源氏物語

 

藤裏葉巻

東の池に舟ども浮けて、御厨子所の鵜飼の長、院の鵜飼を召し並べて、うをおろさせたまへり。小さき鮒ども食ひたり。わざとの御覧とはなけれど、過ぎさせたまふ道の興ばかりになん

オシドリ

朝顔巻

をしのうちなきたるに、かきつめてむかし恋しきゆきもよにあはれをそふるをしのうきねか

カイツブリ

夕顔巻

鳰鳥の息長川の絶へぬとも君に語らふこと尽きめやも

カササギ

浮舟巻

寒き洲崎に立てるかささぎの姿も、処からはいとをかしう見ゆるに

須磨巻

とこ世いでて旅の空なるかりがねもつらに後れぬ程ぞなぐさむ

キジ

行幸巻

左衛門の尉を御使にて、きじ一枝たてまつらせ給ふ

クイナ

澪標

水鶏だに驚かさずはいかにして荒れたる宿に月を入れまし (花散里)

おしなべて叩く水鶏に驚かばうはの空なる月もこそ入れ (源氏)

明石巻

くひなのうちたたきたるは、たが門さしてとあはれにおぼゆ

浮舟巻

寒き洲崎に立てる笠鷺の姿

スズメ

若紫巻

雀の子を犬君が逃しつる。伏籠の中にこめたりつるものを

柏木巻

好み給したか、馬など、そのかたの預りどもも、みなつくところなう思うじて、かすかにいでいるをみ給も、ことにふれてあはれはつきぬものになむありける

千鳥

須磨巻

例のまどろまれぬ暁の空に、千鳥いとあはれに鳴く

友千鳥もろ声に鳴く暁はひとり寝覚めの床もたのもし

若紫巻

いはけなきたづの一声ききしよりあしまになづむ舟ぞえならぬ

夕顔巻

竹の中に家鳩といふ鳥の、ふつつかに鳴くを聞き給ひて、かのありし院にこの鳥の鳴きしを、いと恐ろしと思ひたりしさまの、面影にらうたく思い出でらるれば・・・

フクロウ

夕顔巻

気色ある鳥のから声に鳴きたるも、梟はこれにやとおぼゆ

鳴き声が不吉

蓬生巻

いとど狐の住み処になりて、うとましうけ遠き木立に、梟の声を朝夕に耳馴らしつつ

浮舟巻

梟の鳴かんよりも、いともの恐ろし

ホトトギス

花散里巻

をち返りえぞ忍ばれぬほととぎすほの語らひし宿の垣根に

ホトトギスは過去を呼び起こすきっかけ

ほととぎす言問ふ声はそれなれどあなおぼつかな五月雨の空

橘の香をなつかしみほととぎす花散る里をたづねてぞとふ

ヤマドリ

総角巻

いとどしき水の音に目もさめて、夜半の嵐に山とりの心ちして、明かしかね給

歎きがちにて、例の、とを山どりにて明けぬ

 

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