俳句
アオゲラ(秋) |
青啄木鳥の 高鳴きくもる 露の山 (秋桜子) |
アオサギ 青鷺(夏) |
青という語感が、夏の水辺にふさわしい。 |
青鷺は 水に羽音を ふりすてて (渋谷道) |
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アオジ(夏) |
青鵐鳴き 新樹の霧の 濃く淡く (秋桜子) |
アオバズク(夏) |
こくげんを たがへず夜々の 青葉木莵 (飯田蛇笏) |
アカゲラ(秋) |
赤啄木鳥も 池に映れり 梅雨木立 (秋桜子) |
アカショウビン(夏) |
田を植ゑて 戻るしじまや 水恋鳥 (冬生) |
アカハラ(夏) |
あかはらの 青蔦ごもり 雛育つ (灯京) |
アジサシ(夏) |
鯵刺の 宙にある身を 一擲す (羽公) |
鮎鷹の 搏ちたる水に 城うつり (非文) |
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アトリ(秋) |
ちりぢりに なる楽しさの 花鶏かな (星眠) |
欺くも来て 欺くもとらるる 獦子鳥かな (青々) |
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アマツバメ(夏) |
雨燕 怒涛がふさぐ 洞の門 (柯城) |
イカル(夏) |
いかる来て 起きよ佳き日ぞと 鳴きにける (秋桜子) |
イスカ(秋) |
何せんに いすかの嘴は 与へける (松瀬青々) |
イソシギ(秋) |
磯鴫が いちはやく知る 海の枯れ (登四郎) |
イソヒヨドリ(夏) |
磯鵯や 諸鳥いまだ 加はらず (森田峠) |
いてづる 凍鶴(冬) |
冬、寒さの中にじっと佇んでいる鶴。 |
凍鶴の 音を伸ばして 丈高き (虚子) |
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凍鶴に とどく日ざしも しりぞきぬ (立子) |
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いろどり 色鳥(秋) |
春は声を愛でるが、秋は羽色を愛でる。 ジョウビタキ、アトリなど美しい鳥。 |
色鳥と 呼びて愛しむ 心かな (風生) |
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イワツバメ(春) |
岩燕 日の澄みを飛び 飛びやまず (白葉女) |
イワヒバリ(夏) |
絶巓は さびしきかなや 岩ひばり (蓼汀) |
ウ(夏) |
おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな (芭蕉) |
ウミウ(夏)(冬) |
羽根ひろぐ 岩礁の鵜の 黒十字 (不死男) |
カワウ(夏) |
首たてて 鵜のむれのぼる 早瀬かな (浪化) |
うきねどり 浮寝鳥(冬) |
水に浮かんで寝る水鳥。 古歌では、「浮寝」に「憂き寝」をかけ、涙に濡れて寝る身のたとえ。 |
林間の 瀬に吹きよりて 浮寝鳥 (飯田蛇笏) |
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ウグイス 鶯(春) |
鶯や 餅に糞する 緑の先 (芭蕉) |
来るも来るも 下手鶯の 窓の梅 (一茶) |
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鶯の 啼くやあち向き こちら向き (蕪村) |
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ウグイス 老鶯(夏) |
夏になっても鳴く鶯を老鶯(おいうぐいす)。季語は夏 |
鶯や 竹の子藪に 老を鳴く (芭蕉) |
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ウズラ 鶉(秋) |
草深く荒廃した場所で聞かれる鳴き声は、寂しさの象徴。 |
鶉鳴く ばかり淋しき 山の畑 (紅緑) |
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ウソ 鷽(春) |
照鷽(てりうそ)は、雄。雨鷽は雌。 鷽替神事は新年の季語 |
あかつきの 花びらを喰ふ 鷽の群れ (八束) |
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鷽の来て あけぼの庭に 胸赤し (秋桜子) |
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ウミネコ(夏) |
海猫の 巣立つ怒涛の 日なりけり (秋桜子) |
エナガ(夏) |
五六羽は 見えつつ柄長 群れにけり (柳芽) |
オオタカ(冬) |
一点の やがて大鷹 あらはるる (伊那男) |
オオマシコ(冬) |
冬木立 バサリと降りる オオマシコ (虚心) |
オオヨシキリ 葦雀(夏) |
よしすずめ、あしすずめ オオヨシキリ |
月影や よしきり一つ 夜なべ鳴き (一茶) |
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オオヨシキリ 行々子(夏) |
オオヨシキリの別称。 |
言ひまけて 一羽は立つか 行々子 (也有) |
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オオルリ(夏) |
この沢や いま大瑠璃鳥の こゑひとつ (秋桜子) |
オオワシ(冬) |
大鷲の 嘴にありたる ぬけ毛かな (虚子) |
オシドリ(冬) |
鴛鴦の いづれ忍び羽 思はれ羽 (刈行) |
オバシギ(秋) |
跡にたつは 姥鴫と云ふ 鳥なるか (亀洞) |
カイツブリ 鳰(冬) |
西ひがし 見ては沈む かいつぶり (三器) かいつぶり 顔見合せて 又はひる (芭蕉) |
鳰の浮巣(夏) |
五月雨に 鳰の浮巣を 見に行かむ (芭蕉) |
鳰の巣の 一本草を たのみ哉 (一茶) |
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流さるる 浮巣に鳰の 声悲し (子規) |
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鳰の巣の ところがへする 五月雨 (良寛) |
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カケス 懸巣(秋) |
気短に 翔びて懸巣の 白き腹 (冬生) |
カケス 樫鳥(秋) |
かしどりの 飛翔かたむく 露の尾根 (蓬生) |
カササギ 鵲(秋) |
七夕伝説によって秋の季語。 |
鵲の 丸太の先に あまの川 (其角) |
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カシラダカ(秋) |
頭高 樹林をわたる 白き風 (芳次郎) |
カッコウ 郭公(夏) |
郭公を 待てば応ふる はるかかな (風生) |
カッコウ 閑古鳥(夏) |
郭公の別称 江戸期の句の多くは閑古鳥を用いている。 |
憂き我をさびしがらせよ閑古鳥 (芭蕉) |
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親もなく 子もなき声や 閑古鳥 (蕪村) |
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鴨(冬) |
水底を 見てきた貌の 小鴨哉 (丈草) |
遠干潟 沖はしら波 鴨の声 (鬼貫) |
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鴎(冬) |
水寒く 寝入かねたる かもめかな (芭蕉) |
かもめ飛ぶ 観潮の帆の 遅日かな (飯田蛇笏) |
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カヤクグリ(夏) |
茅潜 喨々と夜を 好むらし (星眠) |
烏の巣(春) |
(烏の季語は四季) |
おとされし 巣をいく度 見る烏哉 (一茶) |
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カワガラス(春) |
河烏 出てはまた入る 雪解川 (行々子) |
カワセミ 翡翠(夏) |
水辺にすむことや、涼しげな羽色から夏の鳥 |
かはせみや 窒よそほふ 水鏡 (露川) |
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カワラヒワ 河原鶸(春) |
水あみて ひらひらあがる 河原鶸 (鬼城) |
かり 雁(秋) |
けふからは 日本の雁ぞ 楽に寝よ (一茶) |
雪天を ふりさけ落ちし 孤雁かな (野村泊月) |
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逝く人に 留まる人に 来る雁 (夏目漱石) |
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かえるかり 帰る雁(春) |
繁殖のため北に帰る雁。(雁の季語は秋) |
日落ちて 海山遠し 帰る雁 (鬼城) |
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がんぶろ 雁風呂(春) |
浜辺に落ちた木を拾い集め、雁の供養のため風呂を焚く風習。 |
雁風呂や 海荒るゝ日は 焚かぬなり (虚子) |
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寒雀(冬) |
冬の寒中の雀。 冬、食物も少なくなり、より一層人家の間近に来る。 |
寒雀 遠くは飛ばぬ 日向かな (日野草城) |
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キクイタダキ 松毟鳥(冬) |
まつむしり キクイタダキの別称。 松の緑をむしるとされる。 「菊戴」と呼ぶ場合は、菊の花にちなんで秋の季語のことも。 |
ぶらさがり ぶらさがりつゝ 松毟鳥 (麦城) |
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キジ 雉(春) |
きぎす 奈良時代にはきぎしが多く、平安時代以降きぎすが多い。 身を隠せず、すぐに所在を知られてしまう鳥とされる。 |
雲下りて 湖の嶋山 きぎす啼く (飯田蛇笏) |
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愛しけれ きぎすの玉子 手にとりて (杉田久子) |
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キジ 雉(春) |
きじ 子を思う親の愛情の譬えとして詠まれることが多い。 代表的な猟鳥で、猟と関連付けると冬の季語。 |
父母の しきりに恋し 雉子の声 (芭蕉) |
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キジバト |
鳩の声 身に入みわたる 岩戸哉 (芭蕉) |
キセキレイ(秋) |
峡の田の 苗代に下り 黄鶺鴒 (秋桜子) |
キツツキ 啄木鳥(秋) |
木を突く音がもの寂しく響くから秋の季語 |
啄木鳥の こぼす木屑や 雪の上 (野村泊月) |
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キビタキ 黄鶲(夏) |
鳴き声が男性的で、オオルリの京女に対し、東男と呼ばれる。 |
黄鶲や 沢辺に多き 薊の座 (秋桜子) |
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クイナ 水鶏(夏) |
緋水鶏は戸を叩くような高音で鳴くので、水鶏叩くと表現することも多い。 |
縄朽ちて 水鶏叩けば あく戸なり (虚子) |
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クロツグミ(夏) |
黒つぐみ 桃の枝より とび翔ちし (盤水) |
ケリ 鳧(夏) |
鳧の子を 野水にうつす 植女哉 (白雄) |
ケリ 水札(夏) |
水札鳴いて 日陰ちろつく 流哉 (其袋) |
ゴイサギ(夏) |
稲妻や 闇の方行く 五位の声 (芭蕉) |
コウノトリ |
鸛の巣に 嵐の外の 桜哉 (芭蕉) |
コガモ(冬) |
日あたりの 入江にたまる 小鴨哉 (子規) |
コガラ 小雀(夏) |
朝夕や 峯の小雀の門 馴るゝ (一茶) |
ゴジュウカラ(夏) |
むづかしや どれが四十雀 五十雀 (一茶) |
コジュケイ 小綬鶏(春) |
小綬鶏の 来鳴く山辺の 春の霜 (鬼骨) |
小鳥来る(秋) |
群れて目立つので秋。単に小鳥だけでも秋の季語。 |
コマドリ 駒鳥(夏) |
(こま)(のどあか) |
こま鳥の 声ころびけり 岩の上 (園女) |
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コヨシキリ(夏) |
あけがたや 舌打ち鳴きの 小葭切 (山田みずゑ) |
コルリ 小瑠璃(夏) |
古名はちはひるり 地面近くで囀る |
歯朶くらし 小瑠璃のこゑの まろびくる (秋桜子) |
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シギ 鴫(秋) |
主にタシギ |
刈跡や 早稲かたがたの 鴫の声 (芭蕉) |
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白鷺(夏) |
美しき距離白鷺が蝶に見ゆ (山口誓子) |
ササゴイ(夏) |
笹五位や 山だの早苗 やはらかに (中西悟堂) |
サンコウチョウ(夏) |
三光鳥 鳴きやみし尾を 垂れにけり (秋風) |
サンショウクイ 山椒喰(春) |
山椒喰 松風絶えて 鳴き澄める (秋桜子) |
シジュウカラ 四十雀(夏) |
老の名の ありともしらで 四十雀 (芭蕉) |
かへるやら 山陰伝ふ 四十から (野水) |
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シメ(秋) |
北風はげし 鴲は梢より こぼれ落つ (春玲) |
ジュウイチ 慈悲心鳥(夏) |
じひしんちょう(ジュウイチの別称) ジヒシンと鳴く。 |
蚊も喰はで 慈悲心鳥の 鳴音哉 (闌更) |
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スズガモ 鈴鴨(冬) |
鈴鴨の 声ふり渡る 月寒し (嵐雪) |
スズメ 雀(無季) |
草紅葉 何に飛び立つ 雀かな (寺田寅彦) |
雀の子(春) |
雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る (一茶) |
われと来て 遊べや親の ない雀 (一茶) |
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雀子や 走りなれたる 鬼瓦 (内田鳴雪) |
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せきれい 鶺鴒(秋) |
鶺鴒の なぶり出しけり 山の雨 (一茶) |
鶺鴒の とどまり難く 走りけり (虚子) |
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せきれい 石叩(秋) |
セキレイの別名。 尾を絶えず上下に動かす習性から。 |
谷底を 一つ歩けり 石たゝき (原石鼎) |
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セッカ(夏) |
聞くならば 青田の雪加 夙く来ませ (彷徨子) |
センダイムシクイ(夏) |
朝餉の座 仙台虫喰を きくは誰 (秋桜子) |
たか 鷹(冬) |
鷹一つ 見つけてうれし いらご崎 (芭蕉) |
大北風に あらがふ鷹の 富士指せり (臼田亜浪) |
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タゲリ(冬) |
畔ゆけば さとき田鳧が まず翔てり (秋湖) |
タヒバリ(秋) |
たひばりの 翔けて柴刈り 来りけり (柳芽) 畔雲雀 夕波あかりに 見えにけり (草田男) |
タンチョウ(冬) |
丹頂の 朝日戴く 冬至かな (吐月) |
ちどり 鵆 |
闇のや 巣をまどはして 鳴く鵆 (芭蕉) |
チュウヒ(冬) |
ちゅうひ翔つ 朽木の白き 原野より (紫蓮女) |
チョウゲンボウ(冬) |
観音の 鳩にとくなれ 馬糞鷹 (一茶) |
ツグミ(秋) |
鶫飛び 斑雪に落す 声短か (星眠) |
ツツドリ(夏) |
筒鳥を 幽かにすなる 木のふかさ (秋桜子) |
ツバメ 燕(春) |
盃に 泥な落としそ むら燕 (芭蕉) |
大津絵に 糞落しゆく 燕かな (蕪村) |
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海面の 虹をけしたる つばめかな (其角) |
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ツミ(冬) |
天辺に 聴く風音や つみ翔てり (末廣) |
トキ(秋) |
鴇啼て 雲に露ある山路哉 (拳白) |
トビ |
流れ鳶 ながし春日 ゆるぎなし (占魚) |
トラツグミ(夏) |
虎鶫 累代の闇 裏戸より (蕪城) |
とりくもにいる 鳥雲に入る(春) |
春、渡り鳥の姿が雲間に入り、見えなくなる光景。 |
鳥雲に 入て松見る 渚かな (白雄) |
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とりさかる 鳥交る(春) |
鳥の交尾など |
寺山の 霞の奥や 鳥交む (青木月斗) |
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ナベヅル(冬) |
鍋鶴の ついばむときも 光なく (禅寺洞) |
ニュウナイスズメ(秋) |
北よりの 入内雀 空おほふ (滝沢伊代次) |
ノジコ(夏) |
野鵐なり 森の水甕の 水揺りしは (葛彦) |
ノビタキ(夏) |
茨の芽 野鶲きたり かくれける (秋桜子) |
白鳥(冬) |
海涼し 白鳥向ふより来る (正岡子規) |
初声(新年) |
元日の朝に聞こえる鳥の声。犬や猫は含まれない。 |
初烏(新年) |
初烏は神の使いとされ、めでたいとされる。 かんばせ=顔のさま |
かんばせを 見せて止りし 初烏 (静塔) |
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ハヤブサ(冬) |
隼に 日本海の 朝日かな (子規) |
花鳥(春) |
はなとり 花に来る鳥 |
花鳥に 何うばはれて このうつつ (鬼貫) |
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羽抜鳥(夏) |
羽の抜け替わる頃の鳥。 |
涼しさを 祈り過てや 羽ぬけ鳥 (也有) |
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春の雁(春) |
はるのかり 春になってもまだまだ北へ渡らずに残っている雁。 |
春の雁 八羽ばかりの 雁さびし (山口青邨) |
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バン(夏) |
鷭ありく 川杭がくれ たそがるる (子規) |
ヒガラ(夏) |
松島の 松をこぼるる 日雀かな (千空) |
ヒシクイ(秋) |
菱喰の 遠見に群れて しづかなる (染谷秀雄) 広沢や ひとり時雨るる 沼太郎 (史邦) |
ヒタキ 鶲(冬) |
俳句ではジョウビタキ |
鶲来て 色つくりたる 鶲かな (飯田蛇笏) |
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ヒバリ 雲雀(春) |
草も木も 離れ切たる ひばりかな (芭蕉) |
一羽いて 雲雀の空に なっている (坪内稔典) |
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ヒバリ 揚雲雀(春) |
空高く舞い上がって囀るヒバリ。 |
青空は 神のてのひら揚ひばり (黛まどか) |
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物草の 太郎の上や 揚雲雀 (夏目漱石) |
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ヒヨドリ 鵯(秋) |
鵯の こぼし去りぬ 実の赤き (蕪村) |
ひよの来て しきりに揺るる 通草かな (義人) |
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人のする 絶叫なるを 鵯もせる (瓜人) |
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ヒレンジャク 緋連雀(秋) |
緋連雀 一斉に立つて もれもなし (青畝) |
ヒワ 鶸(秋) |
マヒワ、ベニヒワなど |
鶸渡る 空や寺子の 起時分 (浪化) |
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ビンズイ(夏) |
便追や 羽黒の朝の きつね雨 (盤水) |
鳴きとめし びんずいそこに 木陰冷ゆ (灯京) |
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フクロウ(冬) |
山の宿 梟啼いて めし遅し (虚子) |
梟の ふはりと来たり 樅の月 (鬼子坊) |
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鳴きいでし 梟月を いまえたる (紅雨) |
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ぶっぽうそう 仏法僧(夏) |
夜気募り 疳つのり仏法僧を聞く (かな女) |
冬鴉(冬) |
たわたわと 冬鴉わたる つばさかな (原石鼎) |
ホオアカ(夏) |
頬赤の 鈴割れごゑや 空澄む日 (星眠) |
ホオジロ(春) |
頬白や ひとこぼれして 散り散りに (川端茅舎) |
ホシガラス(夏) |
星鴉 風のあとまた 水の音 (六林男) |
ホトトギス(夏) |
谺して 山ほととぎす ほしいまゝ (杉田久女) |
ほとゝぎす 一人静を 持ちかへる (渡辺水巴) |
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マシコ(秋) |
枯枝に ひとりしぐるる 照猿子鳥 (彫棠) |
マヒワ(秋) |
大たわみ 大たわみして 鶸わたる (占魚) |
マミジロ(夏) |
眉白を きゝとめし岩に 霧かゝる (春潮) |
ミサゴ(冬) |
鶚飛ぶ 潮ひびかせて 立つ巌 (占魚) |
ミソサザイ 鷦鷯(冬) |
崖よりも まれにはひかり 鷦鷯 (加藤楸邨) 捨て水の やがて氷るや 三十三才 (井泉水) |
みみずく(冬) |
木莵や 上手に眠る 竿の先 (一茶) |
ムクドリ 椋鳥(秋) |
椋鳥と 人に呼ばるる 寒さかな (一茶) |
椋鳥や 草の戸を越す 朝嵐 (村上鬼城) |
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メジロ 目白(夏) |
嘴深く 熟柿吸うたる 眼白かな (原石鼎) |
目白鳴く 日向に妻と 坐りたり (臼田亜浪) |
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メボソムシクイ(夏) |
しらびその 陽の清涼に 鳴く目細 (爽青) |
モズ 鵙(秋) |
鵙の声 かんにん袋 破れたか (一茶) |
人鬼に 鵙のはや贄 とられけり (一茶) |
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ももちどり 百千鳥(春) |
ももちどり 鶯説、千鳥説などもあるが、俳句では春に囀る様々な鳥。 |
川上は 柳か梅か 百千鳥 (其角) |
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ヤブサメ(夏) |
やぶさめや 山路なほ咲く すひかづら (秋桜子) |
ヤマガラ(夏) |
山雀の 輪抜けしながら わたりけり (一茶) |
ヤマセミ(夏) |
山翡翠の 冠毛立つる 蕗の雨 (貞峰) |
ヤマドリ 山鳥(春) |
ヤマドリ。(または、山にすむ鳥) 雉と共に春の狩猟の双璧。 |
山鳥の ほろほろ雨や とぶ小蝶 (一茶) |
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ユリカモメ 都鳥(冬) |
俳句ではユリカモメ。 |
塩にしても いざことづてん 都鳥 (芭蕉) |
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可惜夜の わけても月の 都鳥 (黛まどか) |
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ヨシキリ 葭切(夏) |
大葦切と小葦切の二種があり、大葦切をいうことが多い。 葦雀、葦原雀、葦鶯、行行子、けけし。 |
よし切や 葛飾ひろき 北みなみ (永井荷風) |
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葭切も 眠れぬ声か 月明かし (瓜人) |
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ヨシゴイ(夏) |
葭五位の 身を置く程の 葭伸びず (夏船) |
ヨタカ(夏) |
夜明ても くらしと夜鷹 鳴きつゞく (秋桜子) |
鯔はねて 河面暗し 蚊喰鳥 (秋桜子) |
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ライチョウ(夏) |
雷鳥も われも吹き来し 霧の中 (秋桜子) |
らくがん 落雁(秋) |
空から舞い降りてくる雁。 |
らくがんの 中に苦や 番の鳥 (重頼) |
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ルリビタキ(夏) |
沢を吹く 歯朶の嵐に 琉璃鶲 (春潮) |
渡り鳥(秋) |
大群の多い冬鳥の渡りが目立つので秋。 |
大海や 一かたまりの 渡り鳥 (子規) |
季語に仲間入りした年 |
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1636 |
鶯 |
春 |
花火草 |
1636 |
鵙 |
秋 |
花火草 |
1638 |
鶺鴒 |
秋 |
毛吹草 |
1645 |
鷽 |
春 |
毛吹草 |
1645 |
郭公 |
夏 |
毛吹草 |
1645 |
鵯 |
秋 |
毛吹草 |
1645 |
都鳥 |
冬 |
毛吹草 |
1645 |
初鶏 |
新年 |
毛吹草 |
1654 |
雲雀 |
春 |
毛吹草 |
1663 |
鵙の早贄 |
秋 |
増山の井 |
1697 |
凍鶴 |
冬 |
をだまき綱目 |
1698 |
頬白 |
秋 |
俳諧新式 |
1713 |
引鶴 |
春 |
滑稽雑談 |
1730 |
浮巣 |
夏 |
俳諧古今集 |
1847 |
巣立鳥 |
春 |
合類俳諧忘貝 |
1847 |
初鴉 |
新年 |
合類俳諧忘貝 |
1848 |
初雀 |
新年 |
季寄新題集 |
1943 |
頬白 |
春 |
野鳥歳時記 |