和歌

 

鴛鴦

をしどり

夫婦愛のシンボル。

おしどりのひとりね

恋しい人を思いつつ寝ることのたとえ

うきねどり

浮寝」に「憂き寝」をかけ、涙に濡れて寝る身のたとえ。

うづら

京都の深草との結びつきが強い。

飼い鳥として声を楽しむことも人気。

「鴨の浮き寝」とは、鴨が水に浮きながら眠ることで、安眠できないことや、落ち着いていられないこと。

かり

秋に来て春に帰るという習性から、「来る」「待つ」「別れ」「旅」の意を内包するものが目立つ。

きじ

きぎし、きぎす

キジの母鳥は、子を思う愛情深い鳥。

妻を求めて高く鳴く、愛情深い鳥。

求婚の歌謡の慣用的な表現。

水鶏

くひな(和名ヒクイナ)

鳴き声が戸を叩く音に似ることから、鳴くことを「叩く」という。

その鳴き声を、人の訪れと誤って詠まれることもある。

しぎ

タシギ、ヤマシギ、ハマシギなど

田に住むものが「鴫」、海岸などに住むものが「鷸」

夜明けに嘴で羽をかく動作を「鴫の羽掻き」と表現。女の閨怨の常套句となった。

しゃくしぎ

ダイシャクシギ、チュウシャクシギ、コシャクシギの総称。

江戸時代には主にダイシャクシギを指した。

ちどり

千鳥の声は古来物思わせるものとされてきた。

須磨、明石が名所とされる。

冬の歌が多い

留鳥であるコチドリ、イカルチドリ、シロチドリ

秋のチドリではメダイチドリも含まれる。

万葉集でちどりは22首詠われているが、群れを成している一般の鳥を『ちどり』としている歌が4首。

平安時代になって浜にいる千鳥を『はまちどり』と呼んだ。

鳴き声が夜明けを告げるところから、太陽神の使者として闇の邪気を払うもの。

逢瀬の区切り。

鶏が鳴くと、男は帰らなければならない。

帰らないと、扶養義務が発生する可能性も。

初音

初めて聞く声を初音というが、初音はウグイスとホトトギスだけ。

それはこの二つの鳥はその初音が待たれるから。

ウグイスの初音は春の訪れ、ホトトギスは夏の訪れ。

ホトトギスは立夏の日に鳴き出すと考えられていた。

ふくろう

中国から来た言い伝えでは、親を食う不孝鳥。

鳳凰

漢語の「鳳凰」をそのまま詠まずに、「桐」に居る鳥と詠む。

「ももしきや桐の梢に住む鳥の千歳は竹の色も変はらず」

ほととぎす

その声が、人の叫び声のように感じられ、人恋しさを誘う。

万葉集4,500余首のうち、鳥類最高の156首に読まれる。

百人一首では1首だけ。

不如帰(ふじょき)=中国でプルクイチュ(帰りたい)と聞いた。

時鳥=夏に限って鳴くから(日本独特の表記)

郭公 

ホトトギスとカッコウが区別されるようになったのは鎌倉時代から。

 橘

ホトトギスと共に詠んだ歌29

ホトトギスは柑橘類に付くアゲハ類の幼虫を好んで捕食。

卯の花

田植えを控えたこの時期、米粒に似た卯の花の咲く風景に秋の豊かな実りを願いながら見る花。

『田植鳥』と呼ばれたホトトギスとの取り合わせが好まれた。

ホトトギスと一緒に詠まれたのは万葉集に15首。

忍び音

その年に初めて聞くホトトギスの声。

ホトトギスは、鳴き初めて間もない頃忍び音で鳴くとされていた。

ホトトギスは立夏に初鳴きすると信じられていた。

都鳥

ゆりかもめ

都以外の地に在って都鳥を詠むというのが一つのパターン。

やまどり

雌雄は昼は共に居るが、夜は峰を隔てて寝るといわれる

 

 

ホトトギスの表記

万葉集

霍公鳥

94

保登等芸須

24

保等登芸須

23

その他

4

 

 

万葉集

古今集

ホトトギス

152

43

ガン

67

24

ウグイス

51

27

ツル

44

 

万葉集で鳥の歌は35種、611

新古今集にはホトトギスの歌は47

 

 

万葉集

古今集

ホトトギス

霍公鳥

郭公

 

ホトトギス

不如帰

時鳥

子規

霍公鳥

杜宇

蜀魂

うずきどり

あやなしどり

くつてどり

しでのたおさ

たまむかえどり

霍の字義は『あわただしく飛ぶ鳥の形容』

 

 

回数

古今和歌集

ホトトギス(郭公)(山郭公)

42

ガン(かり雁)(初雁)

26

ウグイス()

25

ツル()(あしたづ葦鶴)

9

(ふゆつけどり木綿付鳥)

4

(とり鳥)

4

(いなおほせどり稲負鳥)

2

チドリ(千鳥)

2

(はまちどり浜千鳥)

1

(ももちどり百千鳥)

1

(あしがも葦鴨)

1

ウズラ()

1

キジ()

1

シギ()

1

カイツブリ(にほどり鳰鳥)

1

(みやこどり都鳥)

1

(むらとり群鳥)

1

(よぶこどり呼子鳥)

1

オシドリ(おしどり鴛鴦)

1

 

 

アイサ

山の際に 渡る秋沙のゆきてゐむ その河の瀬に波立つなゆめ

万葉集

ウグイス

心から 花の雫に 濡れちつつ うぐひすとのみ 鳥の鳴くらん

古今和歌集

ウグイスは、自分の名前を「ウグイス」と名乗って鳴いている。

ウグイス

むめの花 見にこそ来つれ 鶯の ひとくひとくと 厭ひしもをる

古今和歌集

(私はただ梅の花を見に来ただけなのに鶯は「人が来る、人が来る」と嫌がっているのはどうしてでしょうか。)

谷渡りのケキョケキョを、「人来、人来(ヒトクヒトク)」と聞きなした。

ウトウ(よな鳥)

ますらをのえむひな鳥をうらふれて 涙をあかく落すよな鳥

秘蔵抄

カササギ

かささぎのわたせる橋におく霜のしろきをみれば夜ぞふけにける

 大伴家持

カササギは七夕の夜、織姫が彦星に会うための橋をかけたとされる。

カラス(おほをそ鳥)

からすとふ おほをそどりの まさでにも きまさぬきみを ころくとぞなく

万葉集

カラスは「ころく」と鳴く

コチョウゲンボウ

手に据ゑて いでしさしばも それぬれば 野辺の花にや 乱れあひなむ

夫木和歌抄

現在のサシバではなく、コチョウゲンボウ

コノハズク

我が国は 法いかめしき所とて 鳥も仏法僧とこそ鳴け

後鳥羽天皇

我が国は御法の道のひろければ鳥もとなふる仏法僧かな

夫木和歌抄 平安時代の僧、慈円

サシバ

渋渓の二上山に鷲ぞ子産とふ翳(指羽)にも君がみために鷲ぞ子生とふ

万葉集

鳴くこゑによりて名としたる物こそおほけれ。中にも鶴のこゑは都々留々、

といふやに聞ゆるより、その名にもおひ・・・

鳴き声の都々留々(ツルツル)からツルと名付けられた。

ハイタカ

はし鷹の野守の鏡えてしかな思ひ思はず余所ながら見ん

古今和歌集

忘るとは怨みざらなんはし鷹のとかへる山の椎は紅葉ず

後撰集

我がために招き難かりしはし鷹の人の手にありと聞くはまことか

後撰集

ホトトギス

暁に 名告り鳴くなる ほととぎす いやめづらしく 思ほゆるかも

万葉集

ホトトギスは、自分の名をホトトギスと名乗って鳴いている。

ホトトギス

うぐひすの 生卵の中に ほととぎす ひとり生まれて 己が父に 

似ては鳴かず 己が母に 似ては鳴かず、、、

万葉集

奈良時代から、ホトトギスがウグイスに托卵することが知られていた。

百千鳥

わが門の榎の実もり喫む百千鳥 千鳥は来れど君そ来まさぬ

万葉集

エノキの実を食べにムクドリ?が来る。

ヤマドリ

足ひきの山鳥の尾のしだり尾の長長し夜を独りかも寝む

万葉集

ヤマドリの雄の長い尾は、長いことの代名詞。

雷鳥

しら山の松の木陰にかくろひて、やすらにすめるらいの鳥かな

後鳥羽院

 

 

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