ヘルパー
ヘルパー |
自分では繁殖せずに、他の巣の繁殖を手伝う個体のこと。 協同繁殖ともいう。 |
極地や温帯域に少なく、熱帯域に多い。 |
|
北半球より南半球に多い。 オーストラリアは特に多い。 |
|
♂に多い。 |
|
死亡率の低い種に多い。 低い死亡率では個体群の転換速度を低くする。 そのため、独立繁殖の機会が減少し、分散独立を遅らせる。 |
|
ヘルパーは性的に未成熟な若鳥の場合が多い。 自分の縄張や、繁殖相手を得られなかった個体。 巣作りに利用できる場所や餌の不足。 |
|
親の子育てを手伝うヘルパーの場合、自分と共通の遺伝子を多く持つ個体を残せる。 |
|
子育てを手伝うことによって、繁殖の経験を積み、自分の子育てに役立てることができる。 また、繁殖していた個体が死んだ場合、よく知り尽くしたテリトリーを手に入れる機会が増える。 |
|
ヘルパーが多いほどなわばり面積が広くなり、ヒナへの給餌回数が増加。 次の繁殖に移るまでの期間が短くなる。 ヘルパーの存在により子育ての成功率が高まり、こうした性質も高い割合で遺伝してゆく。 |
|
フロリダヤブカケスの研究では ヘルパーがいると、育つ雛は1.3〜1.7倍 親鳥の生存率も高まる。 |
ヘルパー |
非繁殖個体 |
血縁あり |
繁殖個体 |
血縁なし |
ヘルパーを行う種 |
世界で358種(3.9%) バン、エナガ、オナガ、カケスをはじめ、カイツブリ、カワウ、オオバン、ハヤブサ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、カワセミ、カヤクグリ、イワヒバリ、ヤブサメ、シジュウカラ、ホオアカ、スズメ、ムクドリ、ルリカケスなどで観察されている。 |
アメリカのヤブカケスでは18亜種中、フロリダヤブカケス1亜種のみ。 |
イワツバメ |
一回目の繁殖で巣立った個体が、その年二回目の繁殖で雛に給餌が確認。 |
エナガ |
六羽で育雛した記録あり。 |
オナガ |
ヘルパーはすべて♂。 その群れで前年に生まれた独身の♂がヘルパーになる。 繁殖の終わった♂がヘルパーになることも。 フロリダヤブカケスではメスも。 |
ジサイチョウ |
寿命は50年ほど。 子供♀は親元をはなれるが、♂は数年親と行動。 ヒナに給餌も。 |
ヤブサメ |
ヘルパーは全てオス。 あまり手伝わず、さえずっている。 雛が巣立つと番いのオスが世話をし、メスは離れた別の巣で ヘルパーだったオスと二回目の繁殖をする。 共同繁殖であると共に、時間をずらした一妻二夫でもある。 |
ハシボソガラスのスペイン北部の個体群では協同繁殖が73%. 両親以外は67%が幼鳥。 雄が雌の1.5倍。 |
血縁度 |
子 |
1/2 |
親 |
||
兄弟(両親が同じ) |
||
兄弟(片親が同じ) |
1/4 |
|
孫 |
||
叔父、叔母 |
||
いとこ |
1/8 |
異種間ヘルパー |
シジュウカラ(アカゲラのヒナ) エナガ(シジュウカラのヒナ) ムクドリ(クマゲラのヒナ) コムクドリ(アカゲラのヒナ)などが観察されている。 |