飛行

 

 

 

揚力  体重を空中に支えておく力

 

 推力  体を前に進める力

抗力  前に進むのを妨げる力 

 

重力  体重分の下向きの力

 

 

揚力

翼の形により得られる。

揚力を生み出すのは次列風切羽。

推力

羽ばたきにより得られる。

主に初列風切羽の先端が後ろ上方へねじれることで生じる。

 

グライディング型

滑空

ソアリング型

滑翔

羽ばたき型

クラッピング型

ムササビ

 

 

 

 

アホウドリ

ツバメ

ハチドリ

 

 

 

 

飛び立ち (向かい風利用 アホウドリ)(高い所から 鷲)

 

翼の断面は、上面が膨らんでいるので翼を通過する空気は、下面より上面の方が長い距離を通過する。

そのため、上面を通過する空気のスピードが速くなり圧力が減少し、上向きの力(揚力)が発生する。

 

体長が二倍になると体重は八倍になる。

しかし重さを支える翼面積は四倍にしかならない。

大きい鳥ほど翼面積が不足する。

 

滑空

滑空する鳥は、1.02.5m/sの沈下率で高さを失う。

アホウドリ

高度を1m失う間に18m滑空できる。

ハト

高度を1m失う間に45m滑空できる。

帆翔や滑空は、羽ばたき飛行の1/30のエネルギーですむ。

小形の鳥は、帆翔はできないが滑翔は可能。

 

下方滑空

波型

ヒヨドリ

羽ばたきで上昇。

滑空で下降。

大円滑空

円弧

アマツバメ

羽ばたいているときは直線。

羽ばたかないときは大円滑空。

 

波状飛行

小型の鳥に有利。

ヨーロッパアオゲラ(176g)が最重。

高速で飛んでいる時に、最大航続距離速度の時に予測されるコストを減少させる。

ヒヨドリ、コウライウグイス、キツツキ類等の飛翔力が弱い鳥の飛び方。

羽ばたいて上昇し、スピードが出たら翼を完全に畳んで、空気抵抗を少なくし、滑空に移り、下降。

この繰り返しでエネルギーの損失を防ぐ。羽ばたき飛行に比べて省エネルギー。

ヒワ類

一回羽ばたいて上昇しては体側に翼をピッタリ付けて、次の羽ばたきまで降下することによってエネルギーを経済的に使う。

キツツキ類

何回か羽ばたいて上昇し、そこから体側に翼を付けて降下するという大きな波状飛行をする。

直線飛行

大型の鳥に有利。

対気速度が遅く、最小の速度以下の時に予測されるコストを減少させる。

休憩の時に翼を伸ばしたままにして、翼の揚力を利用し滑空。

ムクドリなど

鷹に襲われやすい。

 

旋回飛行

翼面積を左右非対称とする

翼を畳んだ側へ体が傾き、同方向へ旋回する。

滑翔中に左右の翼の上・下反角を非対称に変える

翼を下げた側へ旋回する。

飛翔中に障害物を避けるときなどに行う。

樹間生活の鳥ほど多く、開けた空間に棲む鳥では少ない。

左右の翼の捻れを変える

翼の後縁を上げた側へ旋回する。

左右の翼の羽ばたき数や上下動差を変える

羽ばたきや打ち下ろしの動きの少ない側へ旋回する。

尾羽を広げて捻る

尾羽縁を背側へ上げた側へ旋回する。

滑翔中の緩旋回ならこれで旋回が可能。

高度損失が少ない。

ツバメが多用。

 

小鳥の翼は、主に人でいえば手のみからなり、大型の鳥のような腕の部分にあたる翼はほとんどない。

小鳥は大型の鳥のように肘を加減して任意の大きさの翼を作ることが容易でない。

翼は拡げるか閉じるかのどちらかという、オンとオフの二つしかない。

パワーもオンかオフの二つで、オンでは羽ばたきを続けた後、オフでは羽ばたきを休止するという方が省エネルギーである。

では、羽ばたきの周波数の方を増減したら良いではないかと思われるが、羽ばたきに伴う慣性力を打ち消すバネのような特性が鳥の羽や筋肉にもあって、一定の周波数の羽ばたきが要求されている。

 

翼の引き上げ時に翼先端を下に曲げると空気抵抗が減る

多くの鳥

曲げる

一部の海鳥

曲げない

 

グライディング

(滑翔)

羽ばたいて勢いをつけてから、

そのまま羽を動かさず飛ぶ。

ハイタカ、オオタカ、アマツバメなど

ソアリング

(帆翔)

羽ばたかないことは同じだが、

上昇気流などの気流を利用。

アホウドリ、トビ

グライダーでも上手な人はソアリングができる。

下手な人はグライディングだけで、すぐに着陸してしまう。

上昇気流は海上では少ししか発生しない。(水は温まるのが遅いから)

 

V字飛行(編隊飛行)

先頭の鳥の羽ばたきによって真後ろには下向きの風が生じ、斜め後方には上向きの風が生じるので、次の鳥はエネルギー消費が少なくてすむ。(翼端渦)

さらに次の鳥が斜め後ろに付く。

この繰り返しにより、浮力が後方に伝えられて行く。

最も有利な位置の鳥の羽ばたき回数は、単独飛行の45%にまで減少。

脈拍も一割減少。

敵に対して警戒しやすい形。

ハクチョウ、ガン、ツル、サギ、ウなど大型の鳥が群れで長距離移動するときに見られる。

横から見ると後ろの鳥は少し高い位置を飛ぶ。

 

後方飛行

ハチドリやタイヨウチョウは後ろに飛べる

 

ホバリング

打ち下ろしでは羽をいっぱいに広げ、引き上げでは羽を折りたたむ。

小鳥は得意、不得意の差はあっても可能である。

チョウゲンボウ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、カワセミ、ツバメで良く見られる。

大型鳥類は、ミサゴ、チュウヒなど。

短時間ならできる鳥は多いが、長時間できる鳥は少ない。

向かい風だと行いやすい。

動きの速い小動物を見つけるには、自分自身は止まっている方が有利。

チョウゲンボウは柔軟性のある特殊な頸を持ち、

横風などで体が動いても頭は静止させておくことができる。

ハチドリ

羽を八の字に振る。(昆虫と同じ)

翼の75%の面積が掌(ノスリは33%)

 

地面効果

鳥が地面あるいは水面(境界面)のごく近くを飛ぶと、吹き降ろし流が下から鳥を押し上げる。

地面効果が現れるのは、鳥の飛行高度が翼幅以下のとき。

ホバークラフトは地面効果を積極的に利用したもの。

水鳥は波の高くない時、水面を利用して飛行を行うが、陸鳥ではめったに見られない。

地面では木や草が生え凹凸があり、境界面に近づけない。

 

羽ばたきあげ

羽の重なりが、屋根の瓦のようになっているので、

羽ばたき上げると、羽の間から空気が漏れて、空気抵抗が少ない。

丈夫な風切羽を持つペンギン、ハチドリ、アマツバメなどでは、羽ばたきあげの時にも推力が生まれる。

 

鳥の羽

飛行機では

役割

初列風切羽

プロペラ

推進力

次列風切羽

揚力の発生

小翼羽

スリット

失速を防ぐ

尾羽

フラップ

方向舵、方向転換

 

抗力は翼が細いほど少なくなる。

翼の幅と長さの比が20倍以上あると、揚力と抗力の比が100倍以上になる。

これは重力によって1m降下する間に100m進むこと。

グライダーの翼が細長いのも同じ理由から。

三日月形の翼

渦によって生じる抗力を効果的に取り除く翼の形。

ツバメ、アマツバメ、海鳥類。

 

翼の形

飛び方

オオミズナギドリ

細くて長い

海上に発生する気流を利用

トビ

幅広い

上昇気流を利用して帆翔

キジ

短くて幅広い。

先が丸い

短距離を力強く飛ぶ

ツバメ

細長い

高速で飛ぶ。

アマツバメ

より細長い

直線的により速く飛ぶ。

帆翔をよく行う鳥は翼面積の大きい翼を持ち、

失速を防ぐために初列風切羽の先端が指を広げたように開く。

 

鳥の翼は低速で飛行するときに最も大きくなる。

 

尾羽

長い

短い

急旋回できる

急旋回できない

直線飛行には不利

直線飛行に有利

飛行機は尾翼が無いと飛べないが、鳥は尾羽が無くても飛べる。

旋回や離着陸のようにゆっくり飛ぶ場合に重要。

 

ツバメやトビ、アジサシのように中空で色々に方向転換する種は、

尾羽が二股に割れている。

 

翼の形

 

長い

○高性能 ×羽ばたきにくい

 

先端が丸い

(分かれる)

    低速でも失速しない

×速く飛べない

サシバ

ノスリ

トラフズク

 ミズナギドリ

 

ハト      ハマシギ

先端が尖る

 

    速く飛べる

×失速しやすい

ヒトドリ

オオヨシキリ

カケス   ウグイス

コジュケイ カワセミ

マガモ チョウゲンボウ

 

オオバン  アマツバメ

ハチドリ

 

短い

○羽ばたきやすい ×性能が悪い

 

 

離陸

垂直離陸

 

多くの小鳥

陸ガモ

跳躍

脚のバネを使い、

両脚同時に跳ねる

サギ類など、

脚の長い鳥

走行(両脚交互)

 

海ガモ、

ハクチョウなど

走行(両脚同時)

 

体重利用

風利用

高い場所から飛び降り飛行する

木に登る

コウノトリ

オオミズナギドリ

鳩では二番目のストロークが最大で、加速のうち 1/4 は脚の蹴りによる。

上昇飛翔は多くのエネルギーを消耗するするため、長時間継続することはできない。

尾羽は飛び立つ時は揚力補助のため、開いていることが多いが、速度が増すとともに、畳み込まれる。

向かい風があれば、離陸は楽になる。

離着陸は普通、風に向かって行われる。

 

着陸

垂直着陸

 

多くの小鳥

水上滑走

みずかきをブレーキにする

ハクチョウ

水上滑走

 

ペリカン

低速着陸

 

コウノトリ

ほとんどの小鳥は、一時的ならホバリングができるので、垂直離着陸を行う。

枝などへの着地

重力の中心を上向きに回転、失速させて着地。

コウモリ

ムササビなど

前肢で触れ、体を下向きに回転、後肢で着地。

 

ハクチョウ

翼によって生み出される揚力は、その上を流れる空気の速度に比例。

助走の速度によって揚力の大きさが決まる。

風の無いときに離陸するには毎秒13.7mの速度で走らなければならない。

そのため、水面を走りながら羽ばたく。

助走の距離は十数メートル。

オオハクチョウが、高度8,230mで飛行機の操縦士に目撃されている。

 

ダチョウ

空を飛べる動物の体重と飛び立つ速度の関係から推定すると、ダチョウが飛び立つには時速1,000kmで走らなければならない。

 

ワタリアホウドリ

脚で地面を蹴りながら風に向かって走る。

向かい風が吹いていないと離陸できない。

生息地である海洋島では無風はめったに無い。

 

アビ

アビ類の多くは助走して飛び立つが、アビは助走しないで飛び立つ。

陸地から離着陸できるのもアビだけ。

 

ウトウ

翼は潜水に適応していて小さい。

翼面荷重が大きいので滑空できない。

連続飛翔時間は30分以内。

 

高速飛行

人は、高速で走る車から顔を出すと息苦しくなる。

人の肺は、袋状で行き止まりのため、息を吐き出すのに大きな力が必要。

鳥には気嚢があり、空気は一旦気嚢に蓄えられてから肺を通過するために、速度に関係なく呼吸ができる。

 

高度記録(m)

マダラシロエリハゲワシ

11,300

キバシガラス

8,830

オオハクチョウ

8,230

アネハヅル

7,000

マガモ

6,400

オオソリハシシギ

6,000

シュバシコウ

4,800

ヒゲワシ

4,000

ミヤマガラス

3,300

ムナグロ

2,000

コウノトリ

1,300

雁、鴨類

1,300

 

飛翔時に脚を引き込むが、スズメ目、キツツキ目では、足関節を前上方へ曲げる。

シギやカワセミなど、スズメ目、キツツキ目以外の小鳥では、ツルやサギのように後方へ伸ばす。

普通、後ろに伸ばす鴎や鶴も、寒いと前にして腹部で温める。

ごく短時間の飛翔では脚を引っ込めない。

 

 

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