俳句と鳥の生態
アオバズク |
こくげんをたがへず夜々の青葉木菟 飯田蛇笏 毎夜同時刻に活動開始 |
イカル |
いかる来て起きよ佳き日ぞと鳴きにける 水原秋桜子 聞きなし |
ウミウ |
おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな 芭蕉 鵜飼で歓楽をつくしたあとのむなしさ。 |
鵜の嘴に魚とり直す早瀬かな 白雄 横ぐわえした鮎をくわえ直し、頭から飲み込む。 |
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ひいき鵜は又もから身で浮かみけり 一茶 鵜飼の見物人も、鵜を個体識別し、働きぶりを見ている。 |
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疲れ鵜の叱られて又入りにけり 一茶 船を使わない徒歩鵜 鵜の労働を収奪する鵜匠の非情な強制 |
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家近く鵜の声戻る夜明けかな 欄更 夜通しで作業する鵜飼は重労働。 |
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羽根ひろぐ岩礁の鵜の黒十字 秋元不死男 野生のウミウが岩礁で羽を乾かす |
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オオヨシキリ |
逐ひ出して見れば鳥なり行々子 禹月 口汚い声。石を投げてみたら、飛び出したのは意外にもかわいらしい小鳥。 |
よしきりや口を休めに飛んで行く 鳥酔 縄張りを出ると沈黙 |
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よく聞けばただ一羽なり行々子 白千 声量がすごい |
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よしきりや逆さまに鳴き竪に啼く 吏全 横向きの止まり場はないので、鉛直のヨシの軸に、窮屈そうに体位を変える。 |
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言ひまけて一羽は立つか行々子 也有 縄張りの占有競争 |
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よし切や一本竹のてっぺんに 一茶 竹藪で繁殖行動をする適応性。 |
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月影やよしきり一つ夜なべ鳴き 一茶 夜も鳴く |
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芦の葉の今より寂し行々子 一草 繁殖を終え、南の国へ旅立ったあとの物足りなさ。 |
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カイツブリ |
かいつぶり浮き出づるまで見て過ぎぬ 暁台 潜るとなかなか浮いて来ない。 |
五月雨や植ゑ田の中にかいつぶり 泥足 水かさが増し、池との境界があやふやになった水田。 |
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かいつぶり顔見合せて又はひる 芭蕉 求愛行動 |
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芦の根を力に鳰の浮き巣かな 都摩 浮巣といえども一応固定されている。 |
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流さるる浮巣に鳰の声かなし 子規 浮巣は流されやすい |
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鳰の巣のところがへする五月雨 良寛 |
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親鳥の浮き巣はなれて見せにけり 湖水 巣を離れるのが怖い雛。親がお手本を見せ、巣から離れる。 |
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野の池や氷らぬかたにかいつぶり 几薫 寒い冬 |
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烏 |
陽炎に飯を埋めたる烏かな 一茶 貯食行動 |
燕 |
去年の巣の上ぬり直す燕かな 俊似 補修して再利用する場合もある |
鶴 |
凍鶴のうなじも見えず立てりけり 増田龍雨 首を羽の中に入れる |
白鳥 |
白鳥のつぎつぎに着くを身を反らし 鷹羽狩行 着水は体を反らす |
ヒバリ |
はる風にちからくらぶる雲雀哉 野水 |
ヒヨドリ |
人のする絶叫なるを鵯もせる 相生垣瓜人 絶叫のような声 |
ヒレンジャク |
緋連雀一斉に立ってもれもなし 阿波野青畝 いつも群れで行動 |
ホトトギス |
いく夜寝ぬ身のおろかさよほととぎす 豊島朴因 夜も鳴く |
ムクドリ |
あれ程の椋鳥をさまりし一樹かな 松根東洋城 夕方、一本の木に群れて寝る |