万葉集

鳥の歌は約600、約40種、雀はゼロ

霍公鳥

ほととぎす 最多の百五十二首

卯の花とホトトギスの組み合わせは十六首

卯の花も いまだ咲かねば 霍公鳥

     佐保の山辺に 来鳴き響もす

大伴家持

橘と共に詠まれたものが最多の二十一首

 

霍公鳥 何の心そ 橘の 

珠貫く月に 来鳴きとよむる

大伴家持

 

百鳥、群鳥など百四十首以上

大和には 鳴きてか来らむ 呼子鳥

高市黒人

かり 七十首近く

今朝の朝明 雁が音聞きつ 春日山

     黄葉にけらし わが情痛し

穂積皇子

五十一首。梅をからめたもの十二首

梅の花 散らまく わが園の

     竹の林に 鶯鳴くも

阿氏奥島

大伴家持の歌が最多の十一首

 

春の野に 霞たなびき うら悲し

     この夕かげに 鶯鳴くも

大伴家持

五十首近く

葦辺行く 鴨の窒ェひに 霜降りて

     寒き夕べは 大和し思ほゆ

志貴皇子

たづ 四十七首

桜田へ 鶴鳴き渡る 年魚市潟

     潮干にけらし 鶴鳴き渡る

高市黒人

千鳥

二十六首(多くの鳥としての千鳥が二首)

大和の川が多い

千鳥鳴く 佐保の河瀬の さざれ波

     止む時も無し わが恋ふらくは

坂上郎女

かけ(ニワトリ) 十二首

庭つ鳥 鷄の垂尾の 乱尾の

     長き心も 思ほえぬかも

 

鵜は二首、鵜飼は十首

阿倍の島 鵜の住む磯に 寄する波 

     間なくこのころ 大和し思ほゆ

山部赤人

毎年に 鮎し走らば 辟田川

     鸕八頭潜けて 川瀬尋ねむ

大伴家持

九首

春の野に あさる雉の 妻恋の

     己があたりを 人に知れつつ

大伴家持

トモエガモ

あぢ 九首

あぢの住む 渚沙の入江の荒磯松 

吾を待つ児らはただ一人のみ

 

呼子鳥

九首

瀧の上の 三船の山ゆ 秋津辺に

     来鳴きわたるは 誰呼児鳥

 

にほ 八首 (しなが鳥は三首)

鳰鳥の 葛飾早稲を 饗すとも

     その愛しきを 外に立てめやも

東歌

八首

鶉鳴く 古りにし郷の 秋萩を 

     思ふ人どち 相見つるかも

沙弥尼

七首(内、鷹狩が六首)

石瀬野に 秋萩凌ぎ 馬並めて

     初鷹狩だに 為ずや別れむ

大伴家持

きぎし

七首

あしひきの 八峰の雉 鳴き響む 

     朝明の霞 見ればかなしも

大伴家持

トラツグミ

ぬえとり 六首

ひさかたの 天の川原に ぬえ鳥の

     うら泣きましつ すべなきまでに

柿本人麻呂

ミサゴ

六首 沖、渚、荒磯など海岸の語が続く

みさごゐる 磯廻に生ふる 名乗藻の

     名は告らしてよ 親は知るとも

山部赤人

鴛鴦

四首

妹に恋ひ 寝ねぬ朝明に 鴛鴦の

     ここゆ渡るは 妹が使か

柿本人麻呂

たかべ(コガモ)と合わせて題材にして

人漕がず あらくも著し 潜きする

     鴛とたかべと 船の上に住む

鴨君足人

四首

鴉とふ 大軽率鳥の 真実にも

     来まさぬ君を 児ろ来とそ鳴く

 

水鳥

四首

水鳥の 発ちの急きに 父母に

     物言ず来にて 今ぞ悔しき

有度部牛麻呂

白鳥(しらとり)で登場するものを含め三首

池神の 力士舞かも 白鷺の

     桙啄ひ持ちて 飛びわたるらむ

長忌寸意吉麻呂

雲雀

三首

うらうらに 照れる春日に 雲雀あがり

     情悲しも 独りしおもへば

大伴家持

三首

筑波嶺に かか鳴く鷲の 音のみをか

     鳴き渡りなむ 逢ふとは無しに

常陸国の歌

筑波山で、「カカ」と鳴く鷲はオオワシか。

百舌鳥

二首

秋の野の 尾花が末に 鳴く百舌鳥の

     声聞くらむか 片聞く吾妹

 

一首

燕来る 時になりぬと 雁がねは

本郷思ひつつ 雲隠り鳴く

 

 

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