短歌の旅

 

北海道 

釧路

しらしらと氷かがやき 千鳥なく 釧路の海の冬の月かな

石川啄木

山形県

最上川

最上川 ひろしとおもふ 淀の上に 鴨ぞうかべる あひつらなめて

斎藤茂吉

最上川 ながるるがうへに つらなめて 雁飛ぶころと なりにけるかも

斎藤茂吉

わが来つる 最上の川の 川原にて 鴉羽ばたく おとぞきこゆる

斎藤茂吉

福島県

赤井岳

赤井嶽とざせる雲の深谷に相呼ふらしき山とりのこゑ

長塚節

群馬県

赤城山

ほととぎす赤城の山のすそにして野高き草の夕月夜かな

与謝野晶子

赤城山百合しろかりしふもと野の夜あけを思ふほととぎすかな

与謝野晶子

伊香保

伊香保山湯の流よりかんばしく甘く苦しくほととぎす啼く

与謝野晶子

清らにも梅なほ咲きて伊香保路の皐月の朝にうぐひすぞ啼く

与謝野晶子

茨城県

筑波山

夕さればむらさき匂ふ筑波嶺のしずくの田居に雁鳴き渡る

長塚節

東京都

東京

東京を少しくもれる夕月のあかりに覗くあまつかりがね

与謝野晶子

隅田川

天雲の切れめさやけみ月すみて隅田の水上雁なき渡る

伊藤左千夫

神奈川県

鎌倉

杜鵑鳴くや五月の鎌倉に蒙古の使者を斬りし時はも

伊藤左千夫

稲村ケ崎

もののふの太刀沈めにし鎌倉の稲村が崎に鴎飛ぶなり

正岡子規

仙石原

仙石の昼のしじまは芦の葉に鳴く葭切の声もかそけく

有原苔石

静岡県

伊豆

伊豆の海朝来て舞ふも黄昏に飛ぶも翅の真白き鴎

与謝野晶子

長野県

吉田大池

(一碧湖)

うぐひすがよきしののめの空に啼きて吉田の池の碧水まさる

与謝野晶子

浅間山

浅間山にそれともわかぬ煙見えてかすかなるかも郭公の声は

若山牧水

碓氷峠

さらばなり信濃の国のほととぎす碓氷越えなばまた聞かめやも

若山牧水

松代町

山出で来て尾長の鳥の遊ぶらん松代町の春をおもうよ

若山牧水

岐阜県

乗鞍岳

鵙の聲透りて響く秋の空にとがりて白き乘鞍を見し

長塚節

位山

位山おのが春しる鶯や高きにうつる初音なるらむ

田中大秀

滋賀県

比叡山

ひとりして 比叡の山を われ歩み あかつき闇に 啼くほととぎす

斎藤茂吉

京都府

嵯峨清滝

ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清滝夜のあけやすき

与謝野晶子

本宮山

(鶴山)

盛なりしみやゐのあとのつる山にやまほととぎす昼よるを啼く

出口王仁三郎

高野川

高野川河原のかなた松が枝にかはせみ下りぬ知る人の家

与謝野晶子

奈良県

毛原

桜ばな咲き極はまりてしずかなり遠き毛原に蒿雀鳴きそむ

香川進

兵庫県

先山

さぬき路に月は沈みて先山の夜明けの雲になく時鳥

和田性海

広島県

厳島

厳島に 一夜やどれば 鶯は 止まず鳴きたり こゑなつかしも

斎藤茂吉

鳥取県

賀露

海鳥の声かしましく賀露ヶ浜のあしたに鳴きて波の音高し

出口王仁三郎

山口県

鴉島

からす島かげりて黒き磯のいはに千鳥こそをれこぎよれば見ゆ

若山牧水

熊本県

阿蘇

わが行ける阿蘇の夏野の郭公はとほき谷間になほ鳴きのこる

中村憲吉

球磨川

かはちとり鳴けは見おろす球磨川の瀬の音たかし霧のそこより

中島哀浪

 

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