肺
肺 |
大きさは2〜3%(哺乳類の半分)(ガンで2%、人は5%) (重さは同程度) 気嚢と肺を合計すると20%近い。 |
肺中を流れる血管は空気の流れと正反対で、 血液と呼吸気は逆流し(対交流)、酸素を効率的に利用でき、 高い空を飛ぶことを可能にしている。 |
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気嚢 |
肺の内部から気管支が肺の外へ膨らんでできたもの。 肺と連絡している。 |
9個(4対+1)からなる。 (ハタオドリ類6個、 アビ類、シチメンチョウ類7個、 シギ・チドリ類、コウノトリ類12個) |
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効率の良いガス交換に役立つ。 人の肺では、せっかく新鮮な空気を吸っても、 汚れた空気と混ざってしまい、息を吐くと、 汚れた空気だけでなく、新鮮な空気も排出されてしまう。 肺に残る空気も、新鮮な空気と汚れた空気が混ざる。 |
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鳥では、常に新鮮な空気が一方通行で流れる。 これは鳥には気嚢という、空気を貯めておく袋が、 九つほどあり、肋骨と胸骨の動きに連動して、 ふいごのように肺へ空気を送り込み、 ガス交換部はチューブ状で、空気が一方向に流れるから。 |
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高い標高を飛ぶこともできる。 人はゆっくり歩いても高山病になるが、 ソデグロヅルはヒマラヤを高速で越える。 |
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鳥類が大気から血管に取り込める酸素量は哺乳類の2.6倍。 |
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グンカンドリは気嚢を膨らませディスプレイに使う。 |
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汗腺の無い鳥類では、迅速な熱の放出にも役立っている。 原型はカメレオン科やオオトカゲ科 |
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横隔膜 |
鳥類には存在しないので、腹式呼吸はできない。 しゃっくりは横隔膜の痙攣なので、しゃっくりもしない。 |
恐竜が繁栄していた中生代に、地球環境は酸素濃度の低い時代があり、低酸素時代を生き抜いた恐竜が、進化の過程で作り出した、画期的なシステムが気嚢。 酸素の豊富な現在では鳥類だけがそのシステムを受け継いでいる。 低酸素の上空で効率良く酸素を取り込める。 人などの哺乳類の肺は両生類の肺の形を受け継いでいる。 両生類から爬虫類と哺乳類に分かれた。 |
アヒルの肺は体積の2%、気嚢は18%
鳥は効率よく酸素を吸収できるので、
毒ガスなどがあると、わずかな量でも深刻な影響を受けてしまう。
サリン事件の捜査でカナリヤが使われたのもそうした性質による。
肺の相対重量(%) |
ダチョウ |
2.36 |
ハチドリ |
1.37 |
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イエスズメ |
1.35 |
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ハシボソガラス |
1.19 |
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カワラバト |
1.06 |
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マガモ |
0.83 |
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コウノトリ |
0.81 |
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セキセイインコ |
0.73 |
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ハクチョウ |
0.65 |
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ノスリ |
0.64 |
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キジ |
0.34 |
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アフリカゾウ |
2.08 |
人 |
1.9 |
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チンパンジー |
1.36 |
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猫 |
1.04 |
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犬 |
0.94 |
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牛 |
0.72 |
体サイズ1kgの典型的な鳥類と哺乳類 |
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鳥類 |
哺乳類 |
肺容積(ml) |
29.6 |
53.5 |
気管容積(ml) |
3.7 |
0.9 |
気嚢容積(ml) |
127.5 |
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呼吸系の総容積(ml) |
160.8 |
54.4 |
一回の換気量 |
13.2 |
7.7 |
呼吸頻度(一分あたり) |
17.2 |
53.5 |
呼吸数 (一分間) |
ナガスクジラ |
0.5 |
ダチョウ |
3 |
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ペリカン |
4 |
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コンドル |
6 |
|
象 |
6 |
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コウノトリ |
8 |
|
人 |
11 |
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シチメンチョウ |
13.5 |
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犬 |
18 |
|
鶏 |
18 |
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ノスリ |
20 |
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ハシボソガラス |
25 |
|
鳩 |
25.5 |
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カワラバト |
30 |
|
猫 |
30 |
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鴨 |
42 |
|
コウモリ |
50 |
|
ホシムクドリ |
84 |
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ヨーロッパアマツバメ |
90 |
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スズメ |
90 |
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カナリヤ |
100 |
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マヒワ |
114 |
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ハチドリ |
250 |
一分あたりの正常呼吸数、心拍数 |
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体重(g) |
心拍数 |
保定時 |
安静時呼吸数 |
保定時呼吸数 |
25 |
274 |
400〜600 |
60〜70 |
80〜120 |
100 |
206 |
500〜600 |
40〜52 |
60〜80 |
200 |
178 |
300〜500 |
35〜50 |
55〜65 |
500 |
147 |
160〜300 |
20〜30 |
30〜50 |
1,000 |
127 |
150〜350 |
15〜20 |
25〜40 |
1,500 |
117 |
120〜200 |
20〜32 |
25〜30 |
2,000 |
110 |
110〜175 |
19〜28 |
20〜30 |