カラス
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漢字名 |
烏 |
〔う〕ハシボソガラスの漢名 コクマルガラス カラス類の総称 黒い鳥で、眼がどこに有るかわからないので、 鳥の目の部分を減らした文字。 古代中国では反哺の習性があるものを烏、ないものを鴉とした。 この文字には『黒い』や『太陽』の意味がある。 |
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鴉 |
〔あ〕ハシブトガラスの漢名。 反哺しないほうのカラス。 牙は音を表す意味もある。 変わった音を出す鳥の意味。 |
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どちらも鳴き声を模した擬音語由来 反哺の考えが生まれてから吉鳥となった。 中国神話では太陽にも三足鳥が棲むといい、太陽の象徴。 |
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ハシボソガラス |
ハシブトガラス |
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体長 (平均) |
462mm〜540mm (502mm) |
532mm 〜595mm (565mm) ボソより13%多い |
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体重 (平均) |
320〜686g (503g) |
600g 〜750g (670g) |
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480 |
550 |
600 |
730 |
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脳の重さ |
8.8g |
10.7g |
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眼球の重さ |
3g |
3.4g |
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くちばし |
細い 直線的 |
太い カーブしている |
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くちばしの長さ |
5.3cm |
6.8cm |
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45.1mm |
52.6mm |
62.7mm |
71.1mm |
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くちばしの太さ |
1.9cm |
2.7cm ボソより42%多い |
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舌の長さ |
2.7cm |
3.0cm |
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26.4mm |
27.6mm |
28.3mm |
30.7mm |
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舌の幅 |
0.8cm |
1cm |
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7.6mm |
8.2mm |
9.3mm |
10.1mm |
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額 |
出っ張っていない |
出っ張っている |
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羽の金属光沢 |
艶がない |
強い |
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翼 |
翼は尾の先端近くまである |
翼は尾より短い |
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青っぽい |
赤紫 |
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羽ばたきが大きい |
羽ばたきは軽くて浅い |
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換羽 |
開始 |
雛の巣立ち後 |
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5月下旬 |
6月上旬 |
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終了 |
9月中旬 |
10月上旬 |
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初列風切の 換羽期間 |
105日前後 |
115日前後 |
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羽ばたき |
深い |
浅い |
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飛行時の尾 |
短め |
長め |
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角張る |
丸い |
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巡航速度 |
40km/h |
36km/h |
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歩き方 |
ほとんどウオーキング |
ホッピングも |
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声 |
ガー 濁っている あまり鳴かない |
カー 澄んでいる よく鳴く |
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周波数 |
高い 1〜8kHz |
低い 0.5〜6kHz |
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最大音圧周波数 |
1.7kHz |
1.3kHz |
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最高周波数 |
10.4kHz |
6.1kHz |
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鳴く姿 |
頭を上下して鳴く ごめんなさい |
尾を上下して鳴く 頭を突き出し、高圧的 |
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幼鳥の声 |
ガー (めったに鳴かない) |
ウンアー |
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分布 |
広い 北方系 極東からヨーロッパまで |
狭い 南方系 アジアの東部と南部 |
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渡り |
北部で繁殖した者は南部へ |
あまり移動しない |
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精巣 |
3〜4月に最大値 |
5月に最大値 |
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営巣場所 |
常緑樹52% 落葉樹25% 木の中ほど |
常緑樹が多い(92%) 木の高い所 |
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繁殖開始時期 |
葉が芽吹く前 |
木の葉が茂ってから ボソより20日遅い |
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卵の重さ |
19.4g |
23.6g |
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人への攻撃 |
人を襲わない |
人を襲う |
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生息環境 |
田園地帯、川 |
森、日本では都市部 |
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地上 |
樹上 |
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食性 |
農作物を好む 草の実 植物性が強い クルミを車にひかせる |
樹木の種子を好む 木の実 肉食性が強い ロウソクや石鹸も食べる |
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食べ方 |
その場で |
安全な場所に移動して |
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貯食 |
あまりしない |
よくする |
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ペリット |
親指大 糞のようにしっかりした形 |
ぺちゃっとしている 形がハッキリしない |
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体長はブトの最小個体とボソの最大個体が同じくらい。
ブトのおでこの出っ張りは骨ではなく羽毛なので、雨の時や
まだ羽毛が伸びきってない個体では出っ張りは小さい。
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脳 |
カラスの脳は14g(人は1,250g〜1,390g) |
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眼 |
0.5ルクスほどの暗さでも図形の識別ができるので、夜でも飛べる。 |
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網膜の神経節細胞は約350万個(人は100万個) |
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本物の肉と食品サンプルを的確に見分ける。 |
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臭覚 |
臭覚の発達が弱く、臭神経はハトの1/3の細さ。 |
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耳 |
外耳道の入り口は直径6mm |
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声 |
雌は雄に比べて発声器官が小さいため、周波数が高い。 |
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舌 |
普通の鳥には舌に固有舌筋がないが、カラスにはある 舌には丈夫な突起が喉に向いて、『かえし』状となり、 一度飲み込んだ餌が滑り落ちない構造となる。 |
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餌袋 |
そ嚢は無い。 口腔内から咽頭にかけての部分が大きく広がり、 貯食するとき、この袋に食物を詰め、運搬する。 ブト、ホシガラス、カケス、カワラヒワなど |
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食事量 |
一日の食事量は100g |
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消化管 |
食道10cm 腺胃2cm 筋胃4cm 小腸88cm 直腸1.5cm |
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精巣 |
非繁殖期 |
長径3mm |
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繁殖期 |
長径15mm |
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羽 |
ハシボソガラスの羽は紫色の光沢ある黒色だが、 春期換羽しないため、夏羽は光沢なく、褐色を帯びる。 |
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黒いので太陽の光を吸収し、暑そうに感じるが、 光沢があり、光を反射するので、体温の上昇を防ぐ。 |
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換羽 |
雛の巣立ち後に換羽開始 |
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初列風切 |
P1〜 次列風切より先に終了 |
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次列風切 |
初列風切P5〜P6まで進んでからS1〜 風切で最後はS6 |
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三列風切 |
次列風切より早く始まり、早く終わる。 |
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尾羽 |
初列風切P4まで進んでから、中央尾羽〜 初列風切より先に終了 |
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行動範囲 |
最大で40km(片道一時間) |
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頭部の脱羽 |
春〜初秋の換羽期間に起こる。 カササギ類で特に多く、頭の全ての羽毛を一度に換羽。 |
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雌雄 |
オスの方がやや大きいが、個体差の範囲内。 |
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額や肩が角ばっているのがオス。 なだらかなのがメス。 |
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ハシブトガラス嘴の長さ ♂ 6〜7cm ♀ 5〜6cm |
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メスは抱卵斑で腹部が白くなる。 |
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繁殖中なら抱卵しているのがメス。 (カラス科では抱卵はメスのみ) 抱卵中のメスに、オスが給餌するときは巣の近くに餌を置く。(声はガララ) |
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ヒナに餌をやるのもほとんどがメス。 |
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人を攻撃するのはオスのみ。 |
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つがい関係は生涯続く。 |
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プロポーズ |
オスは尾羽を広げ、頭を上下に振って、 メスの周りを踊って歩く。 |
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繁殖 |
3月〜4月中に巣造り完成。 4月に産卵。 一日一卵、3〜5卵産卵。 順次抱卵 孵化しないものが1卵ほどあり、 巣立つのは2羽ほど。 |
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ヒナ |
孵化直後の体重は14g 一卵目から抱卵するので、 最後の雛が孵化するのは5日ずれる。 |
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孵化後7日で眼が開く。 10日後、風切羽が生え始める。 |
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孵化後2〜3週間まで、口の中が赤い。 成長に伴いピンク。 舌の先端から黒くなる。 口腔内は咽頭まで真っ黒になるには三年かかる。 |
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幼鳥の羽は褐色 |
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攻撃 |
繁殖期、ハシブトガラスの♂が人を襲う。 ガララララとしゃがれた声で鳴いてから。 |
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親戚 |
美しさで有名なフウチョウと共通の祖先。 メスのフウチョウはカラスと似ている。 |
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雅 |
鴉と雅は同音異義語(異字体)であった。 ミヤマガラス |
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名前 |
総称としての「からす」の他に、「さとがらす」と「やまがらす」と分けて呼ばれていた。 江戸時代中ごろから「ハシボソガラス」と「ハシブトガラス」と呼ばれる。 その頃には、ハシブトガラスが山から町に進出。 |
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童謡七つの子 |
カラスが産む卵は3〜5個。 七歳のカラスはもちろん大人。 『七つの子』とは、人で言えば七歳くらいの可愛い盛りの子という意味。 作者の野口雨情がこの歌を作ったのは、職探しの長い旅に出る時で、七歳の自分の子(雅夫)を強く抱きしめた。 離れれば離れるほど深まる親子の愛と、息子への慈しみをカラスに託し、歌を作った。 |
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冬鳥 |
ボソは沖縄では冬鳥 韓国ではボソもブトも冬鳥 |
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マヨラー |
ハシブトガラス 実験で、いろいろな食べ物を置いたら、真っ先に食べたのは『脂身』で、次が『マヨネーズ』。 ステーキや果物はその後。 |
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貯食 |
100箇所以上覚えていられる。 腐りやすい物は短期間に取り出して食べる。 保存の利く物は長期間保存する。 |
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ゴミ袋 |
半透明のゴミ袋でも中にある本物の肉と食品サンプルを的確に見分ける。 |
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黄色いゴミ袋 |
カラスは人が見える範囲の光の波長より幅広い範囲の波長を目で捉え、脳で総合して画像を再構築している。 だが、その波長の一部が欠ければ脳内で再構築できず、『見えていない』ことになる。 紫外線を遮断する特殊な顔料により、袋の中が見えにくくなる。 その特殊な顔料が一番効果を発揮するのが黄色。 |
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カラスの視細胞には油球があり、 特定の波長の色が増幅して見える。 黄色を強調する特殊な顔料を塗った半透明の袋が、 カラスには濃く見え、袋の中が良く見えない。 |
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白い部分 |
黒いカラス、外から見える唯一白い部分、 それは瞬膜。 |
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黒いので夏は暑い? |
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白い羽は赤外線が浸透しやすく、体温が上がりやすいという研究もある。 |
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黒い羽は光を吸収してしまうので、表面温度こそ上がるものの、羽毛の断熱性で体温自体はあまり上がらない。 |
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味 |
ハシブトガラス |
悪臭がひどい。 |
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ハシボソガラス |
普通の鶏肉と変わらない。 |
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カラスは日本でも昔は食べていた。 ミオグロビンを多く含み、鉄分が豊富。 普通の鶏肉よりコクがあり、レバーのようなまろやかさ。 味もレバニラ炒めのレバーに似る。 赤味が強く、鶏の胸肉に似ている。 鯨肉に似るとも。 信州のカラス田楽 肉をすりつぶし、焼いたもの。 中国では漢方薬として食される。 純粋な料理としても豚肉よりおいしいと評判。 韓国では強精剤として食べられるようになって、 カラスの個体数が減った。 |
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オナガ |
日本では東北、関東、甲信越、北陸に生息。(群馬県を除く) かつては九州、関西にも生息していた。 |
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夜は抱卵中の♀を除き、群れでねぐらをとる。 |
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群れには順位があり、♀より♂が上。 |
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その年生まれの♀は秋までに群れから出て行く。 ♂は群れに残る。 |
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生まれた年の翌年から繁殖可能。 |
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カケス |
日本の亜種はミヤマカケス、カケス、ヤクシマカケスの三種。 (サドカケスを含め四種とする説も) 一回に運ぶドングリの数は4個ほど。 |
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ルリカケス |
繁殖期が早い。 一月に巣作り、二月に産卵、三月にヒナ誕生。 |
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声 ジャージャー(警戒)捕食者をひるませる効果。 キュリュイキュワア(連絡) |
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♂は胸と背の青が大きく鮮やか。 喉の白色部も♂は目立つ。 |
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配色は毒鳥のズグロモリモズに似る。 |
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近縁種は、カケスやミヤマカケスではなく、ヒマラヤに分布するインドカケス。(遺存固有種と推定) アオカケスは名前は似ているがアオカケス属。85g ルリカケスはカケス属、180g |
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コクマルガラス |
暗色型は幼鳥、淡色型は成鳥とする説もある。 |
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コクマルガラスの群れはその群れの中で上位となった構成員が発した警戒声に対してだけ分化的に反応する。 |
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ミヤマガラス |
深山と付くが、平地の開けた野の鳥 |
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ミミズが好物。 嘴をミミズの穴に入れ採餌。 |
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ハシボソガラス |
瞬膜は水色がかった淡い灰色。 |
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ワタリガラス |
スズメ目で最大 嘴の長さ 82mm 嘴の厚み 31mm |
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アメリカガラス |
アメリカではアメリカガラスが多い。(ブトより小さい) |