川柳
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青鷺 |
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青鷺の 茶碗で化す 料理茶屋 (鷺料理は少量でも高価) |
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青鷺と 化すは五位の 安茶碗 (料理は高価なのに、一位ではなく五位の安茶碗)(五位鷺にかける) |
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青さぎを おつかなそうに さげて行き (素人には扱いかねる食材) |
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家鴨 |
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羽根の有る いひわけ程は あひるとぶ (あまり飛ばない) |
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あひるでも 追えと黒鴨 弐朱もらい (あひる=深川の岡場所)(黒鴨=供男や下男) |
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黒鴨は 家鴨のやうな 下女と逃げ (似た者同士) |
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ガアガアと いう筈女房 元家鴨 |
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あひる住む 所も泥の 流れなり |
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泥水で 白く育った 鶩の子 |
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安い鳶 あひるふさがり 鷹へそれ (鳶=火消し)(鷹=夜鷹) |
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鵜 |
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鵜の面は 凡慮の外な 所へ出し |
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ウグイス |
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鶯と 梅は鳴ひたり 笑ったり (笑う=花のつぼみが開く) |
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鶯の 片言梅は 笑ひ出し |
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鶯を 逃がして屋根の 谷渡り (篭から逃げた鶯を追って屋根の上を追いかける) |
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南無阿弥陀仏 法華経を 猫が取り (飼っていたウグイスが猫に取られた) |
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鶯は昔のままの感応寺 (鶯=法華経=日蓮宗 感応寺は日蓮宗から天台宗に改宗) |
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鶯の 歌は春の序 古今の序 (古今集の仮名序に「花に鳴く鶯、水にすむ蛙の・・・」) |
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鶯も 蛙も泣かぬ 小倉山 (古今集には鶯と蛙の歌があるが、小倉百人一首には無い) |
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定家の 門に鶯 ないて居る (藤原定家が編集した百人一首に、鶯は一首もない) |
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鳥飼の 鶯餅に 茶の初音 (鳥飼和泉は名代饅頭屋) |
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鶯や 鶉をつかむ 鷹の爪 (鶯餅) (鶉餅) (鷹の爪は銘茶) |
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鶯を ききながらくう 藪のそば |
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ウズラ |
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化したての 鶉鷹より 猫に怖ぢ (七十二候 「田鼡化して鶉となる」) (モグラの天敵は鷹だが、ウズラの天敵は猫) |
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鶉でも 能(よ)いと藪入 よわく出る (鶉=芝居小屋の後方の安い席が鶉座敷) (安い席でも構わないから芝居を観たいとねだる) |
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おだやかさ 鶉を敵に 八萬騎 (鶉狩りに旗本が集まる。徳川幕府には旗本八萬騎いたとされる。) |
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浅草に鳩 深草に鶉鳴く (深草は京都の鶉の名所。「浅」と「深」の掛詞) |
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鷽 |
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鷽替の 神事と誘ふ 息子連 (鷽替の神事を口実に、遊里へ行こうと示し合わせる) |
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亀井戸と 号し息子は うそ祭り |
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オウム |
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異国から 来ても鸚鵡は 江戸言葉 |
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オオバン |
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武の誉れ 小判の親を 御拝領 (オオバンも狩猟の対象) |
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オシドリ |
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鴛に 小袖を懸る 霜の夜 (鴛=オシドリのオス)(亭主に小袖を掛けてやるおしどり夫婦の女房) |
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三羽でも 一羽でも鴛鴦 あわれ也 |
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春秋は 池へ鴛鴦 下りるなり (上野不忍池に出会茶屋があった) |
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鴨 |
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芹の上 鴨昼寝して うなされる (江戸の庶民は、セリと鴨を一緒に煮る) |
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伊勢屋から 又外へ飛ぶ 暮の鴨 (お歳暮用に鴨肉を購入) |
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寒見舞い 鴨は先から 先へ飛び (お歳暮の鴨肉を、たらい回し) |
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日の足も 短く成って 鴨雑煮 (冬は日が短い。鴨も短足) |
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類は友 歯白が寄って 鴨の鍋 (羽白は鴨の一種、歯白は歯を染めていない女で、娘) |
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いい鴨を網で捕らずに駕籠で捕り (井伊掃部、桜田門外の変) |
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カラス |
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悪だくみ している様に カラス群れ |
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あれ烏め という振で 一つもぎ (柿泥棒) |
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元朝の 烏鶴にも まさる声 (元旦の烏は神の使い、めでたいとされる) |
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鷺と烏と泊まっている 馬喰町 (馬喰町には公事宿があり、訴訟手続きができた) |
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雁 |
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風呂を焚く 薪の中から 雁の糞 (雁が残していった木片で風呂を焚くことを雁風呂といった) |
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雁風呂の 長湯は後が 先になり (雁の編隊は、後から来た雁が先頭になる) |
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雁は減り 乙鳥はふへて 国へ行 (雁鍋にされた分、減る) |
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琴柱(ことじ)ほど 霞の中を 帰る雁 (琴柱=人という字に似た形をしている) |
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キジ |
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雉子橋で けんもほろろに 叱られる (江戸城の橋、警護が厳しい) |
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ジュウイチ |
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鳥に慈悲 滝に裏有 お山也 (ジュウイチの別称は慈悲心鳥、日光に棲む霊鳥)(日光の裏見の滝) |
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ジョウビタキ |
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夜は衛士の 庭にきて啼 火焚鳥 (火焚鳥=ジョウビタキ)(衛士の焚火にかける) |
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白鷺 |
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白鷺の 田をきたながる 足づかひ (武玉川より) コサギ |
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白鷺は 首を畳んで 飛び支度 |
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スズメ |
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お隣の 梯子を借りる 雀の巣 |
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セキレイ |
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鶺鴒は 一度教えて あきれはて (セキレイは恋教え鳥) |
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芝居にて 見合い濡れ場が 教え鳥 |
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も一つの 伝授鶺鴒 泣いてみせ |
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鷹 |
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駒込は 一富士二鷹 三茄子 (駒込富士神社近くには、鷹匠屋敷があり、名産が駒込茄子) |
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鷹の爪 土瓶へ下女は 鷲つかみ |
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青首を 取るが時世の 手柄也 (鷹狩 首を取るといっても鴨) |
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嘉運拙く 献上の 鶴となり (鷹狩) |
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千鳥 |
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ぶちまける やうに千鳥は おりるなり |
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ツバメ |
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雨宿り 燕の糞を 一つ浴び |
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燕(つばくろ)は 梵字のやうに 飛んで行き |
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鶴 |
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一切れが 一年程の 御吸物 (鶴の別名は千年)(鶴の肉を千切り) |
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一声は 松千声は 竹で鳴き (一声=鶴、千声=雀) |
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二千年 寄って我が名を 一つ呼び (鶴は雄がツーと鳴き、雌がルーと鳴くとして) |
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鶏 |
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産んでいる 間命が 無事な鶏 |
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母だけが 産まない鶏を まだかばい |
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鶏の 喧嘩おじぎを してはじめ |
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鵺(ぬえ) |
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夜へんに 鳥だと笏で 書いてみせ |
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夜の鳥 時の鳥とで 名を揚げる (鵺退治の源頼政) |
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鵺よりも 化鳥の多い 吉田町 (吉田町は夜鷹が多い)現 墨田区南部 |
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ぬえを見に 百人一首程 寄たかり |
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白鳥 |
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白鳥は 淋しい池を にぎわせる (江戸では冬に上野の不忍池によく下り、なじみの鳥であった) |
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白鳥を 喰った男を 見ちがいる (白鳥を食えば毛髪が抜けるという俗語があった) |
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鳩 |
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八の字で 九の字を書く 御神号 (八=八幡の表象)(九=鳩の異称) |
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ヒバリ |
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出合いする 上をひばりは 舞って居る (出合=村出合=村の男女の密会) |
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おっこちる ように雲雀は おりるなり |
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ヒヨドリ |
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南天へ ひよどりが来て 御手が鳴り (音を立てて追い払う) |
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ひよどりを 追って柄杓の 柄が抜ける (柄杓で手を洗っているときに、鳥が来たので柄杓を振り回す) |
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ひよ鳥は 鷲の尻尾に ついて行き (義経の鵯越は、鷲尾三郎の案内で) |
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ホトトギス |
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目には青葉 山不如帰 初鰹 |
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聞いたかと 問われて 喰ったかと答へ |
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目と耳は 良いが口には 銭がいる |
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花より団子 初音より初鰹 |
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ほとゝぎす 先から先へ さしみ皿 (ホトトギスの行く先には、どこでも初鰹が) |
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僧正は 山ほととぎす 青葉なり (僧正には生臭物の初鰹はダメ) |
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ほとゝぎす もう小金井も 毛虫なり (杜鵑の初音が聞こえる頃になると、小金井の桜並木は葉桜となり、毛虫がつく) |
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せせなげへ うっかり落ちる ほととぎす (せせなげ=下水) (ホトトギスの声を聞いて、空を見ながら歩いたら下水に落ちた) |
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時鳥 聞かぬと言えば 恥のよう |
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見たものは ないががんばれ ほととぎす (夜中も鳴くので声はよく聞くが、姿は見つけにくい) |
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同じ巣を 出て梅に鳴き 月に鳴き (ホトトギスはウグイスに托卵)(梅に鶯、月にホトトギス) |
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時鳥 油断をすると 鳴き足らず (ホトトギスは八千八声鳴くという。油断すると7,999とか) |
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二つほど うねっておいて 一つ鳴き (鳴く前に首をうねらせ、声を出す) |
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杜宇 どれがそもじの 実名ぞ (杜鵑、不如帰、時鳥などたくさんある) |
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マガモ |
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青首を 取るが時世の 手柄成 (敵将の首でなく) |
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ミミズク |
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みゝづくは 泥棒猫に 羽が生え (ミミズクは猫に似た顔) |
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都鳥 |
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名にし負はば いざ事問わん 都鳥 我が思ふ人は ありやなしやと 在原業平 |
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翌る日は いざこざ聞かん 都鳥 |
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問う人が ただの人なら ただの鳥 |
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業平が 歌に詠まぬと 名なし鳥 |
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隅田川 所の人は かもめ也 (ユリカモメは都鳥だが)土地の人間にはただの鴎 |
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隅田川 鳥さえ見れば 都鳥 |
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水鳥に 二つ名のある すみだ川 |
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名にほれて 見れば鴎も 都鳥 |
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名所とて かもめ住めば 都鳥 (「住めば都」にかけて) |
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鴎見て あれにしておけ 都鳥 |
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橋一つ 隔てば鴎 都鳥 (吾妻橋から上流の鴎を都鳥と呼んだ) |
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鳥の名も 変わり息子の 気も変わり (吾妻橋から浅草と来れば吉原が近い) |
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椋鳥 |
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椋鳥も 毎年来ると 江戸雀 (江戸時代、椋鳥は冬、町に来る漂鳥) (転じて冬の農閑期に江戸に来る出稼ぎ者のこと) (江戸雀とは、江戸市中の事情に通じ、しゃべりまわる者) |
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夜鷹 |
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頬白に 塗った夜鷹の 四十雀 (江戸時代は二十歳過ぎたら年増、三十過ぎると大年増) |
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君は京 嫁は大阪に 江戸では鷹 (街娼のことは、京都では辻君、大阪では惣嫁、江戸では夜鷹) |
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呼子鳥 |
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羽物か毛物か おぼつなくと咏み (鳥説や猿説がある) |
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雷鳥 |
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黒百合の 咲く近所には 雷の鳥 (白山) |
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調理法 |
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雉焼 |
鰹の切身を醤油につけて焼いたもの。 元は雉肉に用いた調理法。 |
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雉子に焼かずば 食われまい 安鰹 (雉も鳴かずば射たれまい) |
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鴫焼 |
茄子の田楽。 形状が鴫に似る。 |
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田楽の そばでなすびに 羽がはえ (飛ぶように売れる) |
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淋しさを 羽盛につかう 賑やかさ (鴫は淋しさの象徴) |
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千鳥焼 |
蛤の田楽。 |
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蛤も 茄子も鰹も 焼けば鳥 |
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蛤も 千鳥となれば 茄子は鴫 |
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雀焼 |
鮒を背開きにして串にさし、味噌醤油をつけて焼いたもの。 形状が雀に似る。 |
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鮒は雀になり 鰹は雉になり |
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サラリーマン川柳 |
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ウグイス |
ウグイスパン ウグイス入りなら 食べません |
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女子会川柳 |
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シジュウカラ |
鳥の名が 元気をくれた シジュウカラ |
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メジロ |
私より 目白は上手 アイメイク |
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花粉川柳 |
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ホトトギス |
泣かないで くしゃみをしてる ホトトギス |
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シルバー川柳 |
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インコ |
知らぬ間に インコが覚えた 「よっこらしょ」 |