抱卵

 

卵が敵に見つからないよう、親鳥が隠したのが抱卵の始まり。

卵の温度が高くなって、卵も早く育つ。

今では、鳥の卵は温めなくては育たない性質になった。

 

温度

抱卵による卵の温度は34℃前後

 

 

抱卵日数

(カッコウ類)、キツツキ類

10

スズメ目の大部分

1214

カラス大

1620

21

キジ

24

ガン、カモ、カモメ、フクロウ、ワシタカ

2540

ダチョウ

42

大型ペンギン

60

アホウドリ類、キーウイ類

80

ツバメでは春より夏の抱卵期間が短い。

コウテイペンギンの♂は冬の南極で立ったまま二ヶ月間絶食。体重減3045%

抱卵は、安静時の基礎代謝量の1.6倍のエネルギーを消費。

平均すると、卵の重さが二倍になると抱卵期間は16%長くなる。

その年一回目に産卵された卵より二回目の方が抱卵期間は短い。

 

完全抱卵

完全抱卵に入る前は、神経質で外敵が近づくと巣を放棄する事も多いが、完全抱卵後は巣を放棄する事は少ない。

 

順次抱卵

ウ科

サギ科

トキ科

タカ科

ツル科

オオバン

カモメ

フクロウ

アマツバメ類

カワセミ科

ヤツガシラ

キクイタダキ

カラス

一卵目から抱卵。

食物供給量の年次変動が大きい種に多い。

先に産んだ卵は確実に孵化させる。

餌が豊富なときは多くの雛が育つ。

ヒナに餌を運ぶ事と、

抱卵を同時にしなければならない。

強い鳥、産卵数の少ない鳥、大型の鳥に多い。

一斉抱卵

カイツブリ科

カモ目

バン

チドリ科

シギ科

ハト

アカゲラ

ツバメ科

シジュウカラ

ヒワ

スズメ

 

餌が豊富なら一度に子育てが終わり、合理的。

天敵や自然災害で全滅の危険も。

餌の捕れない日が続くと全滅の危険がある。

渡りをする鳥は雛の大きさが揃っていないと、渡りに支障がでる。

弱い鳥、産卵数の多い鳥、小型の鳥に多い。

早成性のヒナを安全な場所へ移動するのに、雛の大きさが揃っている必要が有る。

 

ハトは2卵目を産む前に抱卵するが、発生に必要な温度にまで暖めることはしない。

猛禽類では♂が狩をし、♀が育児と分業が進んでいるので、

ヒナの世話と抱卵の両方が同時に行える。

熱帯地方の鳥は産卵直後に抱卵を始める。

(卵が腐りやすい)

 

抱卵

雌雄

50%

37%

6%

その他

7%

 

繁殖期に餌が見つけやすい

雌雄交代で抱卵育雛

繁殖期に餌が見つけにくい

♂餌集め

♀抱卵育雛

 

抱卵斑(ほうらんはん)

鳥の胸腹部には断熱効果の高い羽毛が生えていて、体温を効率よく卵に伝えられない。

そこで、産卵直前から胸腹部の皮膚に生えている綿羽が抜け、裸の皮膚が肥大化し、血管が分枝しながら発達する。

脂肪は含まれない。

抱卵斑の温度は39度。卵の適温34度。

熱くなりすぎると転卵する。

ヒレアシシギ、コバシチドリは♂のみに抱卵斑ができる。

メジロは雌雄。

 

完全な抱卵斑ができないウやカツオドリ類では、多数の血管が走っている水掻きの上で卵を温める。

カツオドリの卵は二つなので片脚ずつ乗せる。

シロカツオドリは一つなので両脚乗せる。

シロカツオドリの卵殻は厚い。

 

カモ類は抱卵斑ができないので、自分の羽毛を抜いて巣に敷く。

ダチョウ

なし

スズメ目

一つ

チドリ類

ヒレアシシギ類

二つ

カモメ、鶏

三つ

 

 

抱卵斑の数

一腹卵数

多くのカモメ

3

3

ウミネコ、ミツユビカモメ

3

2

アカメカモメ

2

1

 

ホルモン

プロラクチン(就巣ホルモン)

抱卵開始の前日に急上昇

テストステロン(性ホルモン)

抱卵する♂では、産卵開始後に急激に減少

 

アカショウビン

雌雄で抱卵

一日四回交代

夜はメス

イスカ

メスのみ抱卵。

食べ物の全てをつがい相手から貰えるので、真冬でも巣を空けず抱卵に専念できる。

イワツバメ

雌雄で抱卵するが、抱卵斑は♀のみ。

普通は一斉抱卵だが、一回目の繁殖で順次抱卵が数%、二回目の繁殖で十数%観察された。

ウトウ

抱卵は一日交代。

オナガカエデチョウ

両親が並んで抱卵

カワウ

抱卵中は尾羽が立つ。

ただ座っているときには立たない。

一日おきに産卵し、順次抱卵するが孵化は毎日。

キクイタダキ

脚の温度も高くなり、脚でも卵を温める。

クサムラツカツクリ

草などを積み上げ、卵を33度に保つ。

楽に見えるが、雄は11ヶ月営巣に従事する。

コアジサシ

卵が巣から70cm転がり出てしまうと、自分の卵という認識がなくなる。

シジュウカラ

メスの抱卵中はオスがメスに給餌するので、メスは抱卵に専念できる。

シラコバト

抱卵、夜はメスのみ

スズメ

抱卵、夜はメスのみ

ダチョウ

複数のメスが、一箇所に産卵。

夜はオス、昼は第一メスだけが抱卵。

自分が産んだ卵を巣の中心に置く。

他のメスが産んだ卵はその外側。

外側の卵は他の動物に取られやすい。

卵の表面にはガス交換が可能な、小さな穴がたくさん開いている。

この穴のパターンはメス親ごとに違いがあり、自分の卵を識別できる。

ツバメ

抱卵は97%がメス

ノビタキ

一日一卵産卵。

最終卵の一つ前に抱卵する場合と、最終卵から抱卵する場合とある。

ハクセキレイ

夜は雌が抱卵

日中は雄も少し抱卵。

ミズナギドリ

数日ごとに交代

ムクドリ

抱卵、夜はメスのみ(コムクドリも)

メジロ

雌雄共に抱卵斑がある

ヤマセミ

抱卵時間の7割は♂

ヤンバルクイナ

抱卵は、日中がメス、夜間はオス。

レンカク

♂が抱卵。

水草の上で繁殖するので、♂は卵が濡れないよう左右の翼の下に2卵ずつ抱える。

 

転卵

抱卵中の親鳥は定期的に卵を転がす。

 

転卵は胚の正常な発達に重要。

@    卵内の温度を均一に保つ。

A    卵膜と胚が癒着するのを防ぐ。

B    胚の位置を調節する。

などの説が有るが正確にはわかっていない。

 

孵卵器の鶏卵では転卵しないと15%の孵化率。

一日2回だと58%

一日5回だと61%

鶏では平均35分に一回。

孵化器の多くは一時間ごとの自動転卵。

 

卵白の豊富な卵は、卵黄の豊富な卵より頻繁に転卵される。

 

ヤシツバメは産卵するとすぐ卵を巣に接着し、転卵は行わない。

キーウィ、ツカツクリも転卵しない。

 

孵化23日前になると転卵は不要になる。

転卵は胚の卵白利用を促すので、卵白量が相対的に多い晩成性の鳥で特に重要。

ツカツクリは卵白が相対的に少ない。(50%)

キーウィ(30%)

鳴禽類(80%)

爬虫類も転卵を行わないが、卵白は少ない。(45%)

 

鴨などの孵化

自然状態

12時間以内に全部孵化

人工孵化器

12日かかる

雛同士、声を出し合い孵化のタイミングを合わせている。

 

 

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