換羽
換羽時期 |
八月頃が多く、四週間ほど。 換羽には多くのエネルギーを使うので、この時期には歌ったり、争ったりせず、ひっそりと生活する。 換羽に多くのエネルギーが必要なので、餌の豊富な時期に換羽が始まる。 渡りの最中に換羽は行われない。 渡る鳥は、渡る前に換羽が完了することが多い。 事故などで失われると、補助換羽が行われ、2〜3週間で生える。 |
タカブシギは渡りと重なるので、渡りを中断し、羽が抜け変わってから渡りを再開。 |
マガンは7月末から換羽を始め、8月中旬には幼鳥と共に飛べるようになる。 |
ミヤマシトドの完全換羽は54日間。 最北の個体群は47日間、南部の亜種nuttalliは83日間。 |
ホルモン |
繁殖が終わって繁殖に必要な性ホルモンが低下すると、甲状腺ホルモンの分泌が盛んになり、卵(精)巣機能の低下との相互作用で換羽が始まる。 日照時間が短くなり始めると性ホルモンが低下する。 北の地方ほど早く日が短くなるので、換羽の時期が早くなり、渡りの開始も早い。 (熱帯地方では変化がないので、換羽は少しずつ長期間) |
換羽 |
一枚ずつ |
ツバメ類 ワシタカ類 |
時間は掛かるが、 うまく飛べないと餌がとれない。 |
数枚ずつ |
多くの鳥 |
飛びづらくなるので、 活動的でなくなる。 |
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まとめて |
カモ目 アビ類 多くのウミスズメ類 ツル類 クイナ類 バン オオバン オガワコマドリ オオヨシキリ キタヤナギムシクイ フラミンゴ ペンギン類 |
一時的に飛べなくなるが、 換羽が早く終了。 飛べなくても餌はとれる。 水に入れないペンギンは絶食 |
完全換羽に要する期間は約1ヶ月〜100日以上かかる種もいる。
渡り鳥では30〜40日ほど
鴨は一ヶ月(3〜4週間飛べなくなる)
スズメは3枚くらいずつ換羽。2ヶ月ほどかかる。
ウソは11週
カワラヒワは90日
ベニヒワ風切羽の換羽期間は34〜56日間
サイチョウ♀は樹幹の巣穴に閉じこもっている間に全身の換羽を行い、
巣穴から出るときは新しい羽毛が生えそろう。
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カワラヒワ |
ベニヒワ |
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♂ |
♀ |
♂ |
♀ |
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風切羽の換羽枚数 |
2.23 |
2.23 |
3.16 |
2.70 |
全身完全換羽 |
一年に一回すべての羽毛が抜け替わる。 普通は繁殖の終わったすぐ後。 |
部分換羽 |
繁殖期の前に行うものが多い。 風切羽、初列雨覆、尾羽以外。 種類によって範囲が異なる。 ・ 胴体部分の全部を換羽するもの、 ・ 体羽のごく一部だけ換羽するものなど。 |
不規則換羽 |
消耗した羽から生え変わり、規則性が無い。 |
補充換羽 |
翼羽などが、何かの原因で抜け落ちた場合は、 次の換羽を待たずに新しい羽が生えてくる。 無理に抜くと、羽根(うこん)が破壊されて生えなくなってしまうことが多い。 |
二年に一回 |
大型のツル、大型の猛禽類 |
年一回 秋に完全換羽 |
ハクチョウ類、トキ、ガン類、タカ類、フクロウ類、ツグミ類、 一部の(キツツキ類、ツル類、スズメ目) ルリビタキ、オオルリ、ホオジロ、ホオアカ、ミヤマホオジロ、カシラダカ、アオジ、クロジ、ノビタキ、ノゴマ、オオジュリン、アトリ、ベニマシコ、オオマシコ、ハシボソガラス、ハシブトガラス |
春は部分換羽 秋は完全換羽 |
一番多い カイツブリ類、シギ類、チドリ類、カモメ類、ウミスズメ類 アビなどアビ類の一部、一部の(セキレイ類、ウグイス類) サギ、ハクセキレイ ユリカモメなど、春に頭が黒くなるカモメ。 |
春は完全換羽 秋は部分換羽 |
スズメ目の一部(モズ類の一部、ウグイス類の一部) アビ類の一部(オオハム、ハシグロアビなど) |
年二回完全換羽 |
長距離の渡りをする少数の種で見られる。 アメリカズグロカモメ、キタヤナギムシクイ、チゴモズ、アカモズ、ボボリンク、シベリアセンニュウ、アカエリシトドなど |
年三回換羽 |
ライチョウ属 夏の終わりに換羽。 保護色の白い冬羽をまとうため、秋の終わりに換羽。 春に生殖羽に換羽。 コオリガモ属、エリマキシギも |
生まれた年の秋に、全身完全換羽を行うスズメ目の鳥 |
ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、オオヨシキリ、コヨシキリ、エナガ、ツリスガラ、 メジロ、ホオジロ、シマアオジ、ムクドリ、ホシムクドリ、 大部分のヒバリ科、スズメなど多くのハタオリドリ科、 モズ科の一部、アトリ科の一部。 |
一才未満で成鳥と同じ羽毛となる |
ほとんどの鳥は年二回換羽する。 秋に完全換羽、春に部分換羽(胸や頭など)が多い。 |
春と秋に二回換羽する鳥では、冬羽の方が羽毛の密度が高く、保温力も高い。 |
渡らない鳥は換羽期間が長く、渡る鳥では短い(30〜40日)。 |
高緯度地方で繁殖する亜種や個体群ほど換羽期間が短い。 |
カモは秋に全羽換羽(エクリプス)。 冬に尾と翼を除く羽が換羽して美しくなる。(嘴の付け根近くの羽から換羽) |
夏から秋にかけては翼も換羽する。 換羽は左右対称に行われるので、飛ぶときにバランスが崩れない。 カッコウ科では風切を一枚置きに落とし、その後残りの風切を落とすことで、飛翔能力の低下を防いでいる。タカ科の尾の換羽もこの方式。 |
雌 |
春の一部換羽では、不完全な換羽だったり、 換羽を行わないこともある。 |
幼鳥 |
小鳥では初列風切や尾羽は一般に細い。 |
羽の先端が冬の間に擦り切れて、内部の色が出てくる |
ムナグロ、ハリモモチュウシャクシギ、アトリ、カシラダカ、ノビタキ、オオジュリン、ジョウビタキ、マヒワ、ベニマシコ、ベニヒワ、モズ |
風切羽の換羽 |
初列 |
通常内側から外側に向かって順に脱落、成長する。 |
三列 |
次列より早く始まり、速く終わる。 三枚のうち、一番長い第一三列風切から |
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次列 |
初列が数枚伸びきったところで、 次列が外側から内側に向かって換羽を始める |
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尾羽の換羽 |
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中心部から始まり、外側へ |
初列風切羽の換羽は多くの種で内側から始まるが、 外側から始まる種(ムナフヒタキ) 中央から両側に進む種(カワセミ類) |
オオヨシキリ |
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換羽前 |
換羽期 |
渡り前 |
体重(g) |
29.4 |
26.5 |
33.3 |
脂質インデックス(%) |
3.0 |
4.4 |
16.4 |
酸化価 |
40 |
41 |
24 |
ケン化価 |
184 |
190 |
202 |
ヨウ素価 |
61 |
78 |
73 |
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ムナグロ |
ダイゼン |
換羽 |
繁殖中(7月上旬) |
繁殖後 |
対捕食者行動 |
うずくまる 偽傷行動 |
追い払う |
体重 |
130g |
270g |
ヨーロッパコマドリ |
渡る個体群 |
8月に換羽 |
渡らない個体群 |
9月に換羽 |
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飛べない日数(繁殖後の♀) |
コスズガモ |
14〜21 |
オオホシハジロ |
21〜28 |
クビワキンクロ |
21〜28 |
オカヨシガモ |
25〜30 |
オナガガモ |
28 |
カワアイサ |
28 |
ハシビロガモ |
35 |
アメリカヒドリ |
35 |
アメリカホシハジロ |
35〜42 |
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ガン類 |
カモ類 |
飛べない期間 |
ヒナの孵化〜ヒナが飛べるまで |
ヒナが飛べるようになってから |
初列風切の換羽 |
タカ類 |
P1から |
ハヤブサ類 |
P4 P3 P2 P1、P5 P6 P7 P8 P9 P10 |
クマタカ |
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年齢 |
換羽する場所 |
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初列風切 |
次列風切 |
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0歳 |
無 |
無 |
1歳 |
P1〜P3 |
S12〜S13 |
2歳 |
P3〜P6 |
S1〜S2 S5〜S6 S11〜S12 |
3歳 |
P1〜P3 P7〜P8 |
S3 S6〜S10
S12〜S13 |
4歳 |
P4〜P6 P9〜P10 |
S1 S4 S5 S8 S11 |
年間換羽枚数は平均で、メス5枚、オス7枚 |
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初列風切 換羽の順番 |
タカ科 |
P1から始まり、P10で終了 |
ハヤブサ科 |
P4から始まり、P1まで 同時進行 P5から始まり、P10まで |
エリマキシギ |
秋に完全換羽、春に部分換羽、その後三回目の補足的な換羽で襟巻きができる。 |
オオバン |
カモのように、翼の羽全てが同時に抜ける。 |
カモ類 |
夏の終わりから換羽。 11月頃に完了。 |
換羽期に胸の筋肉が減り、脚の筋肉が増える。 |
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キジ |
飾り羽は下尾筒。 飾り羽は晩夏に抜け、新しい羽は冬の終りまでに生えそろう。 |
クマタカ |
抜けた羽は30〜45日かけて伸長する。 |
サンコウチョウ |
長い尾羽を落としてから渡去 |
シギチ |
肩羽が最初に換羽する種が多い。 |
スズメ |
2ヶ月 初列風切の一番内側から抜け始める。 4枚目が抜けると大雨覆が一斉に抜ける。 小、中雨覆、尾羽の換羽を開始。(尾羽は一度に数枚) 初列風切の5枚目が抜けたところで次列風切も換羽開始。 体羽も換羽開始。 雨覆、体羽換羽終了。 初列風切換羽終了。 次列風切換羽終了。 |
タカ目 |
春から換羽を始め、秋に完了。 トビは6月〜10月 |
鶏 |
夏〜秋 頭部、頸部、胸部、体幹、尾部、翼の順に換羽。 |
ハシブトガラス |
初列風切の換羽は115日前後。 |
ハシボソガラス |
初列風切の換羽は105日前後。 |
ミヤマガラス |
メスよりオスが早く換羽開始。 終了は雌雄同時。 |
ウミスズメ類、コサギ、シロチドリは12月頃に夏羽になる。