

200

 

一日の食事量

 

食事量(g)

体重比(%)

スズメ

5

21

ヒヨドリ

12

15

キジバト

15

7

カルガモ

60

6

白鳥

100

 

トキ

200

10

アオサギ

268

18

カワウ

350

17

コウノトリ

500

12

小さい鳥ほど体温が奪われやすいので、体重当たりではたくさん餌を採る。

冬期は体温を保つため23割多く食べる。

 

オナガガモ

ヒドリガモ

海藻(アナアオサなど)

イネ科の種子や葉

ホオジロガモ

ウミアイサ

小魚

スズガモ

貝類(シオフキガイ、アサリ)

ミサゴ

ボラ

チドリ類

多毛類

ダイゼン

エビ

トウネン

ユスリカ幼虫

ヘラシギ

(セジロハゼ科)、コメツキガニ

アカアシシギ

(チチブ類)

オオソリハシシギ

メダイチドリ

ゴカイ、クルマエビ

コメツキガニ、ゴカイ

オオメダイチドリ

コメツキガニ

カラフトアオアシシギ

クサフグ

キアシシギ

シロチドリ

コメツキガニ

ホウロクシギ

アナジャコ

ダイシャクシギ

カニ

チュウシャクシギ

甲殻類

オバシギ

二枚貝、カニ

アカエリヒレアシシギ

エビ

ハイイロヒレアシシギ

ダンゴムシ

ミヤコドリ

二枚貝、蟹、ゴカイ

 

クマゲラ

アリ、甲虫類の幼虫

オオアカゲラ

カミキリムシなど甲虫の幼虫

アカゲラ

昆虫類、小動物、木の実

コアカゲラ

昆虫、種子

コゲラ

昆虫、種子

ノグチゲラ

枯れ木でカミキリムシの幼虫など

地中の虫なども

 

アトリ

スギ、ヒノキ、ナナカマド

イスカ

マツ

ウソ

ツルウメモドキ、ズミ

カワラヒワ

ナナカマド

ギンザンマシコ

ナナカマド

ベニヒワ

ハンノキ

マヒワ

スギ、ヒノキ、ハンノキ

ユキホオジロ

ハマニンニク

 

イモムシ

イモムシの中には葉を巻くものがいる。

シジュウカラなどは葉を解いて食べる。

視覚で餌を探す鳥にとっては巻かれた葉が良い目印となってしまう。

葉を巻く利点は、寄生バチなど鳥以外の天敵に対する回避効果や、葉の内部環境の安定性、タンニンなどの有毒物質を少なくするなどが考えられる。

ハシドイの葉を巻くツヅリモンハマキ、ムラサキカクモンハマキ、ハシドイヒメハマキは同所的に分布するが、最もしっかりと葉を巻くツヅリモンハマキがシジュウカラやキビタキに捕食される率が最も高かった。

 

カタツムリ

カタツムリは主要な食物ではないが、カルシウムの補給源として重要。

酸の蓄積により、土中のカルシウム分が少なくなり、カタツムリが減っている。

カタツムリの減少により卵の殻が薄くなり繁殖成績が悪化している。

 

虫こぶ

ヤマガラ

タマバチによる虫こぶ(ミズナラメウロコタマフシ)を嘴で割って食べた。

ナラメカイメンタマフシの中にいた幼虫を食べた。

クヌギハケタマフシの中の幼虫を食べた。

ブナハウラカイガラフシの中の幼虫を食べた。

ヒガラ

シロダモハコブフシ

シジュウカラ

シロダモハコブフシ

スズメ

地面に落下したエノキハトガリタマフシ(エノキトガリタマバエによる)

虫こぶを破って食べた。

ケヤキハフクロフシを破って食べた。

コゲラ

クヌギエダイガフシをつついていた。

コアカゲラ

タマバチの虫こぶを破って中の幼虫を食べた。

カワラヒワ

ハリエンジュハベリマキフシ

 

唐辛子

哺乳類は歯が発達しているので唐辛子の種も噛み砕いてしまう。

鳥は丸呑みなので種を噛み砕くことなく広く蒔いてくれる。

唐辛子に含まれるカプサイシンは哺乳類にとっては痛覚を刺激するが、鳥には無害。

 

雑食性の鳥は、食物が限定的な鳥より有毒食物に出会う確率が高い。

 

クロウタドリ、ホシムクドリを使った実験では、有毒物質のアルカロイドやアトロピンに対する耐性は人の1,000倍の高さ。

 

シジュウカラでは、餌が乏しく同種個体間競争が激しい環境下では大胆な個体の生存率が高まり、多くの子を巣立たせる。

逆に、餌が豊富な環境下では慎重な個体の生存率が高まり、多くの子を残せる。

 

 

バードテーブルの餌

 

ジュース

蜂蜜

リンゴ

ミカン

パン屑

ご飯粒

鳩の餌

ヒマワリの種

脂肉

ウグイス

 

 

オナガ

 

 

 

カワラヒワ

 

 

 

 

キジバト

 

 

 

 

 

シジュウカラ

 

 

 

 

スズメ

 

 

 

ヒヨドリ

 

 

 

ムクドリ

 

 

 

メジロ

 

 

 

 

競争の結果、二つの類似した種が類似したニッチを占めることはなくなり、それぞれの種が他の種に勝る固有の餌と生活様式を手に入れるという形で、互いを排除しあうことになる。

 

 

 

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