チベット仏教
鳥たちの語るブッダの教え
観音菩薩は、羽根を生やした生き物たちに正しいダルマを説こうと思い立ち、カッコウに姿を変えて、深い瞑想に入りました。 |
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言葉の技に巧みな鸚鵡 |
高貴なカッコウさん、あなたは今日まで一年もの間、静かに、物音も立てず、座り続けていました。どんな怒りも、あなたの心をかき乱せなかったことでしょう。 |
カッコウ |
わたしは、この輪廻の大海をくまなく調べたうえで、そこには本質をもつものなどひとつもないことを理解しました。 私は見たのです、この鳥の体が生まれた果てに死ぬ様子を、そして、食べ物を必要として殺し合っているさまを。私は見たのです、せっかく作り上げた巣の壁が崩れ去っていく様子を。努力して集めた宝物も他の鳥が奪っていってしまいました。仲良くなれた鳥たちも、互いに別れ別れになっていきました。なんと哀れなことではありませんか。 家族も、友も、宝物も、全ては無常です。 そこに本質を持ったものなど、ひとつもありません。 心を汚す行いから遠ざかることの大切さをよくお考えなさい。 善につながる良い心を、心の中にいっぱい広げるのです。 |
禿鷲の王 |
かくもありがたいダルマの教えには、耳を澄ませて聞き入らなければなりません。良い行いは実を結び、将来に喜びがもたらされるのを知らなければなりません。 |
偉大な鳥である鶴 |
怠けたり無精をしていると、良き行いの徳は妨げられると警戒しなければなりません。 |
金色の雁 |
苦しみの海の中にいながら、いつまでもダルマから遠ざかっている仲間たち、私の言葉の意味をよく理解してください、そうすれば心を縛っているものから、きっと自由になれるでしょう。 |
カラス |
心を込めてお祈りをすれば、守護の神様のお守りがあるよ。 |
小さなセキレイ |
さあ、鳥の仲間のみなさん、深く広大なこの輪廻の世界を抜け出す準備にとりかかりましょう。 |
立派な鳥アカツクシガモ |
自分の心が貧しいと、心の導師に出会えない。 |
神聖な鳥ライチョウ |
なにをなすべきかを知るのは難しい、ゴカー。 (「ゴカー」には「難しい」という意味があります) |
鳩 |
この濁世に生きる有情たちを観察していると、がっかりさ。 がっかりなおこないは、すべて賢く避けましょう。 |
コクマルガラス |
自分のものでない美しい品物を欲しがる気持ちを捨ててしまえればいいのにね。 |
フクロウ |
相談相手のいない王様は哀れだね。 学識のない先生は哀れだね。 気持ちがバラバラな家族は哀れだね。 哀れな行いがどんなものかを知って、それを避けるのが大事です。 |
ヒバリ |
不幸と死をまき散らす政治家なんて、いったいなんなのでしょう。 |
小さな赤いライチョウ |
愚か者の会話には、たしかなことは含まれていません。 |
ツグミ |
ツグミが立ち上がって「チュウロン」と鳴きました。これは「何々から益を得る」という意味の声です。 「聖なる教えからチュウロン、人間の身体を得ることができればね。正しいダルマからチュウロン、そうすれば望みがかなえられるよ。」 |
華麗な姿をした孔雀 |
自己満足にひたっていると、あなたは正しい判断力をなくしていく。 |
チョウゲンボウ |
目の前に自分の悪しき考えと行いが山のように積み上げられているのを眺めているみなさん、将来そこからどんな果実が実ることになるか、気を付けていなければ。 |
小フクロウ |
この世の支配者たちの歪んだ心に安らぎはありますか。 |
山ウズラ |
憎しみを抱いていると、慈悲の心はあなたから逃げていきます。 |
ヤツガシラ |
ならず者が、人から巻き上げた財産は避けましょう。口に火傷をします。 |
カッコウ |
色あざやかな虹も、いずれは空に消えていってしまいます。 この世の王たちがどんな栄華を築こうとも、それと同じです。 物質的な富はどんなに豊かであっても、それと同じです。 |