いにしえの鳥の声
鶯は玉を転ずるが如く、時鳥は絹を裂くが如し
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ウグイス |
江戸時代以前 |
うううくひ(平安時代) うーくひ(平安時代)ウーグヒ＋ス＝ウグイス ほーほき ひーとく つーきひほし |
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ひとくひとく(人来人来)谷渡りの声 古今集では、「人来」にかけているが、ハ行の音は、古くはP音なので、「ピーチク」に通じるという説も。 |
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江戸時代以降 |
ホーホケキョ |
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いかなれば 春来る毎にうぐひすの 己の名をば人に告ぐらん 美作守匡房 うぐひすが自分の名を鳴いている。 |
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心から 花の雫に そほちつつ うくひずとのみ 鳥の鳴くらん 藤原敏行 自分から好んで花の雫に濡れながら、どうしてあの鳥は『つらいことに羽が乾かない』とばかり鳴くのだろう 『うぐいす』という鳴き声を『憂く干ず(つらいことに羽が乾かない)』と聞いた。 |
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(谷渡りの声) 梅の花 見にこそ来つれ 鶯の ひとくひとくと 厭ひしもをる 古今和歌集 私は梅の花をこそ見に来たので、他のものに用があるわけではない。それなのに鶯が『人が来る 人が来る』と嫌がっているのはどうしたことだ。 |
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地鳴き『ちよ』 窓ちかき 竹の葉も 春めきて ちよの声ある やどの鶯 平貞時 窓辺の竹に吹く風も春らしくなって、庭先の鶯が「千代」の声をあげている。 |
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慈悲心も 仏法僧も 一声の ほう法華経に しくものぞなき 蜀山百首 (江戸時代の狂歌) |
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今の世も 鳥はほけ経 鳴きにけり 一茶 |
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時代 |
聞きなし |
呼び名 |
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カッコウ |
奈良時代 |
かつぽー かつふおー |
かほどり(容＝貌) |
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奈良時代 |
あこ(吾子) ここ(子来) (呼び立てているようなので) |
よぶこどり(呼＝喚子鳥) |
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平安時代 |
ふわっこー |
はこどり(箱鳥) |
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平安末期 |
かんこー |
かんこどり(閑古鳥) |
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はやこ はやこ(早来 早来) |
はやこどり |
夕方から夜に鳴くことがあるので寂しいことの代名詞。『冥土鳥』の別名も。
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ウソ |
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口にてふくうそに、かの鳥の音のあひたれば、うそといへるなり 名語記 |
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カラス |
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ころく |
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からすとふ おほをそどりの まさでにも きまさぬきみを ころくとぞなく 万葉集 |
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かかあ |
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横柄に 人の妻戸を あけがらす かかあかかあと 呼びわたるかな 四方赤良 江戸時代の狂歌 |
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ガン |
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かり |
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行きかへり ここもかしこも 旅なれや くる秋ごとに かりかりと鳴く 後撰和歌集 行きも帰りも雁たちにとっては、ここもあそこも旅なのだろうか。 やって来る秋ごとに『仮り仮り』と鳴いている。 |
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ぬばたまの 夜渡る鴈はおほほしく幾夜を経てか己が名を告る 万葉集 |
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秋ごとに 来れど帰れば たのまぬを 声にたてつつ かりとのみ鳴く 後撰和歌集 |
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キジ |
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ほろほろ(羽音と混同説も) |
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春の野のしげき草葉の妻恋ひにとびたつ雉子のホロホロとぞなく 平貞文(古今和歌集) |
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きぎす鳴く 春の大野を 見わたせば さわらびあさり ほろほろうつなり 為定家集 羽音 |
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けいけい |
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江戸時代中ごろからケンケン |
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トビ |
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ヒヨロ ヒヒヨロ |
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鳶ヒヨロ ヒヒヨロ神の 御立ちげな 一茶 |
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フクロウ |
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糊すりおけ |
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ふくろふの糊すりおけと呼ぶ声に衣ときはなち妹は夜ふかす 橘曙覧 |
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秋寒し 鳥も糊つけ ほほんかな 一茶 |
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仏法僧 |
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ぶっぽうそう |
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我が国は 法いかめしき所とて 鳥も仏法僧とこそ鳴け 後鳥羽天皇 |
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ホトトギス |
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ほととぎす |
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暁に 名告り鳴くなる ほととぎす いやめづらしく 思ほゆるかも 万葉集 |
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信濃なる 須賀の荒野に ほととぎす 鳴く声聞けば 時過ぎにけり 万葉集 |
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死出の田長 しでのたおさ |
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いくばくの 田をつくればか ほととぎす 死出の田長を あさなあさな呼ぶ 古今和歌集 |
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てっぺんかけたか |
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ほととぎす 富士と筑波の 天秤に 両国ばしを かけたかとなく 徳和歌後万載集 |
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ほんぞんかけたか |
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仏壇に 本尊かけたか ほととぎす 犬筑波集 |
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スズメ |
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しうしう |
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ねやのうへに すだくすずめの こゑばかり しうしうとこそ ねはなかれけれ 藤原公重 |
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じっじっ |
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畑生に 黍食むしじめ じじめきて かしましきまで 世をぞうらむる 源俊頼 |
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ちゅー |
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生まれながら 忠をつくすや 雀の子 羽原忠之 |
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ちょっちょ |
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雀どの お宿はどこか 知らねども ちょっちょと御座れ 酒の相手に 蜀山百首 |
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スズメ |
明治までは鼠と共通 |
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平安時代〜室町時代 |
しうしう じじ |
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江戸時代 |
ちうちう ちち ちーちー |
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大正時代 |
ちゅんちゅん |
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千鳥 |
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ちよちよ |
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我君を かぞへあげてや 浜千鳥 ちよちよといふ 声のみのする 言継集 |
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「チヨ」と鳴くので「千代」、連続的に鳴くので「八」というめでたい数字を付け「八千代」が作り出された。 |
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しほの山 さひでの磯に住む千鳥 君が御世をば やちよとぞ鳴く 古今和歌集の賀歌 『君が代』の元歌 新春、海岸で、シロチドリ |
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千鳥 |
室町時代まで |
ちよちよ |
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江戸時代まで |
ちりちり |
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大正時代 |
ちんちん |
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ハシブトガラス |
奈良時代 |
ころ から |
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平安時代 |
かか |
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鎌倉時代 |
こかこか |
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江戸時代 |
かあかあ |
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ホトトギス |
平安時代〜 室町時代 |
ほととぎす |
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江戸時代 |
てっぺんかけたか 本尊かけたか |
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不如帰(ふにょき)は中国におけるききなしに由来 |
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過時不熟 ときすぎばみのらじ |
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ヌエ |
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ひい |
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ヌエの声は片思いに泣く声 江戸時代からヒューヒー |
森昌子『越冬つばめ』で、燕は『ヒュールリー、ヒュルリララ』
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ウトウ(親鳥) (子) |
うとう やすたか |
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烏 |
こかこか(子か子か) ころく |
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キジバト |
としよりこい(年寄り来い) |
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十一 |
しひしん(慈悲心) |
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鳶 |
ひいよろ |
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鶏 |
とうてんこう |
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ひよこ |
ひよ (ひよ＋子＝ひよこ) |
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梟 |
ほほう |
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不如帰 |
おととこいし(弟恋し) |
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赤ちゃんの泣き声 |
いがいが |
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犬 |
ひよひよ(読み方はびょうびょう) |
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(遠吠え) |
べうべう |
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牛(オス) |
もー うんも |
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牛(メス) |
めー うんめ |
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馬 |
いん(『い』と鳴くから『いななく』) |
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狐 (機嫌の良いとき) (機嫌の悪いとき) |
こうこう こんこん くゎいくゎい |
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猿 |
ここ |
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鹿 |
かひよ |
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ツクツク法師 |
くつくつぼうし |
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猫 |
ねうねう |
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鼠 |
しうしう |
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ミンミン蝉 |
みうみう |
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嘔吐の音 |
えぶえぶ |
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人が木から落ちるさま |
ふりふり |
犬の声を『わん』と表現するようになったのは江戸時代から
猿の鳴き声が『ここ』から『キャッキャッ』に変化したのは室町時代