羽毛の色

@ 羽毛内に含まれている色素によるもの。

化学色

A 羽毛の物理的な構造に光が反射するなどで、

人の目に特定の色として反映されるもの。

物理色

(構造色)

B @とAを組み合わせたもの。

結合色

 

時間の経過により、色素は色褪せるが構造色は色褪せない。

屈折率が変わると構造色の色は変化するが、色素の色は変化しない。

 

羽毛の色素

色素

メラニン

カロチノイド

ポルフィリン

ユーメラニン

フェオメラニン

赤茶

赤、

オレンジ、

黄色

(フクロウ類)

赤、

(エボシドリ類)

由来

主として鳥の体で生成

食べ物によって摂取

ヘモグロビンに関係

溶性

不溶性(粒状)

油溶性

油溶性

 

メラニン+黄カロチノイド=緑色

メジロなど

格子効果で緑色を呈する

メラニンとカロチノイドの割合で緑の濃さが変わる

そのため、地域によりメジロの色に違いがある。

(暖湿地方で濃くなる)

 

哺乳類では黒色素のメラニンのみ。

 

 

密に存在

租に存在

点々と存在

ユーメラニン

黒色

黒褐色

灰色

フェオメラニン

暗褐色

土黄色

淡褐色

ユーメラニン+フェオメラニン=灰褐色、オリーブ褐色

 

熱を吸収しやすい。

太陽光で温まって乾きやすい。

濡れる鳥に有利。

メラニン色素が羽毛の構造を補強して摩耗に強い。オオジュリンでは、頭の羽毛の上半分が褐色で下半分が黒。褐色部は次第にすり減り春に黒くなる。

ツバメ

喉の赤はメラニン由来。

年取ると色褪せる。

カラス

カロチンにチロシナーゼという酸化酵素が関わって黒くなる。

孔子鳥

羽の部分から銅が多く検出。ユーメラニンの存在を示す。

 

カロチノイド

動物は一般にカロチノイドを持たない。

食物として摂取した植物に由来するか、共生微生物に由来する。

脂肪、アルコールなどに可溶。

水に不溶または難溶だが、蛋白質と結合することで可溶となることが多い。(血液のカロチノイドなど)

紫、赤、オレンジ、黄色だけでなく、紫外線にも関与。

青や緑はカロチノイド色素と蛋白質が結合した状態からできる場合が多い。

エビを茹でると赤くなるのは、この結合が切れ、カロチノイド色素本来の色になるから。

カロチノイドは食物として摂取しなければならないので、採食能力の高いオスほど色鮮やかとなる。

色鮮やかなオスを選ぶことは繁殖に有利となる。

 

フラミンゴ

赤い色はカンタキサンチン(カロチノイドの一種)

スピルリナという藍藻のカロチノイド色素や、エビに含まれるアスタキサンチン(βカロチンの一種)による。

餌の色素(カロチンなど)が羽毛形成のさいに血中から移動して、羽毛に沈着する。

(アスタキサンチンは蛋白質と結合し青色だが、加熱により赤くなる)

飼育したフラミンゴでは赤い色素の付いた食物を与えないと白くなる。

フラミンゴは肉の脂肪もオレンジ色

ハトと同じように、ヒナにはそ嚢で作られたフラミンゴミルクを与える。

成分は脂肪15%、蛋白質89%、赤い色素のカンタキサンチンが含まれる。

色は赤い。(ハトではチーズ色)

雌雄共に与える。

親は色素を取られ自分のための色素が足りなくなり白くなる場合がある。

その場合、仲間に相手にされず次の年に交尾ができない。

カロチノイド系の色素は油溶性で、食餌から摂取される。

ショウジョウトキイスカギンザンマシコアカショウビンの赤もカロチノイドによる。

黄色いカナリアにパプリカの粉を混ぜた餌を与えると赤くなる。

 

一般に鳥の羽毛にはキサントフィルが蓄積される傾向があるが、カナリアをキサントフィルが含まれない餌で飼育すると黄色は失せて白色になる。

キサントフィルでなく、他のカロチノイド色素を含んだ餌を与えると、そのカロチノイド色素特有の色に変化する。

一般に、他の動物では自身ではカロチノイドを合成できないが、植物からカロチノイドを摂取し、種独自のカロチノイド形に変化させることができる。

しかし、カナリアではそれができないために直接餌に含まれるカロチノイドの色の影響を受けてしまう。

卵の黄身や嘴、皮膚にもキサントフィルの他にカロチンも存在。

網膜の油滴にはカロチンが存在。

キジの仲間の肉垂の赤色色素はアスタキサンチン。

鳥類では餌として摂取したカロチノイドがそのまま体色として表れていて、カロチノイドを体内で種独特の色に変化させることはできない。

カロチノイド色素とは異なって、メラニン細胞が合成することのできるメラニン色素によって鳥の羽色は黒や茶色、そして黄色から赤色になる。

これは羽にユーメラニンとフェオメラニンの二種類のメラニン色素が存在することによる。

このメラニン合成の調節系については鳥類が下垂体中葉を持たないことなどから、他の動物に比べて知見が少なかったが最近では明らかになりつつある。

羽の色や紋様は羽の根本にある羽嚢の中の色素細胞がこれらのメラニン生産を行って、メラニン色素顆粒を送り込むことによって発現する。

羽毛のケラチン繊維へ輸送される色素量とタイミングにより様々な紋様が現れる。

発生の段階で色素の種類と量が決められている。

縦縞

色素芽細胞の分布が神経冠の部分では均一で、体側に移動するときにムラが生じると縦縞となる。

横縞

神経冠部分ですでに不均一性があり、それが均一に体側へ移動すると横縞となる。

 

化粧色

尾脂腺から出る分泌物によって羽に付けられた外部着色。

通常期には無色だが、繁殖期に澄色などを帯びる。

酸化によって落色する。

ユリカモメ、カワアイサ、モモイロペリカンなどではピンク色になる。

トキ

繁殖期に頸側部から黒色物質を出し体に付けるので、頸の届く範囲だけ黒くなる。

雌雄とも行う。

天敵から目立たないよう身を守るため。

トキ以外では知られていない。

 

ヘモグロビン

シチメンチョウの赤い鶏冠やコンドルの頭の赤を作る。

 

色素由来

 

緑色

ケワタガモ♂の頬

一部のエボシドリの体羽(色素はツラコバジン)

黄緑

羽枝と羽小枝に含まれるメラニンとカロチノイドによる。

ヒメアオバトの中には青みがかった頭部のものも

南アメリカのカザリドリ

 

グロージャーの法則

同種もしくは近縁の種間では、温暖で湿潤な気候に生息するものはメラニン色素が多く、冷涼で乾燥地域のものより、より濃色を有する。

 

アルビノ

色素を作る仕組みに欠陥を生じて、全身が白くなった個体。

チロシンをメラニンに代謝する酵素が働かない異常。

チロシナーゼ欠乏変異であることが多い。

厳密には虹彩にも色素がなく、目は血液の色で赤く見える。

嘴や脚は肌色。

完全なものは稀。

虹彩などには色素を持つ不完全な白化にとどまることが多い。

確率は10万分の一程度。

カラスのアルビノ、嘴と脚はピンク。

爬虫類はメラニン以外にも色素を持つので、アルビノであっても白くならない。

白化

完全白化

網膜を通して毛細血管が透けて見えるため、虹彩は赤くなる。

不完全白化

部分白化

色素過少 全体的に色素が少なく、淡褐色の不完全白変

     バフ変ともいう。

黒変

メラニン色素が異常に多くて黒色化した個体。

全身が黒い

完全黒変

一部だけ黒い

部分黒変

セグロセキレイは部分白化の個体が多いが、ハクセキレイでは知られていない。

 

多型

カッコウ類の雌、ハクガン、クロサギ、ミズナギドリ科などで知られる。

日本のカッコウ科の赤色タイプは、セグロカッコウ以外全てにある。

♀のみ。

カッコウでは成鳥の赤色タイプは記録がない。

成長する段階の換羽で普通の羽色になる。

 

色素には体を保護する役目もある。

メラニンは紫外線などの有害な光線から組織を守る。

体温の制御、抗菌作用、毒性物質の吸収なども。

メラニンを含む羽毛の黒い部分は他の色の部分より丈夫になっている。

湿潤な気候に生息する鳥は暗色の傾向にある。

オオジュリンの頭の羽縁は、擦り切れて黒い頭になる。

羽毛は完成後には血液を全く通じないから、色素が新しく形成される事も無い。

したがって色素の変化による羽毛の変色は、常に色素崩壊によるものである。

 

構造色

光の散乱

光が反射するのは、光の波長よりも大きな粒子

粒子が波長より小さいとき  レイリー散乱

波長と同じ程度の大きさ  ミー散乱

波長より大きいときは、

いろんな波長を散乱する  非選択的散乱(霧など)

 

夕陽の赤も散乱。(レイリー散乱 ミー散乱)

ブロッケン現象はミー散乱

窒素分子や酸素分子による散乱量は、

波長の短い光ほど大きいので青色が目立つ。

(青は赤の10倍散乱しやすい)

空が青く見えるのと同じ現象。(レイリー散乱)

 

羽枝の複雑で繊細な構造の角質層に光が反射、屈折して、人の目に『青い色』(チンダルブルー)として映っている。

チンダル現象とも呼ばれる。(特に気体以外)

波長の短い青が、波長の長い赤に比べて優先的に散乱するので青く見える。

青い色素に基づいた青い鳥はほとんどいない。

関与する細胞が限定され、羽枝にのみ生じる。

オオルリルリビタキカケスヒクイドリヤイロチョウイソヒヨドリツバメ

セキセイインコのろう膜、七面鳥の鶏冠。

カワセミの羽軸(カワセミは散乱+干渉)

ルリシジミ、トンボの青。

西洋人やシャム猫の青い瞳。

人の静脈が青く見えるのも光の散乱。

青色構造を持つのは羽枝だけであり、多くの場合小羽枝の発達を犠牲にして、青色構造が著しく強化される。

鮮やかな緑

チンダルブルー黄色い色素

野生のセキセイインコの緑は構造色の青の上に、黄色の色素で緑色に見える。

人為的に色素を持たない系統を作ると青くなる。

チンダルブルー赤い色素

リュウキュウアカショウビンブッポウソウ

小羽枝内の空気の小胞の直径が700nm以上になると、全ての波長の光を反射するので、羽は白く見える。

すべての羽に生じる。

ハクチョウなど

白髪、白目、雲の白、モンシロチョウの白、綿毛、豆腐も。

(ミー散乱)

光の屈折

境界面で一部の光が反射され、残りの光は物質の中に入り込み、境界面で生じる光の進む方向の変化。

虹など。

光の回折

光の方向が変わる現象。

(ブロッケン現象など)

蝶や蛾の鱗粉に多い

光の干渉

小羽枝の表面のケラチン層の構造で起こる虹色効果。

薄い層を通して白色光が反射するとき、層の前面と後面での反射されやすさが、波長ごとに違うことで現れる色。

見る角度で色合いが変わる。

CD、真珠、貝殻の内側、熱帯魚、金蝿、ミミズ。

オパール(フォトニック結晶)

モルフォチョウ(多層干渉)、タマムシ(多層干渉)など昆虫の翅に多い。

可視光波長域の光がほぼ完全に反射されると銀色になる。(鰯など)

偏光フィルターで撮影すると光の干渉を打ち消してしまうので、黒っぽく写る。

アオハダトンボ翅()480nm(多層干渉)

ハチドリキジの綺麗な色

淡水ガモの翼鏡

マガモ♂の頭、クジャクの羽枝100nm(多層干渉)ムクドリタゲリカラスの胴体

薄膜干渉

 一枚の薄い膜の表と裏に反射した光によって起こる。

 ハトの喉  正面  428nm600nm ()

            30度 371 nm520nm ()

シャボン玉、油膜、チョウトンボの翅、ハエの翅

虫によっては死ぬと色が、黄→緑→青→菫→褐色 と変化。(水分が減り縮むので)

水を与えると色は元に戻る。

哺乳類では構造色は見つかっていない。

 

キリヤ化学

 

色素によるものが多い

黄色

色素によらないものが多い

 

不味い鳥

カワセミのように美しい色彩や、オウチュウなど真っ黒でよく目立つ色彩を持つ鳥は不味い。

 

地味ルリビタキ

小鳥の多くは『第一回夏羽』=『成鳥夏羽』なのに、ルリビタキでは♀のような♂がいる。

第一回夏羽で青色が出て、初列風切外弁まで青くなるのに4年かかる。

羽色の発現が遅れる現象を羽衣成熟遅延と呼ぶ。

第一回夏羽

メスと極似。小翼羽は青味がかる。

第二回冬羽〜

上面が青味がかる。腰、上尾筒、尾羽は青色。

理由

@    エネルギーが多く必要なので、節約しながら羽を少しずつ入れ替え。

A 繁殖の機会が少ない若い♂は目立たない方が有利。

B ♂型の羽色を持つと冬の生存率が低下。

C ♀のふりして他の♂の縄張に入り、つがい外交尾をする。

  《反論》 ♂には♀に見え、♀には♂に見えなければならない。

D 争いを避けるため、『自分は弱い』ことを宣言している。

地味な♂でも♀は同じように選ぶ。

オスは青色同士、褐色同士だと争いとなりやすい。

若いオスには小雨覆に青みが有り、メスには無い。

 

紫外線

ツバメなど紫外線を感知できる鳥には、人には雌雄同色に見えて、

実は紫外色では雌雄で色に違いのある種も存在する。

 

シジュウカラ

羽毛は320400nmの紫外線を強く反射。

 

青緑

380nm

430nm

430nm

480nm

480nm

490nm

490nm

550nm

550nm

590nm

590nm

640nm

640nm

770nm

 

光の三原色

赤 R 600700nm

緑 G 500600nm

青 B 400500nm

= イエロー

= シアン(青緑)

= マゼンタ(赤紫)

=

 

インクの三原色

シアン  C

マゼンタ M

イエロー Y

シアン  マゼンタ =

マゼンタ イエロー =

イエロー シアン   =

シアンマゼンタイエロー =

 

人は色相を約200段階に区別できる

明度は500段階

彩度は20段階

従って人は約200万色を区別できることになる。

 

カウンターシェイディング

多くの動物では背中のほうが腹よりも色が濃い。

体の陰になる腹側は、光を多く浴びている背側より暗く見えて、立体的な姿をあらわにしてしまう。

腹側が淡色であれば、立体感を表すコントラストは打ち消される。

 

 

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