花札
一月 |
松に鶴 |
「まつ」「つる」 尻取りになっている 正月なので、おめでたいものを並べた。 中国では「千年の鶴は松に集う」 鶴の別名「千歳」、松の別名にも「千歳」がある。 松 祭木(まつりき)の略 常緑樹で冬でも緑なので永遠の若さのシンボル。 葉が二本くっついていて、夫婦仲の良さのシンボル。 鶴 吉祥、長寿のシンボル。夫婦仲の良い鳥。 短冊の「あかよろし」は、下から読むと「しろ○○○」。「白も良いが赤もよい」の意味。白い鶴も良いが赤い日も良い。 |
風切羽と首が黒いのでタンチョウに似ている。 タンチョウの丹は赤、頂は頭頂。 この絵は頭が全部赤いので『丹頭』? 松の花期は4〜5月 |
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二月 |
梅に鶯 |
「うめ」「うぐいす」 頭が同じ 春を告げる梅の花と春告鳥を並べた。 梅の花は五枚。福、禄、寿、喜、財の五福を意味する。 鶯は青柳の糸で梅の花を縫って笠を作るという言い伝えがある。 越後花という花札に添えられている和歌 「うぐいすの鳴音はしるき梅の花 色まがへとや雪の降るらん」 短冊の「あかよろし」は、下から読むと「しろ○○○」。「白も良いが赤もよい」の意味。梅に鶯の取り合わせは万葉集が有名だが、奈良時代には白梅しかなく、当然、白梅と鶯の取り合わせとなる。花札では紅梅を描き、「白も良いが赤も良い」。 |
姿勢が水平でない。 眉斑がない。 過眼線もない。 色も違うし、ウグイスらしい特徴がどこにもない。 メジロに少し似ている。 梅の蕾が描かれているが、鶯はその頃まだ囀らない。 |
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三月 |
満開の桜に幔幕 |
「まんかいのさくら」「まんまく」 頭が同じ 鳥の絵はないが、赤短の文言にある「みよしの」は、和歌「み吉野の桜散りけり あらしもしろき春のあけぼの」 この作者、後鳥羽上皇の名前に「鳥」がある。 初期の絵は、満幕が縦縞だった。 |
四月 |
藤にホトトギス |
時鳥=ほととぎす、ときとり、じちょう 「ふじ」「じちょう」 尻取り 夏の到来。 越後花という花札に添えられている和歌 「藤波の 咲き行くれば ほととぎす 鳴くべき時に近づきにけり」 (藤の花が咲くのを見ればもうすぐホトトギスの鳴く季節だな) 『ほととぎす 鳴きつるかたを ながむれば ただありあけの 月ぞ残れる』藤原実定 赤い月も描かれ、夜の情景。 ホトトギスは夜も鳴く。 |
下面の横斑は似ている。 藤は春の季語。ホトトギスは夏の季語。 |
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五月 |
杜若に八橋 |
省略形、かきつにやつ 「かきつ」「やつ」尻が同じ 杜若の別名は燕子花。紫色の花がツバメの飛んでいる様子を連想。 八橋は杜若の歌枕 越後花の在原業平の歌 句頭に、「か」「き」「つ」「は」「た」 「から衣きつつなれにし 妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ」 愛知県無量寿寺の八橋かきつばた園は有名。 杜若八橋の文様もある。 |
六月 |
牡丹に蝶 |
牡丹の古名「ふかみぐさ」、蝶の旧仮名遣い「てふてふ」。頭脚韻を踏んでいる。 中国で牡丹は「花の王」 中国で蝶の発音が、八十歳と同じことから長寿の象徴。変態する様子から復活の象徴。 「牡丹蝶」の文様がある。 牡丹が下。(牡丹が上と間違える人が多い) |
七月 |
萩に猪 |
萩の別名「しかなぐさ」、「いのしし」頭脚韻を踏んでいる 萩は秋の七草のひとつ。万葉集で一番多く詠まれた植物。 萩は臥猪の床とされる。 凶暴な猪も、萩を寝床にして体を休める。 |
萩は鹿と一緒に詠まれることが多い。 萩の別名に、鹿鳴草、鹿妻草。 |
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八月 |
薄に月 |
「すすき」「つき」 尻が同じ ススキは秋の七草の一つ。 雁も秋。 越後花という花札に添えられている和歌 「行末は空も一つに武蔵野の 草の原より出ずる月影」 花札は、「武蔵野」とも呼ばれ、「芒」の札が最重要視された。 空が赤で月が白。一月は空が白で太陽が赤。一月と対になっている。 初期の絵は、「坊主」でなく平地、空も赤くなかった。 |
翼が短い。頭が赤いけど、、、だれ? |
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九月 |
菊に盃 |
「きく」「さかずき」 頭脚韻を踏んでいる 九月九日は重陽の節句。邪気を払って長寿を祝う日。 菊の花びらを散らした盃に酒を注いで飲む。 |
十月 |
楓に鹿 |
「かえで」「しか」 頭脚韻を踏んでいる 越後花という花札に添えられている和歌 「下紅葉かつ散る山の夕時雨 ぬれてやひとり鹿の鳴くらん」 百人一首 「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき」 |
十一月 |
柳に燕 |
柳は奈良時代から「なぎら」、燕の古名は「つばくら」 「なぎら」「つばくら」 尻が同じ 柳に飛びつく蛙と書家小野道風 蛙が柳の枝に何度も飛び付く姿を見て、書道の真髄を知ったという故事。 『雨の中の浪人』が『小野道風』に変化、雨と柳が同一視され、吉祥木である柳に合わせ、吉祥鳥の燕が組み合わされた。 以前は、唐傘をつぼめ左に走る奴が描かれていた。 元々、柳は新芽の吹き出す早春の若柳。 |
頭と尾が赤く描かれている。 体は黄色く描かれている。 ツバメに似ていない。フウチョウのような尾。 ツバメがなんで十一月? 柳も燕も蛙も夏の季語。 |
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十二月 |
桐に鳳凰 |
桐ではなく本来は梧桐 「ごどう」「ほうおう」 尻が同じ 『きり』は「限り」を意味する「切り」で、古代からある和語。 天正カルタで最終の12枚目を『キリ』と呼んでいたので、同音の桐を12月に持ってきた。 日本政府の紋章は五七桐花紋 鳥類の始祖、伝説の霊鳥である鳳凰は桐の葉に降りるという言い伝えがある。 (本当は梧桐あおぎりアオギリ科、桐はノウゼンカズラ科) 鳳がオス、凰がメス 家紋の「桐に鳳凰」に似ている。 今の鳳凰は右下を向いているが、最初は左上向きだった。 |
桐の花期は5〜6月 江戸期の花札では初夏にあてられていた。 鶏に顔が似ている。 目が横長で人のよう。 キトラ古墳で有名な『朱雀』は赤い鳳凰か。 |
植物は、江戸期の庭園に植えることが多かった品種。
「花カルタ」は、江戸城のお城坊主が発案し、御用絵師に描かせた?
「花カルタ」の最初は、「大鳥の組(鶴、雁、鳳凰)」や「小鳥の組(鶯、不如帰、燕)」の役があった。
江戸時代中期に「合わせカルタ」が盛んになった。
花札の誕生は江戸時代中期
元々、何月とかは必要ないゲームだったので、花札の月は決められていなかった。
元々、短冊は紐で吊るされていた。
元々、赤い短冊はなく白、短冊に文字はなかった。
元々、赤い色は少なかった。
元々、人、獣、鳥は、全て体は左を向いていた。
自然の開花順 |
愛知県 |
関東 |
松 |
松 |
松 |
柳 |
柳 |
梅 |
桜 |
桜 |
桜 |
桐 |
藤 |
藤 |
藤 |
菖蒲 |
菖蒲 |
菖蒲 |
桐 |
牡丹 |
萩 |
萩 |
萩 |
芒 |
芒 |
芒 |
菊 |
菊 |
菊 |
紅葉 |
紅葉 |
紅葉 |
(冬)牡丹 |
(冬)牡丹 |
柳 |
梅 |
梅 |
桐 |