口
鳥類の口腔は軟口蓋を欠き、密閉されない。 そのため、頭を下げたままでは吸水できない。 普通の鳥は水を含むと一々頭を上げ、重力で流し込む。 |
口腔における消化は、消化酵素であるアミラーゼがほとんど含まれていないことから、あまり進まない。 |
顎 |
哺乳類 |
下顎だけが動く |
鳥類 |
上顎、下顎とも動く。 下嘴を下げて嘴を開けると、上嘴も上に広げられ、 大きな獲物も飲み込むことができる。 頭骨のかなり後方にあり、蝶番式になっているので、 鳥は口を大きく開ける事ができる。 |
歯 |
鳥には歯がない。 脊椎動物には元々有ったが、鳥類では消失した。 太古に歯を有していた事実は遺伝子レベルで残っている。 (現生のカメも歯がないが、初期のカメの化石では歯が認められる) 重い歯や重い顎は、軽量化の妨げとなる。 人の歯の比重は2.1〜2.9、骨の比重は1.92〜1.99 |
卵角 (卵歯) |
雛が孵化するときに、殻を割るために使う突起状の硬組織。 孵化後数日で脱落。 歯とは異なり、表皮の角質層。 有鱗目以外の爬虫類と同様。 有鱗目では歯。 |
舌 |
舌の構造は、摂食機能及び採食する食物の種類に深い関係を持つ。 |
|
一般の鳥 |
先端が角質化。 厚い角化重層扁平上皮で覆われて硬い。 舌筋の発達が悪いので、運動性に乏しい。 哺乳類ほどには動かない。 前後にはよく動き、嚥下を助ける。 舌の中心部には舌骨が入り込み、中軸をなす。 |
|
餌を丸呑みする鳥 |
舌は非常に小さくかつ単純な形 ウやカツオドリ、ペリカンでは小さく退化し、機能を失っている。 |
|
昆虫食 |
裂状 |
|
肉食 |
滑らかだが中央が凹む。 |
|
カモ |
濾食のカモでは肉質で両側が櫛状。 |
|
穀食 |
硬い円錐形 |
|
サギ |
鈎状 |
|
フラミンゴ |
膨らませたり、縮めたり出来る特殊な舌。 嘴を開くと同時に舌を奥に引っ込め、プランクトンを含んだ水を吸い込む。 嘴を閉じるときに、舌を膨らませ水を出しプランクトンを濾しとる。 |
|
アジサシ類 |
普通のアジサシ類は舌が長いが、ハサミアジサシ科は短い。 |
|
キツツキ |
舌の先端に後ろ向きのとげがあり、表面は粘着性がある。 木の中にいる虫を引きずり出す。 舌はよく動く。 |
|
アリスイ |
他のキツツキ類と異なり、返しが無い。 |
|
舌の長さ20cm |
||
オニオオハシ |
細長い 14cm |
|
サイチョウ |
嘴はオオハシに似ているが、舌は非常に短い。 |
|
カワセミ科 |
舌が短い |
|
オオタカ |
先端からオレンジ〜黒〜ピンク 中央に溝がある |
|
鶴 |
舌の付け根に返しが付いていて、奥に送り込む。 |
|
メジロ |
花の蜜を吸いやすいように舌の先は筆状で、二つに分かれている。 |
|
メグロ |
舌の先端が四つ又 |
|
ハチドリ |
舌が細長く、縁は内側に巻いたチューブ状で、先端は羽状。 このため舌が蜜に触れると、毛細管現象で蜜が吸い込まれる。 |
|
ツカツクリ |
温度を確認できる。 |
|
ハシブトガラス |
舌尖 = 尖っていて、左右に分離。 舌体 = 表面には細かい多数の糸状隆起。 舌根 = 表面全体には渦状の分泌腺の開口部。 |
|
|
返しが付いていて Z型になる種 |
カイツブリ、アオサギ、コサギ、オオタカ、バン、タマシギ、ホウロクシギ、アカアシシギ、アオアシシギ、キアシシギ、タシギ、コオバシギ、トウネン、ハマシギ、ヘラシギ、エリマキシギ、ワシカモメ、ユリカモメ、ミツユビカモメ、オニアジサシ、キョクアジサシ、コシアカツバメ、ヒレンジャク、ヒヨドリ、ミソサザイ、ジョウビタキ、ノビタキ、シロハラ、オオルリ、メジロ、ムクドリ、ハシブトガラス |
人が話をしたり歌ったりする時に、舌は重要な働きをする。 鳥は鳴くときに舌を使わず、鳴管を使う。 |
海鳥などが巣に戻る時、魚をたくさんくわえている。 これは上嘴には内側にトゲがあり、上嘴と舌で魚を挟むことができる。 その後、上嘴と下嘴で別の魚を捕まえることができるから。 |
猫舌 |
カナリヤを使った実験では45度以上の水を嫌う。 (人は60度くらいまで飲める) |
味蕾 |
味蕾は液体に満たされて、そこに溶けた物質しか味として感じない。 鳥類の口は、嘴に変化して完全密閉できず、口の前方は濡れた状態を維持できない。 味蕾が前方にあっても意味がない。 |
鳥は歯が無く、餌は丸呑みするので、味覚はあまり発達していない。 口蓋や喉の基部などに味覚細胞があるので、餌を飲み込んでいる途中で味を感じる。 わずかな味蕾で、脂質や糖分の濃度と共に、甘味や塩味、酸味、苦味という基本的な味覚をえり分けている。 |
人間は唐辛子を食べると、カプサイシンに反応して辛さを感じるが、鳥は辛さを感じることはない。 |
オウムは舌の先端にも味蕾があり、その数も多い。 |
味蕾の数 |
ナマズ |
100,000 |
牛 |
25,000 |
|
兎 |
17,000 |
|
豚 |
15,000 |
|
人(幼児) |
10,000 |
|
人(成人) |
6,000 |
|
犬 |
1,500 |
|
コウモリ |
800 |
|
インコ |
400 |
|
猫 |
385 |
|
アヒル |
200 |
|
カラス |
200 |
|
ホシムクドリ |
200 |
|
カナヘビ |
100 |
|
ニホンウズラ |
64 |
|
ウソ |
46 |
|
伝書鳩 |
37 |
|
ハト |
27〜56 |
|
ニワトリ |
24 |
|
蛇 |
0 |
草食動物の数値が高い
唾液腺 |
鳥類には耳下腺はないが、多数の唾液腺が分布。 鳥類の唾液は消化酵素が含まれない。 食物を湿らせ、嚥下を助ける。 したがって、食物を潤す必要の無い水鳥類では唾液腺の発達が悪い。 |
|
ペリカン目 |
唾液腺を欠く |
|
海鳥類 |
発達が悪い |
|
乾いた餌を食する鳥 |
よく発達 |
|
キツツキ類 |
よく発達 粘性に富んだ分泌液で虫を捕らえる |
|
ツバメ科、アマツバメ科 |
唾液腺が繁殖期に肥大。 分泌液で巣材を固める。 |
大きな物を飲み込んでも、鳥は窒息しない |
哺乳類は食物を咀嚼してから飲み込む方式を進化させた。 咀嚼するため、気管の入り口を喉の奥に移動したので、 丸飲みには適さない。 哺乳類以外の脊椎動物では、丸飲み専門なので、 気管の入り口が喉の入り口にあり、 大きな物を飲み込んでも窒息しない。 気管の入り口が舌の真上にあり、異物が入りやすい。 気管と同じ大きさの異物が気管に入ると窒息する。 |
パンティング |
あえぎ呼吸 暑くなると口を開いて気化熱により体温を下げる。 発汗と違い、皮膚温を維持しつつ熱を発散できる。 |
ヨタカ |
嘴の長さは10mm、幅7mmと小さいが、 口は目の下まで深く切れ込んでいて、実際には4倍。 顔とほぼ同じ大きさまで口を開けることができる。 |